日本政府は米軍再編によって沖縄の負担が軽減するかのように言っています。「沖縄の負担軽減」は政府によって各地に基地負担を押しつけるための口実として使われていると言えます。
沖縄の基地負担は軽減されるべきです。
ただし、今の日米両政府のやり方は被害を他の地域にも拡げるだけで、沖縄にとっても負担軽減とは言い難いものです。
■世論調査でも多くの人が「負担軽減にならない」と回答沖縄県民に対する世論調査では、米軍再編によって沖縄の基地負担は「あまり減らない」が47%「まったく減らない」が19%で計66%が否定的です。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200605161300_01.html読売新聞が昨年6月に行った全国世論調査でも、沖縄の基地負担が軽減されると思う人が36%なのに対し「そうは思わない」と答えた人が52%もいます。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe6100/news/20060622i415.htm■具体的に見ても「負担軽減」にはならない具体的には、沖縄の普天間基地を無条件で即時返還すれば負担軽減になりますが、新しい基地を辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸に作ろうとしており、基地機能の強化につながります。

嘉手納基地での米軍機の訓練の一部を全国各地の自衛隊に移転するとされていますが、嘉手納基地が無くなるかというと無くなりません。嘉手納基地自体の機能も強化されています。全国各地で行われる訓練には自衛隊も参加します。
沖縄以外では、厚木基地(神奈川県)の空母艦載機が岩国基地(山口県)に移駐します。これも日本政府は「神奈川県の負担軽減」と説明していますが、厚木基地は閉鎖しません。整備などでは厚木基地を使い続けるとのことです。つまり米軍は厚木基地と岩国基地の両方を使えるようになるのです。
海兵隊のグアムへの一部移転でも、沖縄の海兵隊員が本当に何人減るのかは未知数です。それに対して日本は巨額の費用負担をすることになっています。移転する予定の部隊も司令部が中心で、沖縄で犯罪を犯している実戦部隊の兵士は残ります。
■たらい回しでは解決にならない空母艦載機が岩国基地に移転するとされている厚木基地周辺に住む人は、「岩国に持っていったら岩国の人に迷惑がかかるから複雑」「右の生ゴミを左に持っていくようなもの」と語っています。

今回の米軍再編によって全国各地で反対の声が拡がる中、鹿屋基地(鹿児島県)の集会で女子高生がインタビューに答え「米軍は鹿屋にいらないと言うことも大切だけど、米軍基地を沖縄に押しつけ続けるのではなくて別の方法はないのか、鹿屋の人達に考えてほしい」と発言しています。
おそらく彼女は、自分たちの街に米軍が来ると知って、その時に沖縄の人達の基地負担の痛みに気が付いたのだと思います。
沖縄の人達に基地の負担を押しつけてきたのは、日本政府であると同時に私も含めたヤマト(本土)に住んでいる人々です。
では沖縄の基地をヤマトに持っていけばいいのか? 沖縄の人達も「自分たちが嫌なものをヤマトの人達に押しつけるのは嫌だ」と言ってきました。2004年の8月に沖縄の住宅地に米軍のヘリが墜落しました。その時に沖縄で「もう我慢できない。ヤマトに持っていけ!」と言った人がいます。その時は、これまで「嫌なものを他人に押しつけるのは嫌だ」と言っていた沖縄の人がとうとう我慢ができなくなったのです。
沖縄の基地負担は軽減されるべきです。ではどうすればいいのか。海外に持っていけばいいのでしょうか?
マスメディアでは、沖縄の海兵隊の一部が移転するとされているグアムでは「歓迎ムード」と報道されています。しかしグアムにも反対している人はいるのです。グアムの人の話に関しては日を改めて書きたいと思います。