【8月28日 修正】
現在、沖縄で米軍基地の建設が強行されている辺野古(へのこ)に関しては、ある程度、皆さんご存じでしょう。
辺野古と同様に強行されようとしている東村 高江(ひがしそん たかえ)のヘリパッドの問題については、まだまだ知らない方が多いと思います。
これは辺野古での米軍基地の建設計画とのつながりも深いですし、知っておくべき事だと思いますので、できるだけ簡単に説明しましょう。
(実は私も去年までぜんぜん知りませんでした。その分、知らない方にもわかりやすいように説明するのが義務だと思っています。)
■自然が広がるヤンバルの森まずは場所です。辺野古が沖縄のどこにあるかについては以前、「辺野古ってどこにあるの?」という文章を書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/45133566.html辺野古は沖縄(本)島でも人が少ない北部にあるのですが、高江は辺野古よりもさらに北にある人口150人ほどの集落です。
沖縄(本)島の北部には「ヤンバルの森」と呼ばれる手つかずの自然が残されています。世界でもこの地域にしか生存しないとされるノグチゲラやヤンバルクイナといった希少動物が棲んでいます。
「県民の水がめ」とも呼ばれていて、ここにあるいくつかのダムが中南部も含む沖縄(本)島に住む人達の水源地となっています。
■米軍唯一のジャングル訓練場米軍はこのヤンバルの森の中の広大な一帯を「北部訓練場」として占拠しています。
ジャングルでの対ゲリラ戦の訓練場として使っているのです。米軍唯一のジャングル戦訓練場なので、韓国に駐留している米軍なども参加し、年間7000人以上が訓練をしているそうです。
(琉球新報 2006.6.14 ↓以下で読めます。)
http://philippinesnews.10.dtiblog.com/blog-date-20060614.htmlhttp://www5f.biglobe.ne.jp/~cosmos/new/06.6/06.6.14.j.html広大な面積にわたる「北部訓練場」は米軍管理下の基地としては日本最大の基地です。
沖縄がアメリカに占領されていた1957年から使われはじめ、あまりにも広い範囲で自然のままの状態なために「一体どこからどこまでを基地にされているのかわからない」ほどだったそうです。
ここでは食料を与えられずにジャングルをさまよう「サバイバル訓練」というものも行われていて、飢えた米兵が食料を求めて付近の民家に現れた事もあったそうです。
「サバイバル訓練」については森住 卓さんのページに写真付きで紹介されています。
http://www.morizumi-pj.com/okinawa/beigun/beigun.html■民家のすぐ近くにヘリパッドを建設この北部訓練場はあまりにも広すぎるため、すべては使われていません。
日米地位協定では使われなくなった基地は返還する事になっているはずなのですが、アメリカはすぐには返還せず、日本で何か起きて抗議されたときや新たな基地が欲しいときの交換用のカードとして取っておくのです。
1996年のSACO合意で北部訓練場の約半分が返還される事になりました。しかし、その条件として返還する場所にあるヘリパッドを移設する事になっていたのです。
ちなみに「ヘリポート」という言葉はよく聞きますが、「ヘリパッド」というのはあまり聞き慣れない言葉です。
沖縄県の環境アセス条例では長さが30m以上の「ヘリポート」はアセスの対象とされています。
今回建設しようとしている「ヘリパッド」は長さが75mなのにもかかわらず、那覇防衛施設局は「ヘリポートとヘリパッドは違う」としてアセス条例を逃れて手続きを進めてきました。
2006年になってヘリパッドの移転予定地が公表されました。
その計画は人口が少ない東村 高江の集落を取り囲むように6ヶ所のヘリパッドを作るというものでした。
http://www.okinawa-u.ac.jp/~tsuchida/Save-Dugong/material/takae/heli_pad15_6.htmlもともと昼も夜も米軍ヘリの騒音に悩まされていた地元の人達は、
「何で高江の部落を囲むように作らなくちゃいけないのか」と怒り説明を求めたのですが、那覇防衛施設局の答は
「アメリカ軍の運用に関しましては、私たちはまったく関知できません」
というものでした。
(QAB 検証動かぬ基地vol.69)←地図もあります。
http://www.qab.co.jp/01nw/07-01-24/index8.html■環境アセスの方法書には書かれていなかった歩行訓練ルート辺野古での基地建設計画は、環境アセスの方法書を提出する前に「事前調査」という違法とも言える調査が行われました。
東村 高江のヘリパッドに関しては環境アセスの手続きは進んでしまいましたが、そもそも環境アセスの方法書の段階では書かれていなかった「アメリカ軍の歩行訓練ルート」が計画に加わっています。
(さらには環境アセス評価書の縦覧後になって「工事用道路」が加わりました。)
これに関してはアセス法の設立に関わった学者も「方法書からやり直すべきだ」と指摘しています。
(QAB 検証動かぬ基地vol.71)
http://www.qab.co.jp/01nw/07-03-07/index7.html環境アセス法違反の辺野古・高江計画
http://www.ryukyu.ne.jp/~maxi/sub5.html■「歩行訓練ルート」の謎問題はこの「歩行訓練ルート」、つまり新たに作られる予定のヘリパッドから付近にある宇嘉川の河口を結ぶルートです。
この地区は太平洋に面して約100mの断崖が続いていて、陸から海へのアクセスができないそうです。
宇嘉川の河口だけが唯一、断崖が切れているのですが、もともとは米軍が使える場所ではありませんでした。
米軍は1997年12月に北部訓練所に囲まれた地域にある安波訓練場を返還するかわりに宇嘉川の河口を提供水域として手に入れました。
これがその付近の画像です。
■オスプレイの訓練基地?上記の画像を撮影した沖縄の真喜志好一さんが1999年に米軍のWebサイトで探し当てたのがこのイラストです。

驚くぐらい地形が宇嘉川の河口と似ています。
このイラストに書かれているのが「オスプレイ」と呼ばれる新型の航空機です。
垂直に離着陸できるヘリコプターと、速く飛べるプロペラ機の「合いの子」のようなものです。
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/V-22_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)しろうと考えですが、空を飛ぶための羽の角度を変えてしまうのですから安定するわけがないと思います。
実際、オスプレイは開発段階から何度も事故を起こしていて2000年末までに30人も亡くなっているそうです。
そして、米軍はそのオスプレイを辺野古で作ろうとしている新基地で使おうとしているのです。
米軍の計画ではもともとオスプレイの配備が示されているのにもかかわらず、日本政府は「オスプレイの配備計画は聞いていない」などと誤魔化し続けています。
(インパクション No.157)
真喜志さんによると、東村 高江と宇嘉川河口を結ぶ「歩行訓練ルート」は、
「海から上陸して歩行ルートを経て空に脱出する。あるいはその逆の訓練を行う」
と予想されています。
http://www.ryukyu.ne.jp/~maxi/sub4.html辺野古での新基地とあわせて、東村 高江で作られようとしているヘリパッドは、このような恐れを持った計画なのです。
P.S.
東村 高江ではヘリパッド建設に対する阻止行動が連日行われています。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26550-storytopic-1.htmlhttp://www.okinawatimes.co.jp/day/200708231700_05.htmlhttp://www.qab.co.jp/01nw/07-08-23/index6.html以下のブログで最新情報が読めます。
やんばる東村 高江の現状
http://takae.ti-da.net/