2007年10月29日

守屋前事務次官への証人喚問

守屋武昌 前事務次官への証人喚問が行なわれました。

国会での「証人喚問」というのは、「参考人招致」と違って嘘をつくと偽証罪に問われるという思いものです。
古くは1970年代のロッキード事件、最近では耐震偽造に関する証人喚問がありました。

今回、守屋前事務次官はテレビ中継は静止画での放送にするように求めていましたが、自民党以外は動画を主張したために、動画で生中継されました。
http://www.asahi.com/politics/update/1026/TKY200710260358.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007102802059902.html

■事務次官とは?

事務次官というとは、「次官」という名前なのでトップという印象がしませんが、実際には官僚のトップだそうです。
しかも防衛庁長官や防衛大臣がコロコロ変わっている中、守屋前事務次官は4年以上という異例の長さで官僚のトップをしていましたから、相当の影響力があったでしょう。防衛省の内部では「神のような存在」とも言われていたそうです。

8月30日に退任するまで、イラクへの自衛隊派遣、米軍再編や防衛庁の省への昇格などで力を発揮してきました。

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この画像は今年、1月9日、防衛省に昇格した時の除幕式です。(『防衛白書』より)

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前に並んでいる6人のうちの一人、いちばん左側に立っているのが守屋事務次官(当時)です。

きょう行なわれた証人喚問は、自衛隊の給油活動に関する防衛省への疑惑に加えて、軍事専門商社「山田洋行」の元専務(現「日本ミライズ」社長)から守屋前事務次官がゴルフ等の接待を受けていたという問題が重なって行なわれることになったものです。

自民党、公明党からの質問は追求が弱く、特に自民党 深谷隆司 議員の質問は自らの演説のようになっていて聞くに堪えないものでした。
民主党・共産党・社民党の質問になって、核心を突いた質問も出ましたが、割り当てられた時間が少なく、充分に追求できたとは言い難い内容でした。

これまで多く報道されてきた「山田洋行」元専務からの接待疑惑等についてはマスメディアでも報道されると思いますので、このブログではより注目したい点だけに絞って紹介します。

■防衛大臣経験者や防衛庁長官経験者も接待を受けていた!

民主党 川内博史 議員から、山田洋行の元専務から接待を受けた席に他の政治家は同席していなかったのかという質問に対して、他の政治家の同席は認めたものの、具体名については、守屋前事務次官は「きちんとした形でないとご迷惑をおかけしますので」と逃げました。

共産党 赤嶺政賢 議員がさらに追求したところ、防衛大臣経験者や防衛庁長官経験者も同席した事があったらしいことがわかりました。

■沖縄で下地議員がゴルフの金を出した!

社民党 照屋寛徳 議員は、独特ののんびりとした口調で、独自の調査に基づくと思われる情報を突きつけました。

今年の5月に米軍再編で移転の候補にも挙がっていた沖縄 宮古諸島にある下地島空港を見に行った際、下地幹郎 衆議院議員、浦添市長と共にゴルフをし、費用は下地議員が出したということがわかりました。

下地議員は米軍再編問題でもいろいろと動いていた議員です。沖縄の国会議員と市長、防衛省事務次官の間でどのようなやりとりがされたのか、現段階では不明です。

■前那覇防衛局長が土建業者に辺野古での機密文書を渡した!?

守屋前事務次官が、佐藤 勉 元那覇防衛施設局長を通じて、沖縄の特定の土建業者に、辺野古(へのこ)での米軍基地計画の機密図面を渡したのではないか、という疑惑が出されました。

部下を派遣して図面を回収したことはないか、地検の特捜部が押収または任意提出を求めたことはないか、という疑惑も追及されました。

これらに対して守屋前事務次官は否定、本人が関与していないとしても、社民党がなんらかの情報を握っているようです。

■那覇市のクラブでの接待疑惑!?

那覇市松山の「クラブ銀座」という店での接待疑惑も追及されました。

佐藤元防衛施設局長は基地建設に反対する人達が面会を求めた時には物置きのようなところにしか通さなかったにもかかわらず、ホステス達は局長室にフリーパスだったという指摘もされました。

この件に関しても、守屋前事務次官は「承知していない」と答えましましたが、防衛省の倫理監督官であった守屋前事務次官は監督不十分である、という指摘がされました。


これらの多くの問題に関して、今後、他の関係者に対する証人喚問が要求されました。


posted by あつこば at 17:17| Comment(1) | TrackBack(2) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月25日

新テロ特措法にはこれだけの問題点

「テロ特措法」の延長が不可能になって、国会では新しい法案の審議が始まりました。

政府・自民党では「補給支援特措法」と呼ぶことにしたそうですが、一般的には「新テロ特措法」あるいは「給油新法」と呼ばれています。

この法案は、国会承認を無くしてしまうなど「テロ特措法」と比べても問題があるといわれています。
そもそもインド洋での給油活動の何が問題なのかを整理してみましょう。

■自衛隊はアフガニスタンへの攻撃を手伝っていた

政府や防衛省は、自衛隊の給油活動は「海上阻止行動」に使ってきたと説明しています。
heiwa_l_ban.gif

しかし、実際にはアフガニスタンに対する空爆などの攻撃に使われていました。

10月10日の衆議院予算委員会では、民主党 岡田克也議員の
----------------------------------------------------ここから引用----
アフガン本土にミサイル攻撃をしたりあるいは爆撃機や戦闘機を飛ばして攻撃をするということは、そういう艦船に対して自衛隊が間接、直接に給油するということはないんですねと聞いているんです。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
という質問に対して、高村外務大臣は「ありました。そういうことはやっていたんです。」と答えています。
そして、高村外務大臣は以下のようにも答えています。
----------------------------------------------------ここから引用----
日本の憲法は、外国へ行って日本自身が武力行使しちゃいけないということを書いてあるので、日本は今、武力行使なんかしていませんよ、一切。一切していないんですよ。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://qrl.jp/?262608

政府は「非戦闘地域」での補給活動は武力行使にあたらないとしていますが、給油などの兵站活動はあきらかに戦争の一環です。

■米国防総省の発表が行なわれたが

日本が給油した燃料がイラク戦争に使われたのではないかという疑惑を受けて、アメリカの国防総省は「「不朽の自由作戦」に日本が供給する燃料の使用について」と題する発表をしました。
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-20071019-73.html

この報告には
----------------------------------------------------ここから引用----
日本が補給した燃料を、米国艦船に給油された時点から消費されるまで、任務ごとに追跡することは、以下の理由により複雑な作業となる。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
と書かれています。

その理由としては、以下があげられています。
○日本が補給した燃料は他から供給された燃料と混ざるから特定するのが難しい。
○間接給油は海軍の作戦では一般的であり、用途を説明するのは難しい。
○艦船は複数の任務に就くこともある。

簡単に言うと「油なんてタンクの中で混ざるからわからないし、米軍はアフガニスタンを攻撃したりイラクを攻撃したりしている」という事ですね。これはなかなか正直に書かれていると思います。

実態としてはおそらく「燃料は混ざるからわからない」のでしょうし、米軍にとってはアフガニスタンへの作戦に使おうがイラクへの作戦に使おうが好き勝手にできるのでしょう。
それに対し、日本政府が「イラクへの作戦には使っていない」などと誤魔化していた事に問題があります。

■「イラク作戦には使っていない」と言い張る政府

イラクへの作戦に使っていたのではないかという疑惑のうち、氷山の一角として出てきたのが2003年2月25日の補給艦「ときわ」からアメリカの空母「キティホーク」への間接給油です。

間接給油を受けた後、「キティホーク」がペルシャ湾に行っているという指摘に対して、石破防衛大臣は以下のように答えています。
----------------------------------------------------ここから引用----
キティーホークがペルシャ湾に入ったからすぐOEF以外に使われたという推論は、極めて乱暴なものであります。(注:OEF=アフガニスタンへの作戦)
-----------------------------------------------------引用ここまで---

ところが2003年司令官年次報告によると空母「キティホーク」は、イラクへの作戦に従事したと書いてあるだけで、OEF(アフガニスタンへの作戦)に参加しているとは書かれていないそうです。
http://www.peacedepot.org/media/pcr/mediarelease3/oil.htm
http://k1fighter2.hp.infoseek.co.jp/TeroTokuso/TeroTokusoOilRun.htm#top

kitty_400.jpg

キティホーク戦闘群の元参謀長 ホセ・コーパス氏は10月18日に放送されたテレビ朝日「報道STATION」のインタビューに対し以下のように断言しています。
----------------------------------------------------ここから引用----
我々の任務はイラク作戦のみ。インド洋からアフガニスタンに向けた任務は1つもない。100%イラクだ。
--------------------------------------------------------------------
アフガン作戦に従事するならばアフガン周辺にいなければ。イラク作戦に従事するならばイラク周辺にいなければ。両方を同時に従事するのは不可能だ
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/program/hst/backnumber.php?y=2007&m=10

■トマホーク・ミサイルを発射したイージス駆逐艦にも直接給油

「間接給油」だけではなく、イラクへ作戦に参加したイージス駆逐艦に直接給油したこともわかりました。

paul_400.jpg

このイージス駆逐艦「ポール・ハミルトン」はイラク戦争に参加した戦闘艦の中で最も多い約60発もの誘導ミサイル・トマホークを発射したそうです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-10-13/2007101301_02_0.html
(注:10月12日の朝日新聞では「約50発」となっていました。)

「ポール・ハミルトン」はイラク開戦前からイラクに対する作戦に参加していたそうです。

「間接給油」を受けたイージス巡洋艦「カウペンス」は、イラク戦争で最初のトマホークを発射したとされています。

chokusetsu.jpg

■燃料はどこからいくらで買っているのか?

あまり取り上げられていないこととしては、自衛隊が無料で給油している燃料は、一体、どこから買っているのか、不当に高額で買っているのではないかという問題もあがっています。

これに関しては、朝日ニュースターの番組「愛川欽也パックイン・ジャーナル」、「週刊朝日」10月19日号などで取り上げられています。
http://blog.livedoor.jp/asyura2007/archives/50710266.html
[動画]http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00064/v00134/
[動画]http://www.youtube.com/watch?v=nXI1Q9aVCcU


国会では民主党 原口一博議員が10月19日の衆議院 安全保障委員会で追求しています。
http://qrl.jp/?260123
http://k1fighter2.hp.infoseek.co.jp/TeroTokuso/TeroTokusoHaraguchi.htm#top

これらによると、自衛隊が供給している燃料は「F76」と呼ばれる米軍が特注して作らせている燃料(NATOが共用している)だそうです。
この燃料は石油会社から一度、米国防総省にある「ディフェンス・エナジー・サポート・センター(DESC)」という組織に納められ、自衛隊はそれを、ある日本の商社を経由して購入しているらしいのです。その燃料をアメリカの艦艇などに無償で提供してきたのですね。

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そして、6年間で2回だけ別の商社から購入したものの、後の約8割はひとつの商社だけで入札なしの随意契約をしていたようです。

■守屋前事務次官の問題とともに

国会では、守屋前事務次官が軍需専門商社「山田洋行」の元専務からゴルフや麻雀、焼き肉などの接待を受けていたという問題が出ています。

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この件と同様に、燃料を購入していた商社についての問題も大きくなるかもしれません。

以下のブログなども参考になりました。
http://amesei.exblog.jp/d2007-10-20
http://critic3.exblog.jp/7600740/

■戦争に参加して儲けていて良いのか?

自衛隊による燃料補給活動の裏側には、さまざまな問題が隠されているようです。それでも給油活動を継続したほうが良いという意見の中には、そのほうが日本の「国益」になるという見方もあるようです。

しかし、給油活動は実際にアフガニスタンやイラクへの攻撃をサポートしてきたのです。自衛隊が戦争に参加して、その裏側で儲けていて良いのかという根本的な問題を考える必要があります。

posted by あつこば at 10:14| Comment(5) | TrackBack(0) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月22日

DVD『黙っていると100年先も基地の街』

今回は『基地はいらない、どこにも』のベースになった作品を紹介します。

神奈川県の平和団体の依頼で制作した『黙っていると100年先も基地の街』です。
2005年の夏から着手、制作途中で米軍再編のいわゆる「中間報告」が発表され環境が激変する中、2006年2月に完成しました。

damakichi_400.jpg

神奈川県は沖縄に次いで全国で二番目に米軍基地が多い県です。
この『黙っていると100年先も基地の街』(43分)では、在日米軍基地と反対運動の歴史を紹介し、軍事レポーター 石川厳さんへのインタビューなどを収録しています。

『基地はいらない、どこにも』でも紹介したキャンプ座間や相模総合補給廠、厚木基地の問題についてもさらに詳しく解説。また時間の関係で『基地はいらない、どこにも』では紹介できなかった横須賀での原子力空母の危険性、その横須賀で起きた米兵による強盗殺人事件、空母艦載機の墜落事故、池子の米軍住宅の追加建設問題、思いやり予算で立てられた相模原の米軍住宅、使われていないにもかかわらず返還されない基地、返還された基地の跡地利用などを紹介しています。

『基地はいらない、どこにも』と合わせて『黙っていると100年先も基地の街』も、ぜひ、ご覧ください。(DVD/VHSがあります。)

購入申込み・問合せ先
http://homepage1.nifty.com/anpohaikikanagawa/video.htm

予告編
http://homepage1.nifty.com/anpohaikikanagawa/damatte.wmv
posted by あつこば at 09:11| Comment(11) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月14日

福岡での上映会

金曜日は福岡での上映がありました。上映終了後には約1時間話をさせていただき、その後の質疑応答や交流会でも熱心な意見が交わされ充実した上映会になりました。

「テロ特措法」の関連では、現在発売中の「週刊朝日」に掲載されている、自衛艦が提供している燃料はどこから購入しているのかというう疑惑に関してや、このブログでも紹介した民間人派遣の問題などについては、「知らなかった」という方がほとんどでインパクトがあったようでした。

主催された「沖縄とむすぶ市民行動・福岡」は1995年の沖縄での事件をきっかけに活動を始めたそうですが、お話をうかがって活動を継続する大切さを感じました。

九州は、築城や新田原鹿屋での米軍再編や、大分県 日出生台での米軍の実弾訓練など、さまざまな問題があります。今後も注視していきたいと思います。
posted by あつこば at 17:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月04日

補給艦を使った間接給油とは?

現在、自衛隊のインド洋での給油活動が問題になっています。

2001年に成立した「テロ対策特別措置法」は11月1日で期限切れになります。
この法律については以下で説明しました。

「テロ特措法」ってなあに?
http://atsukoba.seesaa.net/article/54298276.html

youjou_hokyu_400.jpg
(防衛省のパンフレットより http://www.mod.go.jp/j/news/terotoku/pamph_02.pdf

■「給油新法」とは?

政府・与党は当初、この「テロ特措法」を延長しようとしてきました。しかし、民主党の反対や安倍首相の突然の辞任などの影響もあり、「テロ特措法」の延長は事実上不可能になりました。
そこで「テロ特措法」に変わる「給油新法」の法案を国会に提出すると言われています。
しかし、この「給油新法」も成立するかどうかは危うくなっています。

■イラク作戦への転用疑惑とは?

もともと9.11の事件を受けて急ごしらえで作られたのが「テロ特措法」です。ですからアブガニスタンに対するテロ対策を支援するという建前になっているのです。

にもかかわらず、自衛隊が補給した燃料が、実はイラクへの作戦に使われていたらしいことがわかりました。これが「転用疑惑」です。

以下、図を使ってできるだけ簡単にご説明します。
詳しくお読みになりたい方は、以下をご覧ください。

給油した燃料はイラクへの作戦に使われていた!?
http://atsukoba.seesaa.net/article/56661063.html

ピースデポ「海自艦が給油した米艦はイラク作戦に使用した」
http://www.peacedepot.org/media/pcr/mediarelease3/oil.htm

■補給艦とは?

kyom03_400.jpg

この画像の中央に写っているのが自衛隊の補給艦「ときわ」です。アメリカの艦艇(軍艦)に燃料を補給しているところです。
http://www.mod.go.jp/j/terro/photo.htm より)

pecos_400_2.jpg

そしてこの画像の左側が、アメリカ海軍の補給艦「ペコス」です。アメリカの空母「ロナルド・レーガン」に燃料を補給しています。
http://www.navy.mil/view_single.asp?id=43251 より)

このように「補給艦」とは、他の艦艇(軍艦)に燃料や水などを補給する船のことを言います。

■「間接給油」とは?

今回、問題になっている「間接給油」について図で示します。
2003年2月25日に実際に行なわれた例です。

kansetsu_1.jpg

自衛隊の補給艦「ときわ」が、アメリカ海軍の補給艦「ペコス」に給油しました。
そして補給艦「ペコス」がその後、アメリカ海軍の空母「キティホーク」に給油したのです。

空母(航空母艦)は甲板が滑走路になっていて、そこから戦闘機が飛んでいってイラクなどで空爆をしています。
040227-N-1854W-004.jpg
http://www.kittyhawk.navy.mil/ より)

直接、空母に補給するとイラク戦争のような非人道的な攻撃に荷担しているのが明らかになるので、間に補給艦を入れることでわかりづらくしたとされています。

■政府が説明していた補給量は違っていた!

この問題が明らかになった当時、政府は、自衛隊の「ときわ」から米軍の補給艦「ペコス」に給油したのは約20万ガロンだった、「キティホーク」に間接給油したとしても20万ガロンは一日で使う量だからその日で使い切り、その後、イラクに向かったのだから問題はない、と説明していました。

ところが、ビースデポの調査で「ときわ」が給油したのは約20万ガロンではなく約80万ガロンだったことがわかりました。

kansetsu_2.jpg

さらに、キティホークは当時、対アフガンの作戦には参加しておらず、給油されてからすぐにペルシャ湾に入っていたことがわかりました。

■全体の55%、105回分が「間接給油」!

情報公開が充分でないという指摘を受けて、防衛省は不完全ながらも給油活動についての情報を公開しました。
それによると、上記のような補給艦への「間接給油」は105回にもわたり、給油流全体の55%にもなることがわかりました。
http://www.asahi.com/politics/update/0928/TKY200709280364.html

町村官房長官は、今後は補給艦への給油の中止も検討すると会見で話しました。
それは、補給艦を使った間接給油に対する「国会での追及をかわす狙いがある」とされています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007100302053589.html

野党は、国会でこの問題を徹底的に追及するようです。
給油活動を含めた自衛隊海外派遣(派兵)の是非を大いに議論してもらいたいですね。

【10月5日 追記】
昨日アップしたこの文章中、ペコスの画像と空母の名前、引用元のURLが違っていましたので訂正させていただきます。
失礼しました。ご指摘ありがとうございました。

【10月25日 追記】
その後、10月11日に米軍から「キティホークは、ペコスから67万5000ガロンの燃料補給を受けた」という発表があり、日本政府も追従しました。
「ときわ」からの給油量を間違えて発表していた件については、当時の海上幕僚監部 防衛課長が間違いに気が付いたのにもかかわらず報告していなかったとされています。
この人物は自民党 片山さつき衆院議員の公設秘書になっていたのですが、この件が明るみに出て辞職しました。
同じ10月11日には、イラク戦争に参加したイージス駆逐艦「ポール・ハミルトン」に直接給油していたことも明らかになりました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/62329553.html
posted by あつこば at 13:03| Comment(12) | TrackBack(0) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月03日

沖縄で「集団事件」に対する県民大会(追加)

※前回(9月30日)に書いた文章をお読みでない方は、以下を先にお読みください。
http://atsukoba.seesaa.net/article/58069578.html

■政府は動かしたものの

「集団自決」の教科書記述に関する9月29日の沖縄での県民大会は、政府を動かすことになりました。

ただ、その後、文部科学大臣は教科書会社から訂正申請を出させてそれに対しては柔軟に応じるという解決方法を打ち出しています。

これでは沖縄の県民大会の大会決議である「検定意見の撤回」にはなりません。

詳しくは、以下をご覧ください。

沖縄タイムス社説[記述復活の動き]収拾策の中身が問題だ
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071003.html

野党、国会に見直し決議案共同提出へ
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710031300_01.html

検定意見撤回を否定/要請団に文科相回答
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710031700_01.html

実行委に落胆の色/検定撤回否定
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710031700_02.html

■前回の文章へのコメントに関して

前回(9月30日)に書いた文章に対して、いくつかのコメントをいただきました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/58069578.html

それについてお答えしたいと思います。

ます、参加人数に関してですが、前にも引用したように、
----------------------------------------------------ここから引用----
宮古、八重山の郡民大会も含めると、県内外から11万6千人(主催者発表)
-----------------------------------------------------引用ここまで---
とのことです。

この種の参加人数に関する一般論としては、主催者発表はかなり多めで、警察発表は少な目なことが多いです。マスメディアによっては自社で調査した独自の数字を報道するケースもまれにありますが、今回はそうした報道はありませんでした。
私が知り得ているのは、それだけです。

意味としては、これまで本土復帰後最大と言われてきた1995年の県民総決起大会が8万5000人(これも主催者発表)であり、それを大幅に上回る人々が集まったということです。
参加人数の実数がどうかはわかりませんので、それよりも1995年の時よりも多いということが、沖縄について知る人にとっては非常にインパクトがあることだと思います。

今回の県民大会がこれだけ大規模になった課程については、以下のQAB(琉球朝日放送)の特集が参考になります。
http://www.qab.co.jp/01nw/07-09-28/index7.html

■会場の様子は?

沖縄では復帰後最大となった県民大会の会場の様子がどうだったのかですが、さまざまなメディアやメールから、以下を紹介しておきます。

----------------------------------------------------ここから引用----
大会はむしろ厳粛なと言ってもいい雰囲気の中で静かに進んでいきました。
会場への往復は、バスに乗って立ったまま何時間も過ごしました。
-------------------------------------------------------中略---------
会場から宿舎に帰る道は参加者のバスで渋滞し、普通1時間ですむ道のりが3時間かかりました。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
(メールより)

----------------------------------------------------ここから引用----
会場内は身動きが取れない状態となり、周辺に人があふれました。会場につながる道路では人の列が続きました。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-09-30/2007093001_01_0.html

会場に入りきれないほどの人がつめかけていたことがわかります。
それでも大きな混乱がなく県民大会が成功したのは、日本軍の関与による「集団自決」という悲惨な歴史を否定させてはならないという、厳粛な気持ちが参加者ひとりひとりにあったからではないでしょうか?

さらに、集まった人達について書かれている部分を紹介しましょう。

----------------------------------------------------ここから引用----
会場には、大会開始1時間前から、お年寄りや制服姿の中高校生、親子三世代の大家族など各世代が続々と集まり、大会中も会場に向かう列が絶えず、「軍命」で住民が死に追いやられた過去の正しい史実を世代間でリレーした。
-------------------------------------------------------中略---------
次代を担う子どもたちのために「暑さに負けじ」と参加した親子連れが目立った。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-27670-storytopic-1.html

----------------------------------------------------ここから引用----
何よりも感じたのは、「動員されて来た」というよりも、ビラを受け取られなかった方が急ぎ戻って持って行かれる…、そんな一人一人の「参加」の意識が高い集会だったということです。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
(メールより)

----------------------------------------------------ここから引用----
沖縄戦の記憶は県民の心の奥深くに脈打っている。自分の親や子どもに手をかけ、親類などが「集団自決」した関係者にはさらに重くのしかかる。
-------------------------------------------------------中略---------
参加者は決して政治的な意図を持った人たちではない。農業に従事する人、漁業者、公務員、会社員、婦人会の仲間、世代を超えて中学生、高校生だけのグループもいる。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070930.html

----------------------------------------------------ここから引用----
午後三時に大会が始まってからも、会場を目指す人の波は続いた。車いすのお年寄りと、乳児を乗せたベビーカーが、並んで進む。うるま市の山城真理子さん(54)は「大人から子どもまで、本当に県民こぞっての集まり」と、感激の面持ちを浮かべた。
--------------------------------------------------------------------
会場の広大な芝生は人で埋め尽くされ、周辺の敷地にも参加者があふれ返った。あらゆる木陰や車の陰に人、また人。
--------------------------------------------------------------------
「一九九五年の大会ではこの辺りまではいなかった。きょうは二倍いるんじゃないか」と驚く沖縄市の照屋哲さん(68)。ステージは遠く見えないものの、私語はほとんどない。訴えにじっと耳を傾け拍手を送った。
-------------------------------------------------------中略---------
体調が悪く、不参加を決めていた豊見城市の金城範子さん(64)は、朝起きてすぐに意を決し、足を運んだ。「私の後ろには、参加したくてもできない戦没者やお年寄りがたくさんいる。責任に押された」。最前列に一人で座り、「日本兵を恨みはしない。ただ、自分の名誉のために歴史全体を曲げることだけはしないでほしい」と訴えた。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709301300_02.html

----------------------------------------------------ここから引用----
会場に入りきれない人々は、公園や隣の建物、小道、雑木林の中に座り、遠くで聞こえるマイクの声にじっと聞き入った。ステージが遠くても、見えなくても、(中略)検定撤回を求めるスピーチが続く舞台を静かに見詰め続けていた。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709301300_04.html

こういった集会には労働組合等による「動員」で人が集められるということも、実態としてはあります。

しかし、そうした「動員」だけで集まったのではなく、それぞれの人が悲惨な歴史を無かったことにしてはならないという思いを抱いて集まったことがうかがわれます。

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画像は「ジュゴンの家日記」より
http://dugong2007.tuzikaze.com/07_9_3.html

■軍の関与を裏付ける新たな証言

「集団自決」とは、第二次世界大戦の末期、沖縄戦で日本軍の関与により、沖縄の人達が親子や親戚、近所の知り合いなどでお互いに殺し合ってしまったという悲惨な出来事です。

その中から生き残った人達は、肉親や知人が殺し合うという壮絶な体験はつらくてとても思い出したいものではありません。第三者が軽く批評してしまえるものではないのです。

ところがが、今年3月の教科書検定で、軍の関与を否定する検定意見が出されたのです。

今回の大会決議にも、以下のように書かれています。
----------------------------------------------------ここから引用----
沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定し、歪曲しようとするものである。

このため、これまで口を閉ざしていた多くの体験者が、子どもたちに誤った歴史を教えることの危機感から、つらい体験や真実をようやく語り始めている。
-----------------------------------------------------引用ここまで---
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2007092901000460_Detail.html

つらい体験ではあるけれど、「日本軍の関与がなかった」などと歴史を否定することは許されるものではありません。
そこで沖縄の県や市町村の議会が動き出したのです。

----------------------------------------------------ここから引用----
県議会と全四十一市町村議会で検定意見撤回を求める意見書が採択されたのは、その民意の表れだ。
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「集団自決」に対する日本軍の強制があったことを証明するこれまでの研究に、体験者による新たな証言がいくつも加えられ、検定結果への反証として示されてきた。
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http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709301300_05.html

----------------------------------------------------ここから引用----
集団自決があった座間味(ざまみ)村で、沖縄戦当時、村助役だった男性(故人)の妹が「兄は軍の玉砕命令が下りたと言っていた」など軍の命令をうかがわせる新たな証言をするなど、生存者の証言も相次いで出てきた。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070930-00000000-maip-soci

あまりにもつらい出来事なのでこれまでに語らなかった人達も、今回の教科書検定の問題に対して「自分が語らなければならない」と証言をし始めました。

今回の大会でも発言した方がいました。

----------------------------------------------------ここから引用----
今回の教科書検定を機に初めて声を上げた渡嘉敷村教育委員会委員長の吉川嘉勝さん(68)が登壇すると、会場はピーンと張りつめた空気に。積極的に「集団自決」の体験を話してこなかったという吉川さんが「軍の命令・強制・誘導」の“核心”を証言する間、万余の人で埋まった会場は静まり返った。「このままではあの戦争の時代が来るかもしれない。子どもや孫の時代が危ない。そう考えるのはわたしだけでしょうか」と吉川さん。その瞬間、大きな拍手がわき起こった。
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http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-27670-storytopic-1.html

今回の県民大会は、これだけ重いものだったのです。
posted by あつこば at 21:12| Comment(12) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月01日

10月12日(金)福岡で『基地はいらない、どこにも』上映!

米軍再編ドキュメンタリー『基地はいらない、どこにも』が福岡で上映していただけることになりました。
鹿児島県に続いて九州は二度目になります。
私もトークでおうかがいします。ぜひ、よろしくお願いします。

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■「ハートフルフェスタ2007」参加行事■
ビデオ上映&講演会
「 基 地 は い ら な い 、 ど こ に も 」

日時:2007年10月12日(金)18:30〜21:00

場所:福岡市人権啓発センター「ココロンセンター」研修室
   http://jinken.city.fukuoka.jp/
   博多リバレイン・リバレインオフィス10階
    福岡市営地下鉄/「中洲川端」駅下車 地下より直結
    バス/明治通り「川端町(博多座前)」下車すぐ
    天神から徒歩約10分
   地図 http://jinken.city.fukuoka.jp/shisetsu/access.html

参加費:500円(高校生以下無料)

主催:沖縄とむすぶ市民行動・福岡

主催者のブログは以下です。
http://kshibata7.cocolog-nifty.com/okinawa/2007/09/post_240a.html

posted by あつこば at 15:56| Comment(4) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする