2008年02月28日

イージス艦「あたご」とは?

19日に起きた海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」と漁船との衝突事故については、マスコミでかなりの報道がされています。

ここでは事故を起こした「あたご」はどんな船なのかを考えてみましょう。
今回の事故はイージス艦であることが直接の原因ではありませんが、話題になっていますし、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」の位置づけをあらためて考えてみるのも意義があることだと思います。

イージス艦というのはアメリカで開発されたイージス・システムを搭載した艦艇のことです。
江畑謙介さんの『日本の防衛戦略』によると、フェイズド・アレイ・レーダー(SPY-1)によって空を警戒し、複数の目標に対してミサイルを発射し目標に向かって誘導できる機能を持っているとされています。

177_spy-1_.jpg
この画像の八角形の部分が「あたご」のフェイズド・アレイ・レーダーです。ただしこのレーダーは今回の事故とは、ほぼ関係がありません。
http://atsukoba.seesaa.net/article/84962867.html

イージス艦をアメリカ以外で導入したのは日本が最初です。
海上自衛隊のイージス護衛艦は、もともとは米ソ冷戦が続いていた1980年代にソ連軍の爆撃機による空からの攻撃に対処するために導入が決まったそうです。
しかし、冷戦が崩壊してもイージス艦は造られ続けました。前述の本では、
↓ここから引用
--------------
本来なら、民主主義の国であるなら、90年代の初め、遅くとも92年の段階で、本当にイージス艦の建造を続ける必要があるのかについて、立法府で議論があってしかるべきであったろう。
--------------
↑引用ここまで
としています。

その後、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)がミサイルを持つようになり、イージス艦は結果的にそれに対抗するのに役にたつということになりました。
つまり、イージス・システムを改造したイージスBMDによって相手が撃ってきたミサイルを探知し、こちらから撃つミサイルで撃ち落とすという海上でのMD(ミサイル・ディフェンス)計画になったのですね。

そして4隻造られた「こんごう型」に続いて、それよりもひとまわり大きな「あたご型」が造られているのです。現在では「あたご」に続く6番目のイージス護衛艦「あしがら」もほぼできあがっています。
(この記事を書いた時には「7番目のイージス護衛艦も建造が予定されている」と書きましたが、私の勘違いだったようですので訂正します。)

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(今回事故を起こした「あたご」)

MD(ミサイル・ディフェンス)計画に関しては賛否両論ありますが、仮に日本にとってイージスBMDとMD用ミサイルが不可欠であると仮定しても、あまりにも金額が高いイージス艦は必要ないのではないかという説もあります。
ちなみに「あたご」の建造費は1475億円とされています。(1400億円、1453億円という記述もあります。)

前述の本で江畑謙介さんは以下のように書いています。
↓ここから引用
--------------
イージス・システムとSM−3迎撃ミサイルが、どうして【中略】「駆逐艦型」の船に載せなければならないのかという疑問が生じる。
--中略--------
専守防衛で、海外で「積極的な」、あるいは攻撃的な軍事力の行使はしないとしている日本が、イージス・システムを【中略】巡洋艦や駆逐艦型の船体に搭載する必要性はない。
それよりも、例えば、コンテナ船のような船にイージス・システムとSM−3を搭載し、良い居住性を持たせて日本海に配置した方が、よほど日本に対する弾道ミサイル防衛という目的には効果的ではないだろうか。
--------------
↑引用ここまで

江畑さんのこの説については異論がある方もいるでしょうが、こういう視点を持つということも大切です。

atago_mitsubishi.jpg
(建造されていた当時の「あたご」 2005年撮影)

「あたご」は三菱重工の長崎造船所で造られました。建造された場所は、かつての戦艦「武蔵」と同じ第二船台(BERTH No.2)でした。

「あたご」の名前は、当初、海上自衛隊の内部で募集されて候補名を絞り、「旧海軍を代表する名前」が候補にあがったのですが、撤回されたそうです。
候補にあがっていた名前は、旧海軍の「長門(ながと)」「大和(やまと)」だったなどの説があります。
海上自衛隊のイージス艦には、すべて大日本帝國海軍の巡洋艦の名前が付けられています。

現在のところ、最新鋭のイージス艦の中でももっとも新しい艦艇ですから、海上自衛隊の中でも花形といえる船でしょう。

ただ、「あたご」には現在のところ、ミサイル防衛用のSM−3は搭載していません。
昨年12月、ハワイでSM−3によるミサイル迎撃の実験に成功したとされているのは、海上自衛隊のイージス艦の中でも一番最初に造られた「こんごう」です。

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(昨年12月、「こんごう」によるミサイル発射)

「あたご」は、去年3月に就役し、11月からハワイで対空ミサイルSM−2の発射試験をしていたとされています。

実践配備では「こんごう」に先を越される形とはなりましたが、ミサイルの発射実験にも無事成功した「あたご」も、今後イージスBMDへの改造が予定されています。

防衛省・自衛隊は昨年、不祥事などの逆風が続いていましたが、守屋前事務次官の問題も一段落し、インド洋での給油活動も再開することになり、ようやく落ち着いてきた時に起きたのが今回の事故です。

防衛省の発表によると「あたご」が現場海域を通過するのは初めてだったそうです。
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiifeb0802529/

やはり、乗組員に油断があったのだろうということは想像ができます。

石破大臣は24日の『サンデープロジェクト』で、
↓ここから引用
--------------
国を守る「誇り」が「おごり」に通じているとしたら、それはとんでもないこと
--------------
↑引用ここまで
と話していました。

そこは、もう少し捜査が進み、たとえば民間の大型艦や他の自衛艦が現場海域を通る時はどうだったのか、「あたご」の乗組員の意識がどうだったのかなどの情報も出てこなければわかりません。

昨日(27日)、ようやく「あたご」の艦長が公式の場に現れ謝罪しました。記者会見では「あの海域で漁船が多い状況であったということを理解していないのは問題だった」と語ったそうです。
http://www.asahi.com/national/update/0228/TKY200802270395.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080228-OYT1T00115.htm

防衛省が虚偽の説明をしていたという問題も出てきて、石破防衛大臣は窮地に追い込まれています。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080219-1263180/fe_080228_01.htm?from=yoltop

事件については海上保安庁の調査が一段落するまでは、実情がなかなかわかりません。

(この記事を書いた時には「7番目のイージス護衛艦も建造が予定されている」と書きましたが、私の勘違いだったようです。失礼しました。ご指摘くださった方に感謝します。)
タグ:自衛隊
posted by あつこば at 11:19| Comment(5) | TrackBack(2) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月26日

寝顔を見せて

めずらしく音楽のことを書きます。……とは言ってもやっぱり基地に関係があるんですが。

ソウル・フラワー・ユニオンのCD『寝顔を見せて』に「辺野古節」という曲が収録されています。そのCD用に沖縄 辺野古(へのこ)についての短い解説文を書きました。
短く正確に書くというのはかなり難しくて、たくさんの重要なことがらの中から絶対に外せないことと触れなくてもいいだろうと思われることを峻別しなければなりません。

ドキュメンタリーの映像作品でも、最初の編集作業として撮った映像の中からよいと思ったシーンをつないでみるとものすごく長い時間になります。撮った時の思い入れがあるとなかなか短くできません。涙をのんでどうしても必要だと思う以外のところはカットしていきます。そうしているうちにある程度の時間内で作品として人に観てもらえる形になります。
おそらく文章や映像に限らず、どんな表現でもどんな仕事でも、それまでの蓄積を凝縮して表に出すという意味では同様でしょう。

jk.jpg

さて、ソウル・フラワー・ユニオンのCDですが、タイトル曲の『寝顔を見せて』は子供に向けての歌、そういえば彼らも親の年齢になった(実際に子供がいるメンバーもいる)んだなあと思いました。
『辺野古節』はお年寄りから子供まで誰にでも歌える「民謡」として作られています。阪神大震災の避難所への慰問演奏から生まれた別働隊「ソウル・フラワー・モノノケ・サミット」の編成(三線やチンドンなどのアコースティック)です。
震災の時に作られた『満月の夕(ゆうべ)』や、これまでのアルバムの中からこのアルバムにぴったりな曲のライブバージョンも収録されていて、とってもあったかい統一感があるCDです。

子供への、大人への、沖縄への、地球への、世界への、愛情にあふれた一枚!
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2008年02月21日

米兵による犯罪は頻繁に起きている

岩国市長選挙が行なわれた10日の夜、沖縄で女子中学生が米兵に暴行されるという事件が起こりました。
人間の尊厳を踏みにじるあのような犯罪は許してはならないものです。

11日昼のNHKニュースによると、高村外務大臣は「極めて遺憾なことだ」「法と証拠に基づいてきっちり対応する」と述べた後で、
--------------------
国民感情からみて、日米同盟に決して良いことではないので、影響をできるだけ小さくおさえるようにしたい
--------------------
と言ったそうです。

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(オフィシャルサイト http://www.koumura.net/profile/index.html より)

「日米同盟」を優先して、この問題を小さく扱いたい、という本音が透けて見えます。

米兵によるこうした犯罪が起きる状況を作り放置している日本政府は、まずは被害を受けた方に対して謝罪しその被害を少しでもやわらげるための努力をするべきです。

こうした事故が起きると、いつも「綱紀粛正」や「再発防止」が言われます。2006年に神奈川県横須賀で米兵による強盗殺人事件が起きた時にも、米兵が横須賀の街を掃除するパフォーマンスが行なわれました。

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(2006年の米兵による強盗殺人事件に抗議するデモにて:横須賀)

米軍が上陸した1945年からずっと米兵による犯罪が続いてきた沖縄でも、1995年の少女暴行事件をきっかけにして、米軍による「良き隣人」政策が行なわれてきたと言われています。

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(在日米国海兵隊のサイト http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Community/Community.html より)

しかし、日本政府が「綱紀粛正」や「再発防止」を求め、米軍が「良き隣人」だと振舞おうとしても、米兵による犯罪は減りません。
10日の事件の後も、米兵による住居不法侵入や酒酔い運転といった犯罪が続きました。

福田首相はこうした事態について「米軍もどうなっちゃったんですかね」と言いました。

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(防衛省のサイトより)

しかし、米軍は実は最近こうなったわけではなく、もともと数多くの犯罪を起こしているのです。

女性への暴行事件の場合、被害を受けた方が二重の苦痛を避けるために訴えないことも少なくないのです。

住居不法侵入やタクシーの料金を踏み倒すなどの事件は、明らかになっているだけでもかなり頻繁に起きています。

いまさら始まったことではないのに「どうなっちゃったんですかね」などというのは認識不足です。


以下のブログもぜひご参照ください。
http://shinakosan.ti-da.net/e1965990.html
http://plaza.rakuten.co.jp/yoshio777/diary/200802200000/


【追記】
今月18日頃に沖縄で米陸軍兵がフィリピン人の女性を暴行していたことが明らかになりました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080221-OYT1T00333.htm?from=main2
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008022102089239.html
http://www.asahi.com/national/update/0221/SEB200802210001.html

【3月2日 追記】
「沖縄の米兵の犯罪率は沖縄県民の犯罪率よりも少ない」という言説の間違いについて書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/87966894.html

【4月12日 追記】
アメリカ側からの謝罪と、その背景について以下に書きました。
「アメリカがこんなに謝る相手は日本だけ!?」
http://atsukoba.seesaa.net/article/93114851.html
posted by あつこば at 11:25| Comment(71) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月20日

イージス艦と漁船の事故

昨日早朝、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突し、清徳丸に乗っていた親子が行方不明になってしまいました。現在でも二人は見つかっていません。まだ捜索は続いているようです。生きていらっしゃることを祈ります。

こうした事件・事故が起きると私を含めて反戦・平和の気持ちを持っている人やマスコミは、「自衛隊が悪い」「イージス艦が悪い」と言いたくなりがちです。
とりあえずは予断を避け、正確な情報に基づいた判断をすることが大切ですね。

さまざまな報道などをチェックしてみました。

「あたご」は海上自衛隊のイージス艦で、それまでの「こんごう型」よりもひとまわり大きい艦艇です。

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(三菱重工 長崎造船所で作られていた「あたご」 2005年撮影)

イージス艦は探知能力と情報処理能力が優れていると言われていて、敵対する国が撃ってきたミサイルを捜して追尾する能力を持っています。
(「こんごう」は海の上から迎撃ミサイルを撃ってミサイルを落とす装備を備えていますが、「あたご」は捜索・追尾のみで迎撃する装備は持っていません。)

177_l_600.jpg

今回の事件が起きた後の記者会見では「最新鋭の探知能力を持つイージス艦なのになぜ?」というような質問が相次いだそうです。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080219/dst0802191040010-n1.htm
↓ここから引用
--------------
「事故を起こしたのが最新鋭のイージス艦だったことについてどう考えるか」との質問が相次いだ。防衛省幹部らは「最新鋭であるかそうでないかは関係ない。今は漁船乗組員の方々の捜索に全力を挙げる」と述べるにとどまり、事故原因についても「調査中」を繰り返した。
--------------
↑引用ここまで

たしかに軍事的には最新鋭であっても、海面にいる漁船は見つけにくいようです。

「最新鋭のレーダーでも見つけにくい」 「世界の艦船」編集長 木津徹
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080219/dst0802191042011-n1.htm

以下の画像で下の部分にある八角形の部分が最新鋭のフェイズド・アレイ・レーダー(SPY1)です。
対水上レーダーと航海レーダーは、丸で囲んでいる部分です。

177_l_radar2.jpg

昨日、NHKの「NEWS 7」での解説を要約すると、
--------------
八角形の部分は防空用
基本的に空を飛ぶ目標物の探知に使われるもので作戦や訓練の時に使う
一般の航行時には使わない
--------------
海上の船などをチェックするのは、艦橋に取り付けられた水上レーダー
相手が小型の漁船の場合、数10キロ以内のものが探知でき、操舵室と戦闘指揮所にあるレーダー画面でそれぞれ一人の隊員が監視
--------------
さらに通常の監視体制では艦橋の左右、そして後方の甲板に3人の隊員が配置されている
艦橋の中にも2人、あわせて5人が24時間体制で周囲の見張りを行なっている。
--------------
とのことでした。

20080219.jpg

石破大臣は昨日、自民党の部会で説明をしたそうです。
それによると、

事故が起きた2分前に、衝突したのとは別の漁船がイージス艦の前を横切り、その際に緑の明かりを確認した

1分後に緑の明かりがスピードを上げたので漁船だと確認した

その時点で「あたご」は全力で後ろに下がろうという行動をとった。100メートル前方の漁船も大きく右側に舵を切ったが午前4時7分に衝突した。

とされています。

↓ここから引用
--------------
(「海上衝突予防法」では)2隻の船が進路を交差して横切る場合、相手を右舷側に見る船が右に進路を転じて衝突を避け、一方の船は進路、速力を保ったまま航行することを定めている。
--------------
↑引用ここまで
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008022002088988.html

今回、イージス艦「あたご」は「全力で後ろに下がろうという行動をとった」そうですが、右に舵をきっていなかったとすると、回避の仕方に問題があったのかもしれません。
以下のような報道もあります。

イージス艦、停止間に合わぬ速度 分速300メートル
http://www.asahi.com/national/update/0220/TKY200802200120.html

「あたご」のような大きさの船は、止まったり後ろに下がったりするのには時間がかかります。

「あたご」の前を横切ろうとした漁船のスピードや航路、付けていたランプ等が適切だったのかどうかについては、まだはっきりとはわかりません。

今回の事故の原因がどこにあるのかは、まだわかっていませんので予断は避けるべきですが、自衛隊の側の責任は免れそうにありません。

また、事故が起きたという情報が石破大臣や福田首相に伝わったのが遅すぎたという点も問題になっています。

【2月21日追記】
その後、清徳丸のライトは出港時にはすべて点いていたという目撃証言が出てきました。
また、石破大臣が19日に説明した内容と食い違う証言もいくつか出てきました。

【2月28日追記】
今回の事故と、イージス艦「あたご」について以下の文章を書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/87505509.html
タグ:自衛隊
posted by あつこば at 15:09| Comment(4) | TrackBack(2) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沖縄 高江(たかえ)で作業強行!

【転載歓迎】
沖縄の東村(ひがしそん)高江(たかえ)で、米軍ヘリパッド建設のための作業が強行されました。

現地では環境アセス法を無視した建設を阻止するために座り込みが続いていますが、今朝、「N4」と呼ばれるゲートからトラック7台に入られたそうです。

現地からの最新情報は以下です。
http://takae.ti-da.net/

以下、辺野古からの情報からの一部転載です。
http://henoko.jp/info/
「砂利の搬入を強行されてしまいました。N1ゲートからは小型ダンプ2台が入り、10人の警備員に5人の沖縄防衛局職員が警備にあたっているようです。N4ゲートからは7台の大型ダンプが入り、警備員30人、沖縄防衛局職員10名が動員されました。現場では出て来るところを待って抗議する準備をしているようですが、沖縄防衛局は今日は作業終了を告げているようで、搬入強行のみだったようです。」

takaeN1-1_400.jpg

東村 高江については以下に書いています。
http://atsukoba.seesaa.net/article/70185607.html
http://atsukoba.seesaa.net/article/70185607.html

映像は以下で観られます。
http://atsukoba.seesaa.net/article/83377557.html
posted by あつこば at 09:29| Comment(2) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月17日

岩国市長選挙で井原氏が負けた理由

10日に行なわれた岩国市長選挙では、前市長の井原氏を1782票という僅差でなんとか破った福田氏が当選しました。

■いわゆる「旧郡部」での組織票

中国新聞で詳しい分析がされています。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100291.html
福田氏は、
↓ここから引用
--------------
議員バッジを外し、「市民党」を前面に、若さもアピールした。女性部会や同級生グループ、移転容認派の市議らが活発に組織づくり。一方、四月の衆院山口2区補選をにらむ自民、公明両党が水面下で支援し、組織選で旧郡部を中心に市内全域に短期間で支持を広げた。
--------------
↑引用ここまで

岩国市は2006年3月20日に8つの市町村が合併しました。いわゆる「旧郡部」では、岩国基地からは離れているため、一部を除けば基地の騒音被害はあまりありません。

iwakuni_gappei.jpg

↓ここから引用
--------------
福田氏は一昨年合併した山間部でも票を集めたが、市の中心部との格差感に加え、騒音があまりないため移駐問題にも温度差がある。
--------------
↑引用ここまで(東京新聞 2月13日)

合併した時の市長選挙では井原氏が圧勝しました。その時は住民投票が行なわれた翌月だったということもあり、井原氏の側に勢いがありました。

■公明党の支援と何種類ものビラ

そして前回は「自主投票」にしていた公明党県本部が今回は井原氏の対立候補である福田氏を支援しました。

↓ここから引用
--------------
ファミリーレストランや美容室では、声高に井原氏を批判する女性グループが活躍したとの証言もある。
--中略--------
選挙戦では、井原市政のままでは財政破たんすると強調するビラが何種類も作られ、大量にまかれた。結果的にはこれが効いた。
--------------
↑引用ここまで(東京新聞 2月13日)

20080211_402311.jpg
http://kuropanda2006.jugem.jp/?eid=196 より拝借しました。)

「ささやき作戦(?)」を具体的に指摘しているブログもありました。
http://30884187.at.webry.info/200801/article_7.html

■自民党 水面下の組織戦

前回、井原氏が圧勝した市長選挙では、当時の安倍官房長官や麻生外務大臣が対立候補の応援に駆けつけたのにもかかわらず負けたので、自民党から応援に行ったのがかえって反発を招いたのでは、とも言われました。

そうした反省から、もともと「小泉チルドレン」だった福田氏は自民党色を極力消しました。

石破防衛大臣も岩国入りを断られました。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100297.html
↓ここから引用
--------------
石破氏は、米軍再編計画に盛り込まれた岩国基地への艦載機移転の重要性を訴えたいと現地入りを打診したが、福田陣営は「来ると逆効果」とやんわり断っていた。
--中略--------
福田氏の議員辞職に伴い、四月二十七日に実施される衆院山口2区補選は、福田政権発足後初めての国政選挙となる可能性が高い。このため自民党は補選勝利への“布石”として福田氏を水面下で支えた。「支援団体を動かす」と、福祉関係団体や看護連盟などに電話作戦を展開。企業には従業員を期日前投票に行かせるよう求めるなど組織戦を徹底させた。
--------------
↑引用ここまで

期日前投票の数は前回の約2倍でしたから、自民党・公明党の水面下での組織戦はかなり効いたようです。

投票率が、前回の市長選挙が65.09%から76.26%に上がったのには、こうした理由もあるのでしょう。

■井原氏側の敗因

とはいえ、井原氏が前回の市長選挙で獲得した得票数は5万4144票なのに対して、今回は4万5299票ですから、単に組織票で福田氏への投票率が上がって破れただけではなく、前回の選挙から票を取りこぼしているのは事実です。

井原氏は1999年以来、3度にわたる市長選挙で勝ってきましたが、今回は同様にはいかなかったようです。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100297.html
↓ここから引用
--------------
井原氏は「乱暴な補助金カットというアメとムチは認められない」と訴えたが、多くの市議が議会のリコールや解散につながることを恐れ福田氏を支援。頼みとした地元労組の動きも鈍く、補選への出馬を予定している民主党の平岡秀夫衆院議員陣営は「福田票もほしい」と自主投票を決め込んだ。
--------------
↑引用ここまで

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100291.html
↓ここから引用
--------------
過去三回の市長選と同じく「草の根運動」を展開し、民主、共産、社民の各党支持者からも支援を受けたが、組織力に勝る相手の勢いを止められなかった。
--------------
↑引用ここまで

著名人が何人も井原氏の応援に駆けつけたり、ネットでの井原氏の支持が広がったりはしましたが、そうした声は、いわゆる「旧郡部」の人々の投票行動を動かすところまでは届かなかったのかもしれません。

投票日の直前、「名護市に再編交付金支給」という報道がされたのも影響があったと思います。

若者の心をつかめなかったのではないか、という分析もあります。
http://www.news.janjan.jp/government/0802/0802110603/1.php

■「艦載機移転は争点にならなかった」

F18densen+title.jpg

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_08021106.htm
↓ここから引用
--------------
岩国市麻里布町の事務所に姿を見せた井原勝介さんは、市の財政危機を強調した福田さんとの戦いを振り返り「艦載機移駐という最大の争点が隠されてしまった」と肩を落とした。
--------------
↑引用ここまで

福田氏は、選挙期間中も空母艦載機の移転に関しては「容認」とは言ってきませんでした。

http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200802110103.html
↓ここから引用
--------------
福田陣営が掲げたのは「岩国再生」の旗印だった。市政が混乱を極め、財政も破たん寸前に陥っている。米軍再編も重要だが、最大のテーマは日々の生活の立て直しだ―。街頭演説では、こうした訴えに聞き入る市民から拍手が起きていた。若さを前面に押し出し、対立から協調への路線転換をアピールする手法も、支持の輪を広げる力になったようだ。
--------------
↑引用ここまで

選挙期間中も「国の言いなりにはならないし、オール市民の意見を国にもの申す」と繰り返していたそうです。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200802110103.html

そして、選挙の結果が僅差でしたし、ヘタをするとリコールされる可能性もあるので、福田氏は艦載機の移転に関してさらに慎重になっています。

http://www.asahi.com/politics/update/0210/SEB200802100009.html
↓ここから引用
--------------
福田氏は当選確定後、「相手陣営の意見にも耳を傾け、市民の心を一つにしていかなければならない」と語った。
--------------
↑引用ここまで

↓ここから引用
--------------
安全が確保されない場合、移駐に反対する可能性があるかどうかを問われると、「ある。容認派と呼ばれているが、私は容認すると言ったことはない。日米安保の重要性から米軍再編は必要だが、防音問題が担保されなければ協力できない」と強調した。
--------------
↑引用ここまで(東京新聞 2月13日)

国は、これで「岩国は容認に変わった」という印象を強めたいという思惑もあって、凍結していた新市庁舎建設の補助金を出すと言い始めました。

それによって空母艦載機の移転を容認する流れも起こりつつありますが、岩国市民の大部分がそれを歓迎しているわけではありません。

http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200802110103.html
↓ここから引用
--------------
選挙期間中に本紙や他のメディアが実施した有権者への意識調査では、空母艦載機の移転について「反対」と答えた人が過半数を占めた。
--中略--------
岩国市内では、基地周辺の住民が騒音を理由に米軍機の飛行差し止めを求める集団訴訟を起こす動きも出ている。
--------------
↑引用ここまで

そして、山口県に対して埋め立て承認の取り消し求める裁判も始まりました。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamaguchi/news/20080207-OYT8T00774.htm

岩国での選挙や空母艦載機の移転に関しては、以下などに書いています。
http://atsukoba.seesaa.net/article/82081213.html
http://atsukoba.seesaa.net/article/75487832.html
http://atsukoba.seesaa.net/article/83005405.html

【2月19日 追記】
TBS系ラジオ『下村健一の眼のツケドコロ』のサイトでも、この選挙についての分析がされていました。なかなか重要な指摘がされています。
http://tbs954.cocolog-nifty.com/eye/2008/02/post_257e.html

私自身も「岩国の人たちは基地問題だけが争点になることに疲れていたんじゃないかな?」という感覚が沸いていたものの、情報を調べてまとめているうちに基地問題に引きずられていました。
posted by あつこば at 11:30| Comment(6) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月10日

沖縄 高江(たかえ)と東京 横田基地の上映会

沖縄 辺野古(へのこ)からさらに北にある東村(ひがしそん)高江(たかえ)で、いま、米軍のヘリパッドの建設が強行されようとしています。

この問題について、現地でずっと撮影を続けている比嘉 "マーティ" 真人さんの『やんばるからのメッセージ 〜沖縄県 東村 高江の記録〜』があります。

この作品と、東京 横田基地での基地被害を訴える作品の上映会があります。

2月15日に行なわれる上映会の案内は以下です。
http://www.videoact.jp/screening/080215.htm
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第39回 VIDEO ACT!上映会
2月15日 19時〜
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京ボランティア市民活動センター
参加費:500円
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予告編をご覧ください。


以下でもご覧いただけます。
http://kichidoko.exblog.jp/7448610/
http://dogalog.excite.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48027200/48027200peevee126023.flv
http://peevee.tv/v?2p8n5d
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2008年02月09日

辺野古(へのこ)では土日に作業を強行!

沖縄 辺野古(へのこ)では、このところ、防衛省が土日に作業を強行することが増えているそうです。
以前は土日には作業をしていませんでしたが、基地建設に対する阻止行動の中心になっている人が土日に集まりづらいことを知って、土日を狙って作業をしているようです。

現地からは、平日に来られない方は土日だけでも座り込みに参加してほしい、という呼びかけがされています。

henoko_title_320_230.jpg

現地からの詳しい状況は、
http://henoko.jp/info/
http://henoko.jp/infom/
をご覧ください。

辺野古について書いた文章は、以下にまとめてあります。
http://atsukoba.seesaa.net/article/70417549.html
posted by あつこば at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月08日

岩国市長選挙の行方は?

明後日は岩国市長選挙です。
選挙が行なわれることになった背景については、先週書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/82081213.html

岩国では2006年に行なわれた住民投票と市長選挙に続き、三度目の民意が問われることになっています。

この間ネットで流れている報道などをチェックしてみました。

■民主主義と地方自治、憲法を巡って

この問題は、空母艦載機を岩国に押しつけようとしている国と、それによって生活を脅かされる住民とがぶつかっているため、民主主義と地方自治を巡っての争いになっています。

iwakuni_kansei.jpg

前市長で今回立候補している井原氏と、先日、大阪府知事に当選した橋下氏との間で「場外乱闘」が起こりました。

橋下氏は、「国政の防衛政策に関し、地方自治体が異議を差し挟むべきではない」として、前井原市長が行なった住民投票について言及し、井原氏に「もう少し憲法を勉強していただきたい」と批判しました。

それに対して井原氏は、住民投票は「議会制民主主義を補完する大切な制度」であり、「国民がものを言うのに何の制限もないのは憲法の大原則」と返しました。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200802030031.html

橋下氏の発言に対しては憲法学者や政治学者から批判がでました。
http://www.asahi.com/politics/update/0202/SEB200802020019.html
それに対して橋下氏が「机の上の憲法論しか知らない憲法学者に、とやかく言われたくない」と反発。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/20080204/20080204_003.shtml
しかし記者から「岩国の現場をどれほど知っているのか」と質問され「現場は知りません」と答えたそうです。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200802030028.html

■移転推進派が支持する福田良彦氏とは?

fukuda_poster-01s.jpg

福田良彦氏は、2005年いわゆる「小泉チルドレン」と呼ばれて当選した衆院議員の一人でした。

衆院議員時代の2006年、岩国基地の騒音による被害を受ける地域の人たちを集団移転させるという「試案」を発表していたものの、今回の法定ビラでは触れていないそうです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-02-08/2008020804_03_0.html

「福田良彦公式ホームページ」を読むと、
米軍再編に関しては「もちろん「艦載機」は来ない方が良いに決まっています」としつつも、
http://www.y-fukuda.net/shimintou.htm
「取り組み方次第では岩国市発展のチャンス」としています。
http://www.y-fukuda.net/200801_faq.htm

住民投票に関しては、
↓ここから引用
--------------
『賛成』か『反対』か、もっと言うと『戦争に賛成か』『戦争に反対か』といったような住民投票が一昨年、行われました。
--------------
↑引用ここまで
http://www.y-fukuda.net/message.htm

岩国の住民投票で問われたのは「空母艦載機の移転」に「賛成」か「反対」かです。
『戦争に賛成か』『戦争に反対か』というのは、かなり意図的な表現ですね。

■井原氏を巡る包囲網と支援の輪

ihara_aisatu-S.jpg

続いて、井原勝介氏の「HomePage IHARA」を読んでみると、
反・井原派によって「(岩国市は)夕張のようになる」「税金が何倍にもなる」というデマが流されているようです。
http://www.ihara.org/Report2/H20/index.html?page=1
(市政報告「井原勝介の心」)

また、両候補による公開討論会も求められていますが、相手方の拒否により実現していないそうです。
http://www.ihara.org/Report2/H20/index.html?page=0
(2月1日の記者会見)

そうした中、市民集会には「2,000人以上が参加し舞台の上まで人で一杯になるほどの盛況」だったそうです。
http://www.ihara.org/diary/newDiary.cgi
(2月2日の日記)

■選挙の行方は?

選挙戦に関しては、以下のような報道がされています。

横一線(読売新聞 九州)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_08020503.htm

大接戦(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/0205/TKY200802050400.html

「福田氏やや先行」だが「井原氏猛追」という報道もありました。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008020501000630.html

福田氏は、地元の反発を恐れて自民党からの応援演説を断っているようです。
↓ここから引用
--------------
 5日、国会内で開かれた自民党役員連絡会で、古賀誠選挙対策委員長が市長選の情勢を報告。伊吹幹事長は「50票、100票差となる可能性がある。知り合いに電話で投票を呼びかけてほしい」と指示した。
--------------
 苦しい政権運営が続く与党は山口2区補選を「反転攻勢のチャンス」(自民党幹部)と位置づけており、市長選で弾みをつけたいとの思惑がある。自民党は福田氏の意向を踏まえて幹部や閣僚の応援演説を控える一方、国会議員秘書らが企業回りや電話かけなどを続けている。
--------------
↑引用ここまで
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_08020702.htm

そして、「期日前投票数は前回の2倍以上のペース」だそうです。

【追記】
岩国市長選挙で井原氏が負けた理由について以下に書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/84406613.html
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2008年02月04日

沖縄 高江で測量の車が二台入ってしまいました。

【転載歓迎】

沖縄 高江の最新情報を掲載しているブログによると
http://takae.ti-da.net/
さきほど、測量の車が二台入ってしまったそうです。

辺野古でも、陸上で作業ヤード設置のための測量を始めて止めたそうです。
http://henoko.jp/info/

高江での米軍ヘリパッド建設の問題に関しては、
http://atsukoba.seesaa.net/article/70185607.html
http://atsukoba.seesaa.net/article/52586680.html
に詳しく書いています。
posted by あつこば at 14:29| Comment(0) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月02日

岩国でなにが問題になってるの?

明日は山口県岩国市の市長選挙が告示されます。(投票は10日)
そこで今回は岩国市でなにが問題になっているのかを簡単に説明します。

■滑走路の沖合移転が事実上の基地拡張に

岩国基地は米軍と自衛隊とが共同で使っています。岩国市は長年、基地に対しては協力的でした。以下の画面にあるように岩国市役所の前には「自衛官募集」の看板が立っています。

iwakuni_jieitai.jpg

しかし、特に米軍機が激しい訓練をするので爆音の被害はかなりあります。1968年、九州大学に米軍のファントム戦闘機が墜落する事件が起き、岩国でも米軍機が墜落するのではないかという不安が広がりました。

事故の危険性や爆音による被害を少しでも減らすために、岩国基地の滑走路を沖合に移転してほしいという要望が市民の間で広がりました。

長年に渡る運動の結果、1992年、岩国市民の「悲願」だった滑走路の沖合移転が決まりました。工事は1997年に始まり現在でも続いています。

以下がもともとの岩国基地です。

okiaiiten1.jpg

そして滑走路の沖合移転工事が完成すると以下のようになります。沖合を埋め立てて滑走路ができても、その分の面積は帰ってきません。つまり沖合移転は事実上の基地拡張になってしまったのです。極東最大級の規模の航空基地になるそうです。

okiaiiten2.jpg

1997年に始まり現在でも続いている工事では、大手ゼネコンによる談合が行なわれていたことも明らかになりました。

■沖合移転が空母艦載機の受け皿に

「沖縄の負担軽減」という名目で、岩国市は1997年に普天間基地から米軍の空中給油機 KC-130の移駐を受け入れました。

また、2002年には米軍のヘリコプター CH-53のハワイからの移駐も受け入れています。

それに加えて、2005年、日米両政府は米軍再編に伴い、神奈川県厚木基地の空母艦載機も岩国市に押しつけてきたのです。

FA-18_atsugi.jpg

上記の画像が厚木基地の空母艦載機 F/A-18です。空母艦載機は特に激しい訓練を行ないますので爆音の被害はすさまじく、厚木基地周辺では爆音に対する裁判も起きています。

現在も岩国基地には海兵隊のF/A-18が所属していますが、厚木基地から空母艦載機が移駐してくると、岩国基地の軍用機の数は倍以上に増えてしまいます。

事故の危険性や爆音による被害を減らすためのはずだった滑走路の沖合移転が、空母艦載機の受け皿になってしまったのですね。これには岩国市民も「ダマされた」と思いました。

当時の井原市長は計画の撤回を求めました。そして、2006年3月12日に岩国市では住民投票が行なわれました。結果は、空母艦載機の移駐に反対する票が有権者の過半数を超したのです。

touhyou.jpg

住民投票が行なわれ結果が出た直後の記者会見の様子は以下で見られます。
http://dogalog.excite.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48027200/48027200peevee25421.flv

その後、周辺との合併により大きくなった岩国市で新たな市長を選ぶ選挙も行なわれ、そこでも空母艦載機の受け入れを巡って論戦が繰り広げられました。

自民党からは当時の安倍官房長官や麻生外務大臣が与党候補の応援に駆けつけたのにもかかわらず、井原前市長が圧勝。日本政府は、空中給油機受け入れの見返りとしてそれまで出してきた市役所の建設費を出さないと言い出したのです。

岩国市議会議員の中に徐々に移駐容認派が増えていき、井原市長と議会とが対立することになり井原市長が辞任、今回再び市長選挙が行なわれることになったのです。

これまで岩国では厚木基地周辺のような爆音に対する裁判はありませんでしたが、この春に始まるそうです。

P.S.
空中給油機の受け入れと市庁舎の立て替えに関しては http://atsukoba.seesaa.net/article/75487832.html にも書いています。

【追記】
岩国市長選挙で井原氏が負けた理由について以下に書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/84406613.html
posted by あつこば at 18:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする