そのライヴ会場となったのは、あの辺野古(へのこ)で基地建設を止めるための座り込みと阻止行動が行なわれているすぐ脇にある辺野古浜。
有刺鉄線の向こう側は米海兵隊のキャンプ・シュワブという、行ったことがある人ならばすぐにわかる、まさしくあの場所だ。

去年、ここに作られた特設ステージで「ピース・ミュージック・フェスタ!」という音楽イベントが行なわれ、いくつものミュージシャンが出演した。その中からソウル・フラワー・ユニオンとモノノケ・サミットのステージを完全収録したのがこのDVDだ。
DVDのタイトルは、ずばり『ライヴ辺野古』!
商業的なライヴ施設ではないからこそ、とてつもないダイナミズムでなにかが生まれてきそうな場がそこに成立している。
演奏者にとっては、特設ステージという困難な環境の中でのライヴだが、しっかりとして、しかも本人達のやる気が伝わってくるいい演奏だと思う。内海洋子、大熊ワタルなどのメンバーが参加しているのもうれしい。そして、シングルCD『ラヴィエベル』のジャケットにも登場した、辺野古にいつもいる名物おじさん「H坊(!)」も演奏に参加している。
ソウル・フラワーの面々とはずいぶんいろいろな現場を共にしてきた。阪神大震災の避難所、横浜のドヤ街で行なわれている「寿町フリーコンサート」、新宿で野宿生活を送っている人達の夏まつりなど、さまざまな人が集まりぶつかり合う、むき出しの現場で、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットは「うた」の持っている根元的な力を元に人々とつながってきた。
取材で辺野古に行き始めた頃、この浜でモノノケ・サミットのライヴができたら面白いんじゃないかと一人で思っていた。考えてみてもそれはなかなかたいへんそうだった。そう思っていたら知らない間にいくつかのミュージシャンがライヴをやり始め、昨年、ついに「ピース・ミュージック・フェスタ!辺野古2007」という形で現実のものになった。自分はそこには参加できなかったが、これまで共にしていた現場がまたひとつつながったという感じがした。

オフシャルページ http://www.breast.co.jp/soulflower/special/henoko/index.html
このDVDには『基地はいらない、どこにも』の予告編や、藤本幸久監督の『アメリカの戦争と日本』などの特典映像も含まれている。『アメリカの戦争と日本』は『Marines Go Home』のダイジェストに、昨年、辺野古に自衛隊が動員された頃の海上での映像が加わっていて、これだけでも買って観る価値があると思う。
そしてボーナスCDは「辺野古節」の4バージョンが収録されている。なかなか面白いバージョンで楽しめるが、個人的に一番好きなのはこれとは別の『寝顔を見せて』というCDに入っていたバージョン。
http://atsukoba.seesaa.net/article/87162309.html
本編ではソウル・フラワー・モノノケ・サミットとしてのファーストCDに入っていた「がんばろう」が収録されていなかったのが残念だが、出演時間が限られていてもともと「がんばろう」演奏されていないのだから仕方がないか(笑)。次の機会に期待しよう。
辺野古での基地建設を止めるためには、「がんばろう」ぐらいピッタリくる言葉はない。誰かが頑張るのではなく、自分も含めてお互いの力で精一杯がんばって基地建設を止めていくのだから。
P.S.
今年は「Peace Music Festa! From 辺野古 '08」として、6月22日に東京・上野で行なわれることが決定。
http://www.peace-music.org/index.html