すでに皆さんご存じかと思いますが、20日早朝のNHKでの報道です。
http://www3.nhk.or.jp/news/k10013326101000.html ↓ここから引用
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19日、岡田外務大臣と北澤防衛大臣が、参議院外交防衛委員会で、沖縄県外への移設は現時点では難しいという認識を示したほか、
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鳩山総理大臣も記者団に対し、「沖縄県外は難しいけれども、県民の皆さん方の気持ちを大事にしたい。その中で頑張っているところだ」と述べました。
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政府は地元側の一定の理解を得るため、県外に基地機能を分散させることなども含め、移設案を検討する見通しです。
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↑引用ここまで
政府は、九州などに「訓練や部隊の一部を移す」ということで、沖縄の人達に納得してもらおうとしているようです。
「一部を移す」などと言っても、メインの飛行場が「キャンプ・シュワブ陸上案(辺野古)」や「ホワイトビーチ沖案(勝連沖案)」では沖縄の人達に納得してもらえないでしょう。
そして、「一部を移す」という考え方は危険です。アメリカ側に逆に利用される可能性もあります。
アメリカ側は交渉が上手いのです。これまでの米軍再編に関する日米間の交渉を検証すると、交渉すればするほどアメリカ側が有利になっているのがわかります。
たとえば、普天間基地に所属している空中給油機は、米軍再編のいわゆる中間報告では九州の鹿屋(かのや)基地に移転するとされていましたが、日米交渉を経た、いわゆる最終報告では鹿屋と岩国、グアムに「ローテーション展開」と変わりました。
米軍再編では、神奈川県厚木基地の空母艦載機を山口県岩国基地に移駐するとされていましたが、だからといって厚木基地か完全に撤退するわけではなく、米軍は厚木基地と岩国基地の両方を使えるようになりそうです。
このように、米軍再編に関する日米交渉の結果は、米軍が使える場所が増えているのです。
「沖縄の負担軽減」を名目にした戦闘機の訓練移転が実施されても、嘉手納基地の年間の爆音被害はかえって増えています。
つまり、民主党が考えている「訓練や部隊の一部を移す」というのは、基地被害の拡散につながるだけで、結果的にはそれぞれの場所での基地負担が拡大することになりかねません。
さて、今朝、日経新聞のサイトには以下の報道が掲載されました。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100321ATGM2002G20032010.html↓ここから引用
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米オバマ政権が米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、2006年に日米が合意した同県名護市辺野古沖に移す現行案の履行か、普天間の継続使用かの二者択一を日本に求める方針であることが20日、分かった。
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鳩山政権が検討中の米軍キャンプ・シュワブ(名護市)陸上案などは「過去に検討済み」として応じない。
--中略--------
この方針は28日ごろワシントン入りする岡田克也外相が日本政府案を提示した場合の対応について、ホワイトハウスと国務省、国防総省が非公式に意見交換する中で固まった。
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↑引用ここまで
具体的にだれがどのように言ったのかが明確にされていない記事ですので、どの程度信用して良いのかわかりません。
これまでにも同様の発言はありました。アメリカ側は「現行案で行かなければ、(事故が起きる危険性が高い)普天間基地を続けて使うぞ」と脅しているようです。
周辺に住んでいる人達を危険に晒しておきながら「(日本の税金で)新しい基地を造ってくれなきゃ、ここに居座るぞ」と言うのは悪質な脅しに聞こえます。
それはさておき、アメリカ側ではもっと踏み込んだことを言っている人もいました。
米軍再編の際に日米交渉を仕切っていたローレス元米国防副次官です。
上記のように新しい基地を造らなければ普天間基地に居座るとしたうえで、
http://www.asahi.com/special/futenma/TKY201003030409.html↓ここから引用
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鳩山政権が現行合意以外の選択をした場合には、米国は海兵隊の撤退を考える可能性もあると指摘した。
--中略--------
普天間は日米両政府がすでに返還を約束しているうえ、安全や騒音の問題も深刻であることから、「継続使用となっても長続きはしない。最終的に海兵隊は撤退しなければならなくなる」と語った。
--中略--------
結果として、日米同盟の抑止力を損なうだけでなく「アジア太平洋地域全体の米軍の兵力配備・構成も大きく変更する契機となる」可能性にも言及した。
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↑引用ここまで
これは、日本に対して「現行案でやらなければ日本から出ていくかもしれないぞ。(そしたら日本は困るだろう)」と言って脅しているつもりなのでしょうが、考えようによっては、日本から海兵隊が出ていく可能性があるということを米国防総省の元副次官が言っているのですから、日本は「それじゃあ出ていってください」と言うこともできるわけです。
このインタビューのさらに詳しい記事では、
http://www.asahi.com/politics/update/0303/TKY201003030416_02.html↓ここから引用
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米議会も失望している。アジア太平洋地域での前方展開を維持できるかどうか、疑問視し始めている。
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↑引用ここまで
と言っています。
つまり、アメリカの海兵隊は、日本を守るために沖縄にいるのではなく、海外で戦争するために「前方展開」……つまり米本土よりも「敵」に近いところにいることが目的で沖縄に居座っているということを示しています。
日本政府を脅すつもりでしゃべりながらも、本音が出てしまっています。
日本政府は、このようなアメリカとどのように交渉していけばいいのでしょう?

私は『どうするアンポ』というDVDを創るために、アシスタントと一緒に丸一日かけて130人以上の人にインタビューをしました。
アメリカ軍は日本にいると思いますか?、いらないと思いますか?、という質問に答えてくれた116人のうち、「わからない」または「ノーコメント」の人は31%で、「いる」と答えた35.4%(41人)とほぼ同数の33.6%(39人)の人は「いらない」と答えました。
マスコミは「日米同盟は大事だから」「日米安保は大切だから」などと、さもそれが当たり前であるかのような報道をしていますが、実際にはこれだけ多くの割合の人達が「アメリカ軍は日本にいらない」と思っているのです。
鳩山政権はアメリカに対してとても気を使っているようですから「アメリカ軍は日本にいりません」と簡単には言えないかもしれません。しかし「日本にはアメリカ軍はいらない」と思っている人達もいますよ」と伝えたうえで、「『日本から出ていけ』と言う国民の声が高まらないようにするためにも、せめて普天間基地の部隊などの海兵隊は日本からお引き取りいただくのがいいかもしれません」と交渉しても良いのではないでしょうか?