28日に投開票が行われる沖縄県知事選挙に出馬している仲井真氏の後援会が出しているバンフレットがあります。
http://nakaima-okinawa.net/common/pdf/association.pdf
これが非常に奇妙な内容です。

普天間基地についての質問に対する仲井真氏の答の中で、
「私は四年前、世界有数の危険性をはらんだ普天間基地の危険性除去を掲げ当選をし、」
とあります。
仲井真氏が当選した前回の県知事選挙当日に朝日新聞と沖縄タイムスが行った出口調査では、「新しい知事に最も力を入れてほしい点」という質問に対し「経済の活性化」が56%で「基地問題」が28%でした。そして、
↓ここから引用
--------------
新知事に最も力を入れてほしい点が「基地問題」と答えた人は、84%が糸数氏に投票し、仲井真氏は15%にとどまった。
--------------
↑引用ここまで
(11月20日、朝日新聞)
つまり、沖縄電力の会長で県商工会議所の会長をしていた仲井真氏は、基地問題に関する主張で支持を得て当選したのではなく、経済問題で当選したのです。
「普天間基地の危険性除去」に関しても、当時の稲嶺県政が主張していたキャンプ・シュワブ暫定ヘリポート案について「危険性の早期除去の点では考え得る案だ」と述べていた程度で、辺野古での基地建設については「現行のV字形案のままでは賛成しない」という微妙な言い回しで、基地問題が選挙の争点になるのを避けたのです。
そして当選後は、以下のように自分でハードルを低くしています。
↓ここから引用
--------------
政府への要求として公約に掲げた普天間飛行場の「3年以内の閉鎖状態」について、在沖米海兵隊のヘリ部隊が2004年から05年にかけてイラクに派遣されていた間、普天間飛行場周辺で騒音が激減したことを例示して「私が言っている閉鎖状態とはまさしくそれだ」と述べた。
--------------
↑引用ここまで
(12月10日、琉球新報)
辺野古での計画については、少しでもいいから沖合いに移動させろと主張し、反対なのか賛成なのか曖昧な姿勢を続けていました。
沖合い移動にこだわり続けた理由は、埋め立ての面積を少しでも増やすことで、地元の建設会社の利益になるようにしようとしたためだと言われていました。
今年1月に、名護市で辺野古での基地建設に反対する稲嶺市長が誕生し、鳩山政権の「迷走」によって沖縄県民のなかで「県外移転」の意識が高まると、仲井真知事も徐々に姿勢を変え、4月に行われた県民大会に間際になって出席することを決めましたが、結局、県民大会では「県内移設反対」とは明言しませんでした。

仲井真氏の後援会が出しているバンフレットで、もうひとつ驚いたのが、仲井真氏への質問という体裁が取られている上記の部分です。
「相手候補者は共産党の主張する国外移設を掲げております」
と書いていますが、これは間違っています。
共産党は普天間基地の「無条件撤去」を主張していて、「国外移設を掲げて」はいません。
県内移設に反対する点で一致して共産党も伊波氏を応援していますが、このパンフレットを作った「なかいま弘多後援会」の人たちは事実関係も理解していないようです。
そして、わざわざ「共産党の主張する」という部分を赤い文字にしている意図は、なんなのでしょうか?

そもそも、パンフレットのこのページには、
「県民100人に聞きました。なかいま知事への基地問題に関する質問トップ3」
と書かれています。
100人に聞いた結果のトップ3にランクされた質問が、
「相手候補者は共産党の主張する国外移設を掲げております」
で始まる質問なのでしょうか?
一体、100人に対してどんなアンケートを取れば、このような結果になるのでしょう?
まったく不思議なパンフレットです。