2014年09月30日

初めて辺野古にうかがった日から10年

私が初めて沖縄の辺野古にうかがったのは10年前です。

テレビ局の仕事で沖縄に行くディレクターが必要になり、私が反戦運動などの映像をネットで配信していることを知っていた制作会社のプロデューサーが声をかけてくれたからでした。

10日後ぐらいにはテレビ番組で放送しなければならないという、かなり突然の話で、電話が来た2日後ぐらいには那覇に行く飛行機に乗っていました。

『基地はいらない、どこにも』

実は当時、辺野古のことはあまり知りませんでした。市民運動等のメーリングリストでちょっと読んで「なにやら沖縄で座り込みをしている人達がいて、たいへんなことになっているらしい」という程度の認識しかありませんでした。

そして私は、その仕事で沖縄に行くべきかどうか迷いました。

本格的な座り込みが始まってからすでに数ヶ月が経過していました。体の弱いおじいやおばあ達が毎日たいへんな思いをして座り込みをしているらしい。そんなところに「ヤマト(本土)のテレビの取材です」などと、こちらの都合だけで突然押しかけて取材させろなどというのは、どう考えても失礼だろうなと思いました。

かなりためらいましたが、自分が行かなくても他の誰かが代わりに行くわけですし、私以上に事情を知らない他のディレクターが行くよりも、知らないことに少しは後ろめたさを持っている自分が言ったほうがマシかな、と思いました。

次の日の飛行機で行くことに決めて、少し調べてみて「そういえば市民投票があって基地建設反対の結果が出たけど裏切られたということがあったなあ」と思い出した次第です。

翌朝、辺野古のテント村に着いて最初に挨拶した時、ヘリ基地反対協議会の安次富さんから「ヤマトのマスコミは信用してないんだ」と最初に言われました。その言葉を言ってもらったおかげで、少し気が楽になりました。

その日、沖縄には台風が来ていました。沖縄では台風の被害もかなりあるのですが、辺野古のテント村にいた人たちは穏やかでした。台風が来ると那覇防衛施設局(当時)の作業が行われないから、皆さんもテント村でゆっくりできたのです。

「私ができることは、できるだけ皆さん一人一人の話をうがって、少しでもいい番組でできるようにすることです」座り込みをしている人たちにお願いしました。

私がテレビで流せる時間はほんのわずかですから、そんなに多くの人からたくさんの話を聞いても、テレビではほとんど流せません。「テレビカメラの前で話すのは嫌だけどあなたには直接話してあげる」という方からの話も含め、たくさんの人たちの話を聞きました。

そして、それぞれの人が、自分の人生や生活、さまざまな葛藤を抱えながら、あの場にいるということが、よくわかりました。

その時、放送したのはわずか1分半程度で、限られた時間内で自分なりに伝えたつもりではいましたが、あれだけの話を聞いて、知ってしまった者としては、この問題に注目し続けて、もっと伝える責任と義務があると強く思いました。

放送が終わってからも、辺野古のことが気になり続けていたので、現地からの報告やブログをネットで読み、自分でその情報を流すようになりました。

その後、別の番組に企画を出して、2005年にもう少し長い時間の特集を流すことができました。また、『基地はいらない、どこにも』『どうするアンポ』などのDVDもつくりました。

その過程の2006年に、日米両政府は辺野古での米軍基地の完成を「2014年まで」とする合意文書を発表しました。この合意が発表された時、私は「2014年はずいぶん先のことだけど、それまで辺野古のことに注目し続けよう」と思いましたが、少し経ってそれは違うと思い始めました。

仮に2014年に基地ができてしまっても、それでやめてしまってよいわけではなく、問題は続く。そして2014年に基地ができていなかったとしても、それでも、まだまだ問題は続く。

そして2014年、基地はまだできていません。辺野古では今でも、なんとかして基地建設を止めさせたいという人たちが、がんばっています。

私には『基地はいらない、どこにも』以上の映像作品をつくることは、おそらくできないような気がしています。ネットでの情報発信だけは、Twitteを中心にいまでも細々と続けていて、正直、そろそろやめたい気になる時もあるのですが、それでも続けていられるのは、やはり最初に辺野古に行った時に、いろんな人から聞いた想いが心に残り続けているからだと思います。

大浦湾から見た辺野古とキャンプシュワブ
(「辺野古沖案」が2005年に「キャンプシュワブ沿岸案」となり、今後は大浦湾の重要度が増しそうだと思って撮った写真)
 
posted by あつこば at 17:16| Comment(3) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする