つい間違ってしまいそうなので整理しておきますが、この間、自衛隊を海外に派兵(派遣)する特措法(特別措置法)は、大きくは二つありました。
■テロ特措法
■イラク特措法
まず、「テロ特措法」ですが、9.11の事件が起きてアメリカがアフガニスタンに報復するための攻撃をすることになり、それに合わせてできたのが「テロ特措法」です。
「テロ特措法」は給油活動以外に航空自衛隊による輸送活動も含まれていました。

上記の画像は「テロ特措法」に基づき、東京都にある米軍横田基地で米軍の物資を輸送していた航空自衛隊のC-1輸送機です。その後、航空自衛隊のこの活動は終了しました。
海上自衛隊の補給活動はその後も続きます。「テロ特措法」は時限立法だったので、その後、3回も「改正」されて給油活動が延長しましたが、去年、安倍首相が政権を投げ出したこともあり「改正案」が成立せずに、自衛隊はインド洋での給油活動からは一度、撤退しました。
そして、今年に入っていったん参議院で否決されたものを衆議院で「3分の2」で成立させたのが、「新テロ特措法(補給活動継続法)」ですね。
政府は「補給支援法」と呼んでほしかったようです。「支援」という言葉を入れることで、戦争に協力しているというニュアンスをやわらげたかったんでしょう。防衛省も、以下のポスターを駅に貼るなど「補給支援」の必要性を宣伝してきました。

(防衛省が貼ったポスター)
政府や防衛省の思惑には合わせずに「給油延長法」と呼んだり「新テロ特措法」と呼ぶメディアが多いです。ちなみに朝日新聞では「補給支援特措法」と呼んでいました。
http://www.asahi.com/politics/update/1210/TKY200812100299.html
本質的には、9.11をきっかけとしてアメリカが一方的に始めた「対テロ戦争」の支援であるのが実態ですから、「新テロ特措法」と呼ぶべきだと私は思っています。
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さて、「イラク特措法」ですが、これはアメリカが起こしたイラク戦争に合わせてできたものですね。
主に陸上自衛隊と航空自衛隊が活動をしてきました。
陸上自衛隊は2006年に撤退し、航空自衛隊も年内に撤退する予定です。


(左の画像は『軍需工場は、今』、右の画像は航空自衛隊のサイトより)
航空自衛隊の活動については、名古屋地方裁判所で「憲法9条に違反する活動を含んでいる」という判断がされました。それに対して「(隊員の)心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」と言ったのは、先日更迭された田母神 航空幕僚長でしたね。
航空自衛隊がイラクで何をやってきたかというと、米軍を中心とする多国籍軍の兵士や物資を輸送していました。つまり直接の軍事行動ではありませんが、「後方支援」という名のもとで戦闘行為の重要な要素を担ってきたのです。

(補給艦帰国関連行事にて。「麻生太郎オフィシャルサイト」より)
「新テロ特措法」に話を戻します。国会審議で麻生首相は、自衛隊が行なっている給油活動について「明らかに武力行使には当たらず、活動地域は非戦闘地域であり、憲法9条違反に当たることはない」と発言しました。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008101700702
このブログでも何度か書いてきましたが、自衛隊がテロ特措法のもとで直接給油したり間接給油した燃料は、アフガニスタンやイラクの戦争に直接使われています。
http://atsukoba.seesaa.net/category/4559315-1.html
「イラク特措法」による航空自衛隊の活動が「憲法9条に違反する活動を含んでいる」と言われたように、「新テロ特措法」による海上自衛隊の活動も憲法9条に違反する活動を含んでいるのです。