2010年03月27日

勝連沖案とは?

事故の危険性が高い沖縄の普天間基地をどうするかについて、政府の方針が明らかになってきました。

簡単に表現すると「二段階移設」です。
■まずは暫定的に沖縄県名護市にあるキャンプ・シュワブの陸上部に約500メートルのヘリポートを造る(鹿児島県徳之島などにヘリ部隊の訓練を「分散移転」)
■最終的には沖縄県うるま市にあるホワイトビーチ沖(勝連半島沖)を埋め立てて集約

この件を報道した沖縄タイムスの報道です。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-03-26_4962/
↓ここから引用
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勝連沖の施設完成に10年以上かかるため、その間はシュワブ陸上部に約500メートルのヘリポートを造り、徳之島(鹿児島県)などに普天間のヘリ部隊訓練を暫定的に分散移転させることを検討。最終的に勝連沖の施設に集約することを念頭に置いているという。
--中略--------
勝連沖案は航空自衛隊那覇基地を併設し、3600メートル級の滑走路2本を造る案。那覇港湾施設(軍港)を併設することも検討。
--------------
↑引用ここまで

http://atsukoba.seesaa.net/article/143982658.html
でも書きましたが、この基地はいくらなんでも巨大すぎます。

沖縄島全体の中での計画図 沿岸V字案と勝連沖案の計画図
(画像の上でクリックすると大きくなります。)

上記の図は琉球新報 3月16日の記事
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-159280-storytopic-3.html
に掲載された計画図などをもとに、沖縄島の地図に私が合わせてみたものです。図の上のほうに描いてある辺野古(へのこ)での現行案と比べて、ホワイトビーチ沖(勝連沖)案がいかに巨大なことがわかります。

勝連沖はモズクの産地としても大切な地域です。
http://www.pref.okinawa.jp/suisan/mozuku.html
環境省の「日本の重要湿地」にも藪地島周辺沿岸が選ばれています。
http://www.sizenken.biodic.go.jp/wetland/458/458.html

この巨大基地の建設計画ですが、前述の沖縄タイムスの記事でも、
↓ここから引用
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勝連沖案とシュワブ陸上案を別々の案として米側に提示する可能性もある。
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↑引用ここまで
とされていて「二段階移設」は、まだ決まったわけではないようです。

また、たとえば共同通信では、
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010032601000074.html
↓ここから引用
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最終的には米軍ホワイトビーチ(うるま市)を抱える勝連半島沖の埋め立てによる人工島か鹿児島県・徳之島へ移転
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↑引用ここまで
となっており、徳之島の位置づけが暫定的な「分散移転」のひとつなのか、最終地の候補として考えているのか、よくわかりません。

徳之島の地元、鹿児島県は反対していますが、平野官房長官は
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100325/plc1003251946019-n1.htm
↓ここから引用
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「何をされようがたたかれようが、政府の責任で決断する。日本全体の問題だ」
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↑引用ここまで
と語ったとされています。平野官房長官は、名護市長選挙の後に「あまりそのことも斟酌(しんしゃく)してやらなければいけないという理由はないと思っている」と言って批判を浴びた人です。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2010012600993

なぜ徳之島が候補にされたのかですが、
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2010032601166
にあるように、「鳩山としては、県外に移設させる道筋を考えたい」と会見でも言った鳩山首相が「『県外』と言うから、その要素を入れなければならない(政府筋)」ということで、しょうがなく徳之島を入れたような感じもします。

鳩山首相は、移設先をなんとか沖縄県外にしたいと思っているようです。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0E6E2E6E28DE0E6E2E1E0E2E3E28297EAE2E2E2;at=ALL
↓ここから引用
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鳩山由紀夫首相は24日、沖縄県の米軍普天間基地の移設問題について「一番大事なことは普天間の危険性の除去であって、それを極力急がなくてはならない。そこ(危険性の除去)をまず最初に行っていこうと(思う)」と述べ、普天間基地の周辺住民への危険除去を優先課題とする意向を示した。
--------------
↑引用ここまで

鳩山首相は、このブログで何度か紹介している小川和久さんの影響を受けているようです。
小川さんは昨年11月に続き、今年の3月20日にも鳩山首相と会っています。

小川さんは以下のように主張しています。
↓ここから引用
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私が総理大臣であれば、1週間以内というように期限を切って移駐させるでしょう。普天間の海兵隊ヘリ部隊は有事即応部隊ですから、すぐに移動できなければ指揮官は更迭です。
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整備用の施設などは、あとから移設すればよいのです。
仮の移設地の選定に数カ月かかるかもしれませんが、それは時間の問題のはずです。
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↑引用ここまで
(小川和久『日本の戦争力』新潮文庫 P165)

とりあえず普天間基地の返還は求めないけど、まず訓練をどこかに移転するという線で鳩山首相が考えている可能性はあります。

しかし、訓練だけを移転させて普天間基地を残すという考え方は危険な側面があります。

http://mainichi.jp/select/today/news/m20100324k0000m010075000c.html
↓ここから引用
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首相は23日の参院予算委で「有事が起こった時に、普天間がなくとも、すべて事が済むのか、あるいはそうでないのかを含めて今、ゼロベースで議論している」と指摘。普天間飛行場の移設後、有事の際には引き続き使用することもあり得るとの認識を明らかにした。
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↑引用ここまで

沖縄の負担軽減のために、米軍にはとりあえず出ていってもらって、その代わりに有事(戦争)の時には米軍が戻ってこれるようにしておいてあげる、という考え方です。

これも小川和久さんの影響を受けた考え方でしょう。「普天間基地の返還」という理想の形ではありません。

「普天間基地の危険性の除去」だけを考えれば現状よりはマシではありますが、今、政府が考えているような案では、被害拡散も甚だしい結果になってしまいます。

前回書いたようにアメリカ側は交渉上手です。
http://atsukoba.seesaa.net/article/144244573.html

これまで以上にアメリカ側にとって有利な展開……つまり、普天間基地は返さない、キャンプ・シュワブ陸上にヘリポートを造る、徳之島なども使う、ホワイトビーチ沖(勝連沖)にも基地を造る……などという米軍が使い放題になる結果だけは、なんとしても避けなければなりません。
沖縄では、いままで基地建設を容認してきた人達でさえも、現在の政府の計画を批判しています。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-03-26_4980/

P.S.
※『どうするアンポ』のロゴが合成されている画像は転載していただいてけっこうです。(画像を加工したり悪意を持った転載はご遠慮ください。)
posted by あつこば at 13:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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