2010年09月09日

辺野古の基地計画で現実的にはありえない飛行経路を主張

沖縄 辺野古での基地建設に関して、日米の専門家会合の報告書が8月31日に出されました。

「V字案」と「I字案」の二つの案が並記されたことが大きく報道されていますが、この報告書にはさまざまな面で問題点があります。しかし報告書に書かれていることよりも大きな問題は、日米両政府間で意見が一致せずに報告書から外された点です。

大きくは、
【飛行経路の問題】
【自衛隊との共同使用】
です。

今回は、まず飛行経路の問題について説明しましょう。

以下が防衛省のサイトに掲載された報告書です。
http://www.mod.go.jp/j/press/sankou/report/20100831_j.html
図も添付されていて一見わかりやすく説明されているような気がします。たとえば「V字案」の図が以下です。(pdfファイルです。)
http://www.mod.go.jp/j/press/sankou/report/20100831_3.pdf

上記の図をトリミングしてみました。
v-plan-trim.jpg

この図では「南西方向からの着陸」と「北東方向への離陸」について方向が示されています。ところがこの図では方向を示しているだけで、飛行経路については示されていません。

これまでに防衛省が説明してきた飛行経路は以下です。

daikei.jpg
(防衛白書より)

日本政府が示しているこの飛行経路に対してアメリカ側は従来から実態に合わせて変更するべきだと指摘していました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/57668926.html

9月1日の琉球新報の記事では以下のように指摘しています。
↓ここから引用
--------------
有視界飛行経路の明示を見送ったのは、従来の日本側の説明の「台形」の原則経路では、米側が主張する米軍運用の“実態”を抑えきれなくなっている実情がある。両論併記でも情報提供すべきだったが、飛行実態を封印したのでは隠蔽(いんぺい)体質の批判は免れない。
--------------
↑引用ここまで

琉球新報のサイトに掲載されている別の記事
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167042-storytopic-9.html
には、日本側が説明してきた「台形」の飛行経路とアメリカ側が主張している飛行経路、そしてそれによる騒音影響地域の違いが以下の図で示されています。

http://ryukyushimpo.jp/uploads/img4c7daa71e1b6a.jpg

この辺野古での基地建設計画は、同じ沖縄にある普天間基地のヘリ部隊を移転させるというものですが、実際に普天間基地ではどのような飛行実態なのかを宜野湾市が調査して掲載しています。(pdfファイルです。)
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/070813_mayor_comment_heriroute1.pdf

上記からの図です。
futenma-route.jpg

前述の琉球新報の記事でも以下のように指摘しています。
↓ここから引用
--------------
米側の飛行経路実態に、日本側はあくまで従来説明の「台形」で飛べるはずだと主張を曲げない。だが米軍が自衛隊と違い規定通りに飛ばないことは、市街地にはみ出す現行の普天間での日常訓練によって県民は体感している。
--------------
↑引用ここまで

今回の報告書に対する批判の声が高まっています。

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-09-01_9749/
↓ここから引用
--------------
移設反対決議をしている久志区の森山憲一行政委員長は「飛行経路が記載されていない報告書は、欠陥だらけのアセス同様、論外だ」と指摘した。
--------------
↑引用ここまで



この問題についてこれまでに書いた主要な文章を以下にまとめてあります。
http://atsukoba.seesaa.net/article/70417549.html

2010年6月からの重要な動きについては以下でまとめています。
http://atsukoba.seesaa.net/category/8339156-1.html



この記事へのコメント
突然すいません!

『2010年国際ジュゴン年に〜基地ではなく ジュゴン保護区を』の署名を、集めています。どうぞ、ご協力よろしくお願いします。

☆署名用紙の署名とインターネット署名(日本語・英語)があります。
 できれば全てにご協力お願いします(重複OKです)。
 *インターネット署名(日本語版)
  http://www.shomei.tv/project-1384.html
 *インターネット署名(英語版)
 http://www.thepetitionsite.com/1/no-to-military-baseyes-to-dugong-protection-area
 *署名用紙のPDFはこちら
  http://www.sdcc.jp/iucn/2009-2010-sign.pdf
 *署名の詳細はこちら
  http://www.sdcc.jp/iucn/2009-2010-petision.html
Posted by konishi at 2010年09月10日 13:45
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