2010年09月11日

沖縄・辺野古(へのこ)で自衛隊が米軍と共同使用?

いわゆる「普天間移設」に関して8月31日に出された日米専門家会合の報告書に書かれなかった問題点として、【飛行経路の問題】については前回書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/161983403.html

今回は【自衛隊との共同使用】について、この間の動きをまとめたいと思います。

この話は、5月29日に発表された日米の外交・防衛担当の閣僚による共同声明の検討中に日本側から提案されたようです。

私がそれを知ったのは、5月23日夜7時のNHKのニュースです。
↓ここから引用
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日米両政府は沖縄県名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸部に滑走路を建設したうえで、アメリカ軍と自衛隊による共同使用を検討することや基地機能の沖縄県外への分散移転を検討することなどで大筋で合意しました。
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↑引用ここまで

沖縄の新聞でもアメリカ側が「大筋で了承」したと報道されました。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-05-23_6703/
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-162486-storytopic-3.html

その後、「自衛隊との共同使用」についてはあまり報道されなくなり、結果的に5月29日に発表された共同声明では非常に曖昧な表現に留まりました。
以下の後半にまとめています。
http://atsukoba.seesaa.net/article/151492102.html

上記の追記で紹介した5月31日の毎日新聞の記事によると、共同使用は「将来的な自衛隊の管理」をにらんだ、いわば「常時駐留なき辺野古」で、防衛省首脳によると「鳩山首相の案だった」とされています。

私は、アメリカ側がイヤがっているらしいことと、6月2日に鳩山首相が辞意を表明したため、「鳩山首相の案だった」とされる自衛隊との共同使用の話も頓挫したかなと思いましたが甘かったです。

日米専門家会合の報告書が出る直前、8月26日の琉球新報の記事では、防衛省は「5月以降、省内で検討を加速し、米側に提案した」とされています。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-166819-storytopic-3.html
↓ここから引用
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自衛隊が常駐すれば、地元から基地強化につながるとの反発が噴き出しかねない。米側は軍の運用が制限されることから難色を示している。
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常駐させる部隊と規模、飛行訓練を伴うかなどをめぐり、米側との交渉は曲折がありそうだ。
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防衛省が常駐を求める理由に、自衛隊の訓練地域の拡大や技術向上などがあるが、人口増加により経済的効果が生まれ、地元に受け入れられやすいとの見方もある。
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米軍と自衛隊の共同使用については、5月末の日米共同声明で「両政府は(略)米軍と自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討する意図を有する」と明記。
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英文では「Shared Use」と表記されている。
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この英文を、日本側は「自衛隊の常駐を前提とする共同使用」ととらえ、5月以降、省内で検討を加速し、米側に提案した。
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だが米側は、代替施設はあくまで米軍管理で、軍の許可の下で自衛隊に使わせる「常駐を伴わない一時使用」と理解。共同声明文の解釈が分かれ、使用形態をめぐる互いの利害が一致せず、結論には至っていない。
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↑引用ここまで

同8月26日の琉球新報の別の記事では……
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-166826-storytopic-26.html
↓ここから引用
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2008年からキャンプ・ハンセンで既に共同使用が始まっているが、その内容は米軍と訓練日程を調整し、空いた期間に自衛隊が施設を使用したもの。新たな「共同使用」も、同様の形態になると想定されていた。
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だが自衛隊そのものを辺野古に駐留させる構想は、地元にとって寝耳に水だ。
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省内には「県民は米軍なら反対するだろうが、自衛隊なら大丈夫」との楽観的な見方がある。同じ日本国民であり、人が増えれば周辺の商売も繁盛し、経済的にも潤うから、というのが理由だ。
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しかし、訓練形態や規模によっては住民生活に大きな影響を及ぼすことから、地元の懸念は強い。県民には沖縄戦の経験に基づく自衛隊への特別な感情がある。
--中略--------
米側が自衛隊常駐に強硬に反対しているため、実現可能性は一層不透明さを増している。地元配慮に欠ける対応が、沖縄と政府との新たな亀裂を生んでいる。
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↑引用ここまで

同日の読売新聞でも報道されています。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100826-OYT1T01228.htm
↓ここから引用
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代替施設の共同使用では、日本が自衛隊を常駐させての共同管理を主張しているのに対し、米側はあくまで施設の管理は米軍が行うとし、共同使用は米軍の許可の下で自衛隊が施設を使う「一時使用」との立場を崩していない。
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日本側の主張には、施設内での事故や環境汚染に対処でき、周辺住民への配慮につながるとの考えがあるが、26日の協議でも結論に至らなかった。
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↑引用ここまで

5月22日までの日米交渉ではアメリカ側が「大筋で了承」したものの、今回の交渉では日本側が自衛隊を「常時駐留」させたがっているのに対して、アメリカ側は「空いてる時は使わせてやる」という体制でいたいために譲らなかったようです。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100831/plc1008311315007-n1.htm
↓ここから引用
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日本側は代替施設での自衛隊の共同使用を認めるよう求めていたが、米側が強く抵抗したため、報告書では言及を避けた。
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↑引用ここまで

戦車に乗ってうれしそうな北澤防衛大臣
(画像は防衛省のサイトより北澤防衛大臣)

結果的に今回の報告書には何も記載されなかったのですが、発表した当日に北澤防衛大臣は会見で……
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-09-01_9769/
↓ここから引用
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基地の新しい在り方として「(米軍と自衛隊の)共同使用を可能な限り増やして沖縄の負担を減らす。象徴的な意味で取り上げていきたい」と述べ、同飛行場代替施設での共同使用の実現に意欲を見せた。
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仮に共同使用する場合は「(陸上自衛隊の)第15旅団が沖縄に駐屯しているので、そこの中から予想される」と述べ、常駐的な陸自部隊の存在が念頭にあると示唆。共同使用の形態は米側と立ち上げる新たな枠組みで検討するとした。
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↑引用ここまで

今年3月26日に格上げされた沖縄の第15旅団の新編行事
(画像は防衛省のサイトより、今年3月26日に格上げされた沖縄の第15旅団の新編行事)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167042-storytopic-9.html
↓ここから引用
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陸上自衛隊のヘリコプター部隊常駐をにらむ日米共同使用については、協議の枠組み設置だけ合意したが、これも沖縄側の反応次第だ。
--中略--------
「わたしが特に重要で真剣に検討していきたいのが、代替施設を自衛隊が米軍と一緒に使用できないかということだ」。北沢俊美防衛相は報告書公表の臨時会見で、特に報告書には明記していないものの普天間代替施設の日米共同使用にかける思いを強調した。
--中略--------
「沖縄は自衛隊との共同使用には反対なはずだ」。日米間の専門家協議で米国務省担当者は、沖縄社会の自衛隊への特別な感情を見透かしたように、共同使用に否定的な見解を示した。
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北沢防衛相が共同使用を提案した背景には、三沢基地(青森)や厚木基地(神奈川)など本土での先例がある。騒音への苦情などでも自衛隊が米軍と地域住民との間の緩衝剤になっているという認識に基づく。
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北沢防衛相は「地元と自衛隊と米軍の三者の間でより強いきずなをつくっていく一助となるのでは」と期待感を示すが、沖縄と本土を同列に位置付けるのは無理がある。防衛省関係者は「沖縄側が反対なら取り下げる」と今後は地元の雰囲気を見極める構えだ。
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↑引用ここまで

北澤防衛大臣としては、自衛隊が常駐することで地元に受け入れられるのでは、という淡い期待があるようです。政治家らしい期待の仕方ですね。

横須賀基地を視察した長島昭久防衛政務官
(画像は横須賀基地を視察した長島昭久防衛政務官。自身のサイトより)

民主党内でも右よりと言われる長島昭久防衛政務官は、辺野古での自衛隊の共同使用に関して、さらに大きな期待をしているようです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-09-02/2010090202_02_1.html
↓ここから引用
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長島昭久防衛政務官は「沖縄に海兵隊が必要なのは、陸上部隊が手薄だからだ。陸自は一部、海兵隊のような機能を担う必要がある」(7月26日、都内での講演)と述べ、沖縄の自衛隊を“海兵隊”化させる考えを繰り返しています。
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普天間基地の「移設」自体が不透明な状況にありますが、イラク派兵を通じて急速に進んだ海兵隊・陸自の一体化がさらに進行する危険があります。
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↑引用ここまで

防衛省の内部でも、沖縄での自衛隊の役割を拡大したいという意向が強いのでしょう。

アメリカ側も「自衛隊との共同使用」について今後の協議に応じる姿勢を見せました。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE3E2E2E2808DE3E2E2EBE0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;at=ALL
↓ここから引用
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米国防総省のモレル報道官は9日の記者会見で、沖縄県の米軍普天間基地移設問題で、名護市辺野古につくる代替施設を米軍と自衛隊で共同使用する案に関し、近く日米が協議するとの見通しを示した。
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日本政府が共同使用の検討を求めていることを踏まえ、協議には応じる姿勢を示したものだ。
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↑引用ここまで

この問題は今後も要注意です。

この記事へのコメント
詳しい経過を勉強させていただき、ありがとうございました。
 従属軍隊自衛隊への国民的「誤解」を利用して、米帝国の支配を従属軍に肩代わりして行こうということは、米軍にとっても大局的には、好ましい方向でしょう。
 従属軍隊自衛隊批判を強める必要を感じました。
Posted by 平山基生 at 2010年09月11日 16:22
平山さん、ありがとうございます。

防衛省・自衛隊は、対米従属の軍隊なりに、その存在感を高めようとしています。
沖縄での自衛隊の動きは要注意ですね。

Posted by あつこば at 2010年09月12日 09:15
むしろ辺野古に基地を作った後、海兵隊はグアムに全面的に「移転」するわけですから、施設は空くわけです。
「米軍再編」後に自衛隊と共用することは、むしろ織り込み済みだったkもしれません。
Posted by にしかわ@高松行動 at 2010年09月12日 23:03
コメントありがとうございます。

残念ながら、いまのところ沖縄の海兵隊のヘリ部隊がグアムに全面移転するという計画はありません。
むしろ、ハワイ・グアム・沖縄でヘリ部隊を「ローテーション展開」したいというのが米軍の思惑のようです。

軍隊は自分たちが使える「陣地」を増やしたいわけで、「陣地」をけっして減らそうとはしませんから、辺野古に基地ができた後で米軍が出ていくというのは、現在の日米関係からすると(残念ながら)ありえません。

だからこそ、辺野古での基地建設には反対をしなければならないわけです。

沖縄の米軍基地の「日米共同使用」については、米軍再編の2005年の日米交渉の時点で話が出ていたようですが。

Posted by あつこば at 2010年09月13日 08:47
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