米軍再編に関する各地での動きは、このブログではまだほとんど書いていませんが、あせらず少しずつ書くという事にさせていたたいて、きょうもお金の話にこだわりたいと思います。
■ローレス「3兆円」発言をめぐるドタバタ
アメリカのローレス国防副次官の発言に関しては4月26日にも書きました、
http://atsukoba.seesaa.net/article/17061081.html
その後、この発言が日本国内で波紋を呼びました。
で、ローレス国防副次官はこの発言について「釈明」したそうです。
http://www.asahi.com/politics/update/0503/007.html
この記事によると、「(米側で)沖縄の海兵隊のグアム移転費のことばかり言われるので、日本側の負担はもっと大きいと言いたかった」と釈明したらしいです。
確かにテレビで流れた「3兆円」発言の映像を見ると、アメリカの国内向けに喋っているという印象を受けます。
この記事には「訪米中の久間章生自民党総務会長ら与党議員団に伝えた」と書かれていますが、それについては中日新聞の記事に書かれています。
http://www.chunichi.co.jp/00/kok/20060504/mng_____kok_____000.shtml
つまり、「3兆円」発言に対して「これはたまらん」と思った久間章生自民党総務会長をはじめとする与党議員団がローレスに詰め寄って「釈明」させた、という事らしいです。
5月5日の『NEWS23』ではローレス国防副次官のインタビューを放送しました。
それによると
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日本政府が「一部の見積もりはできている」と言っていたので、
日本政府が出した限られた情報を元にして
我々が計算したものだと思います。
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というテロップがインタビューの画面に出ていました。
(英語がわからないので、これを頼りにするしかないのです。)
TBSのニュースサイトでも観る事ができました。
http://news.tbs.co.jp/20060505/headline/tbs_headline3282711.html
ここでのテロップは、
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(3兆円という数字は)あくまで私が試算した数字で責任は私にあります
また、日本政府が出す最終的な見積もり額とは違い可能性も認識しています
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と出ていました。
で、TBSのサイトでの解説は、
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日本との関係に溝が入らないよう、事態の収拾を図りたいという意図も読み取れます。
(中略)
ローレス氏は3兆円という額について、日本政府から提出された数字を元に、自らが計算したものだと、全く根拠のない数字ではないこともにじませましたが、自らの非をあえて認めることで、日本側に配慮する姿勢を見せました。
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とまあ、そういうわけで、結局、ローレスは「3兆円」だと思っているはずですが、日本側に「配慮」して、いちおう「釈明」したというところでしょうね。
■最終的な経費を見積もるのは日本
5月2日のNHK昼のニュースで、シーファー駐日大使は、
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膨大な金額になるだろうが
最終的な経費を見積もるのは日本だ
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と語ってます。
で、その日本は阿部官房長官、麻生外務大臣、谷垣財務大臣、山崎前副総裁などから「3兆円」説を抑え込もうという発言が続いています。
■額賀長官「2、3兆円もかからない」
きょう放送されたNHKの『日曜討論』で(……というか、実はその番組は全部観たワケじゃなくて昼のニュースで放送していたのですが)額賀防衛庁長官が以下の発言をしました。
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これから積算をしていく事になっていきますので、まだはっきりした数字はわかりません。
ただ、そんなにですね、べらぼうに、何兆円も3兆円も2兆円もかかるという事では無いと思いますね。
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うーむ。この発言は覚えておいたほうがいいなー。
……と書いているうちに日経新聞のサイトでも報道されました。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20060507STXKA004507052006.html
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関係者によると、額賀氏が「2、3兆円もかからない」としたのは、在沖縄米海兵隊グアム移転で日本が負担する60億9000万ドル(約7100億円)や、基地負担を抱える自治体への地域振興経費を除いているという。
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放送後に関係者があわててフォローしたのでしょうか?
「2、3兆円もかからない」という事は、裏を返すと「2兆円未満はかかる」という事になりますね。
仮に1.5兆円かかるとして7100億円をプラスすると2兆2100億円ですね。
■3兆円の内訳
ところで、ローレス「3兆円」発言のドタバタが始まる前から、「日本政府の試算で3兆円」という報道が出ています。
4月26日にこのブログにも書きましたが、3月12日の日経新聞に内訳も含めて書かれているんですね。
http://atsukoba.seesaa.net/article/17052431.html
別の方向からの試算もあります。
軍事アナリスト 神浦元彰さんのWebサイトの4月27日の記述です。
http://www.kamiura.com/new.html
ここでは非常に恐るべき事が示されています。
つまり、今回の合意に基づいてこれから返還されるであろう沖縄の基地、その土壌汚染がすさまじいらしくて、土壌を改良するために1兆円を超える費用がかかると推測されているらしいのです。
さらに大問題が書かれています。
かつて沖縄が返還された際、土地の原状回復補償費はアメリカ側が払うとされていたのですが、実は裏で日本政府が払うという「密約」が日米政府の間で行われていた事が明らかになっています。
しかし、日本政府は今でもそれを認めていません。
今回の合意でも土壌を改良する費用負担の話は、実はされているのだけども、かつての「密約」を認めるわけにいかないので日本政府は発表できないのではないか、という推測がされているのです。
この説が正しいかどうかはわかりません。
いずれにしても、日本政府がさまざまな試算をしているのは間違いないでしょうし、それをなかなか公表しないのは問題ですね。
そして、仮に現在、日本政府が試算していたとしても、今後アメリカから要求されて結果的に「3兆円」以上のお金を払う事にならないという保証はまったく無いという気がします。
その閣議決定にも、また問題があります。
閣議決定しても問題はまだまだ続く
http://atsukoba.seesaa.net/article/18641769.html