沖縄 辺野古(へのこ)での米軍基地建設計画は、当初は「辺野古沖案」という計画でしたが2005年に計画が撤回されて、現在の「キャンプシュワブ沿岸案」になりました。
これが撤回された「辺野古沖案」

これが現在の「キャンプシュワブ沿岸案」

昨日(4/25)の沖縄タイムス夕刊によると久間防衛大臣は現在の案について「いろいろな経緯を経て今のV字形になっており、最良のものだ」と語ったそうです。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704251700_01.html
しかし、このキャンプシュワブ沿岸案は、「最良のもの」どころか、もともと実現不可能なダメな案だったのです。
■もともと実現不可能なダメな案
1996年4月12日、当時の橋本首相が「普天間基地の全面返還」を発表しました。
しかしそれは、「全面返還」などと喜ばせておいて、実は沖縄の中でたらい回しをするという話だったのです。
その移転先として、嘉手納弾薬庫地区、キャンプハンセン、キャンプシュワブの3つが候補に挙げられました。
しかし、移転先の3つの候補とされた関係市町村が一斉に反発しました。そこで考えられたのが海の上にヘリポートを作るという案です。
もともと普天間基地を返還するという事になったのは、普天間基地が市街地のど真ん中で住宅密集地にあり、事故の危険や騒音の問題があったからです。
宜野湾市のサイトに掲載されている普天間基地の画像です。

これほど密集していない地域でも、こうした基地が自分の街に来るとなるとたまったものではありません。そこで、海の上に作れば事故の危険や騒音も減るだろうという事で海上に作ることになったのです。
日米両政府の協議の結果、1996年12月2日に出されたSACO最終報告は以下です。
「SACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/saco.html
これによると普天間基地の「代替」に作られる「海上施設」は、「沖縄本島の東海岸沖に建設」し「その必要性が失われたときには撤去可能なもの」とされています。
「使わなくなったら基地は撤去しますよ」という約束までして、なんとか受け入れさせようとしていたのです。
那覇防衛施設局が配布していたパンフレットが以下です。
http://www.mod.go.jp/j/library/archives/saco/heliport/index.html
「安全性、生活・自然環境に与える影響など、様々な面について検討」した結果、辺野古沖に作る事にしたというのです。
つまり、政府と防衛省が現在行なおうとしている「キャンプシュワブ沿岸案」では、「安全性、生活」に与える影響がありすぎるので、そもそも地元を説得できなかったのです。(自然環境に関しては、新旧どちらの案でも悪影響がありすぎます。)
■反対派に阻止されないようにダメな案を押しつけた
さて、なんとか地元を説得するために計画された「辺野古沖案」ですが、1999年に閣議決定したものの、2005年になって計画が撤回されました。
なぜ撤回されたかというと、反対され事前調査を阻止されたからです。

2006年12月13日、国会で防衛庁の木村隆秀副長官は「反対の方々の妨害等もあって」計画が実現しなかったと答弁しています。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200612141300_04.html
そして新しく計画された「キャンプシュワブ沿岸案」については、那覇防衛施設局の佐藤勉局長が2月23日の記者懇談会で「反対派の海上抗議行動の抑止効果がある」と語っています。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200602241300_01.html
現在の「キャンプシュワブ沿岸案」は、撤回された「辺野古沖案」に比べると基地の大部分がキャンプシュワブという現在ある米軍基地の中に作られます。
海についても「民間人の立ち入り制限区域」が多いので、その分、阻止行動ができないというもくろみなんですね。
「反対派」に阻止されないようにしたいという理由で、事故や騒音の問題で本来は地元を説得できないはずの計画を無理矢理、地元に押しつけようとしているのが「キャンプシュワブ沿岸案」です。
今、日本政府は、もともとダメな案を無理矢理やろうとしているのです。
わかりやすく説明しようとすると、大切だと思う事も極力カットして簡単に書かなければならないので、なかなか難しいですね。
補足のための文章がどんどん増えてしまいます。
とりあえず、はじめて来た方はこのページの左側の上のほうに書いてある文章から読み進めていただければと思っていますが……。
辺野古での非暴力の誓いはなぜ生まれたのか、について以下に書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/40829158.html