私は軍事関係の専門家ではありませんから「Q&A」など書くのはおこがましい気もしますが、こういうものが必要な気がしましたので書かせていただきます。
Q:辺野古で反対をすると普天間基地が返らない?
沖縄の辺野古(へのこ)で進められようとしている米軍基地の建設計画は、沖縄の普天間基地を返還する代わりに作るのだと言われています。
という事は、辺野古での基地建設に反対し続けると、結果的にいつまでたっても普天間基地は返ってこない事になってしまうのではないでしょうか?
A:
上記のような疑問はたまに聞かれます。
つまり新基地に反対しているからかえって普天間基地の周辺に住む人達を苦しめているのではないか、だったら妥協して新基地の建設を容認するべきではないか、という考え方ですね。
たしかに名護市辺野古で強行されようとしている米軍の新基地建設計画は、政府やマスメディアでは「普天間代替施設」と呼ばれています。
この呼び方の問題点については、これまでに
http://atsukoba.seesaa.net/article/39912507.html
と
http://atsukoba.seesaa.net/article/42173108.html
に書きました。
辺野古の新基地が完全にできなければ普天間基地は返さないとアメリカ政府が主張しているのは事実です。
しかし、だからと言って大きな問題がある辺野古での新基地を認めてしまって良いのでしょうか?
■本当に返還するのかわからない
あまり考えたくはありませんが、仮に辺野古での新基地が作られてしまったとして、アメリカが本当に普天間基地を返還するかというと疑問があります。
事実、1996年のSACO合意で返還が約束された基地は、「5年から7年以内に返還」すると発表されたにもかかわらず、10年たった昨年12月の時点で全面返還は3つしかされていません。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200612021300_02.html
そもそも日米地位協定には
「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない」と書かれています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/kyoutei/index.html
米軍は、使っていない基地は返還しなければならないはずなのに、使っていない基地も「使う必要が生じる場合がある」などと主張していつまでも返しません。新しい基地を作りたい時に少しだけ代わりに返すというやり方をしています。
そして、「返還」が約束された基地も、実際に返還されるのかどうか不透明な部分が多いのが実情です。

■米軍基地は強く「反対」しなければ、拡大し強化される
今回の米軍再編でも、神奈川県厚木基地の空母艦載機が山口県の岩国基地に移駐する事になっていますが、では厚木基地は返還されるのかというと返還されません。
岩国基地周辺の人達にこういう言い方をすると申し訳ないのですが、岩国基地が拡大・強化されているのは、岩国の人達が基地の存在を容認してきたからでもあります。
米軍基地は、強く「反対」し続けなければ、どんどん拡大し強化されていく性質を持っているのです。
彼らも歓迎されないところにはいつづけたくはありません。ですから少しでも「容認」してくれるところには居座り、拡大・強化しようとします。
ですから、辺野古でも基地建設を止め続け、他の場所でも反対をし続けなければならないのです。
米軍再編を認めたところは、今後、どんどん強化されていきます。
■普天間基地は即刻、全面閉鎖するべき
普天間基地は、そのまま放置しておいて良いのかというと、そんな事はありません。
市街地のど真ん中にある普天間基地は、騒音の問題も深刻ですし事故が起きてしまったら人命を損なう恐れが強い基地です。

これが普天間基地です。(宜野湾市のサイトより)
この基地は米軍の安全基準にも違反しています。
そして、2004年8月13日、沖縄国際大学に普天間基地所属のヘリが墜落しました。
ひとつ間違えれば民家に墜落しかねない事故でした。
沖縄国際大学によるまとめページ
http://www.okiu.ac.jp/urgent.html
軍事アナリストの小川和久さんは、いわゆる「右派」の人達からも評判が良く、その発言は信頼性があると言われていますが、『日本の戦争力』という本の中では、普天間基地についてこんな記述があります。
------------------------------------------------------ここから引用----
日米間で普天間基地の移設が合意されたのは1996年4月です。
飛行場が市街地に隣接しているため、ひとたび米軍機が市街地に墜落するような大事故が起これば、日米同盟を根底から揺るがしかねない事態が生じる恐れがある、というのが移設合意の理由でした。
-------------------------------------------------------中略---------
私が総理大臣であれば、1週間以内というように期限を切って移駐させるでしょう。普天間の海兵隊ヘリ部隊は有事即応部隊ですから、すぐに移動できなければ指揮官は更迭です。
整備用の施設などは、あとから移設すればよいのです。
仮の移設地の選定に数カ月かかるかもしれませんが、それは時間の問題のはずです。
ところが、ヘリ部隊を仮に移設して当面の危惧を取り除くための方策を、誰も議論しなかったのですから驚きです。
-------------------------------------------------------引用ここまで---
辺野古での新基地建設計画は、「順調」に進んだとしても2014年までは完成しません。それまで普天間基地を放置しておいて良いわけはないのです。
米軍の安全基準にも違反しているような危険な基地なのですから、辺野古での新基地が出来てからなどと言わず、人命に被害を及ぼさないためにも即時に他の基地に移駐させ、閉鎖するべきなのです。
という事で、質問に対する答としては、
辺野古に新基地を作らせずに普天間基地をすぐに閉鎖すれば良いのです。
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追記(2010.3.14)
「全面閉鎖」を「前面閉鎖」にしてしまっていたので修正しました。
誤変換を教えてくださった方に感謝します。
アメリカの軍隊を、なぜ「日本の総理大臣の権力」で移駐できるのか。
アメリカの軍隊はアメリカ大統領に統率権があり、
最終決定権は日本の総理大臣にはありません。
それを、「日本の反対だけで阻止出来る」というのは、
あまりにも現実離れしすぎている。
仮にアメリカ軍を日本の外に出したいならば、
自国だけで防衛できるだけの力を持ち、
その後、アメリカとの同盟を解消する。
そうしないで、どうやって北朝鮮や中国のミサイルから日本を守るのか。
話し合いでは解決しないのは、今の北朝鮮を見れば明らか。
日朝平壌宣言行こう、北朝鮮は何をしたか。
ミサイルをぶっ放し、核実験を行った。
日本がやっているリムパックは、北朝鮮に危害を与える物ではない。
第一、今の日本に敵基地攻撃能力はない。
侵略するメリットもない。
いくら日本が反対しようが、アメリカに対する強制力はない。
どんなに「基地を作るな!!」と言っても、意味はない。
第一、国防に関することを、なぜ国より住民の意思を重視するのか。
最強の「公共の利益」だろうが。
>辺野古に新基地を作らせずに普天間基地をすぐに閉鎖すれば良いのです。
閉鎖するのはけっこうなんですが、後々のところまで考えていますか?
すぐに普天間を閉鎖???
できるならやってるだろうさ。
そのかわり、嘉手納や那覇に即日移動だな。
言っちゃ悪いけど、真面目に基地問題
を考えているようには全く見えない。
だから、有効な政策提言には成り得ない。
誰からも採用されないよ。
> アメリカの軍隊はアメリカ大統領に統率権があり、
> 最終決定権は日本の総理大臣にはありません。
小川和久さんもそれはわかったうえで書いているはずですよ。
つまり、国民の生命・財産を守るべき日本の総理大臣が一国の首相として強固にアメリカに要請すればできるのです。
> 自国だけで防衛できるだけの力を持ち、
普天間基地は日本を守っているわけではありません。
> どうやって北朝鮮や中国のミサイルから日本を守るのか。
米軍基地に配備されたミサイル防衛用のPAC3は、日本ではなく「在日米軍基地」を守っているのですよ。
この件に関しては、明日、詳しく書きます。
ぽるしぇびきさん
> 閉鎖するのはけっこうなんですが、後々のところまで考えていますか?
閉鎖した後、どうするかについては小川和久さんの主張と私の主張とでは違います。
いずれにしても普天間基地は危険なのですから即刻、閉鎖しなければなりません。
左翼撲滅さん(←笑えるハンドル名ですね。)
> すぐに普天間を閉鎖???
> できるならやってるだろうさ。
日本の総理大臣は、やろうとしない、あるいはやる勇気や責任感が無いのです。
やる気になればできるのです。
事実、普天間基地は今年ヘリがいなくなっています。
それに関しては、
http://atsukoba.seesaa.net/article/43564904.html
に書きました。
> そのかわり、嘉手納や那覇に即日移動だな。
ヘリは消えて無くなるものではありませんから、とりあえずどこかに移動する必要はあるでしょう。
> だから、有効な政策提言には成り得ない。
> 誰からも採用されないよ。
小川和久さんは国会で意見を述べたりしている方ですよ。
国会で喋ったからエライとは限りませんが、かなり信頼できる人だと思います。
そんな無責任で非現実的な事、言ってる間に又、ヘリ落ちて人災出たらどうすんの?
宜野湾に家族で住んでみたらどうですか?
同じ沖縄に住んでても所詮、他人事だろ!
現実的ではありません。
アメリカに要請したとしてもアメリカが承諾しますか?
日本がいくら騒ごうが市民団体が裁判起こそうが、
アメリカの軍隊はアメリカ大統領の意思によって動きます。
要請したからと言って他国の軍を動かせると考えるのは、
「あり得ない」としか言いようがありません。
>普天間基地は日本を守っているわけではありません。
アメリカの基地ですからね。普天間は。
ですが現実的に日本とアメリカが同盟を結んでいる以上、
日本が攻められたとすれば、アメリカは日本を守るほかありません。
で、中国が真っ先に来るのは、戦略的要地である沖縄ですから、
その普天間に駐屯するアメリカ軍が日本を守ることにもなります。
もちろん、主体的には日本が防衛すべきですが。
>「在日米軍基地」を守っているのですよ。
在日米軍を守ることが、結果として日本を守ることになります。
それについては、前述しました。
そして、軍隊そのものだけではなく、日本には、燃料、弾薬、情報施設等、米軍にとって重要なインフラが揃っています。
しかも「思いやり予算」等によって米軍は日本にいたほうがアメリカにとって安上がりなんです。
その日本政府が、アメリカ政府に対して堂々と主張すれば、アメリカ政府も動かざるを得ないはずです。
日本政府は「アメリカの圧力」を利用したいだけです。
たぶん、日米の政治家の多くは、沖縄の人のことはどうでもいいと思っているので、危険な普天間基地を放置し続けているのでしょう。
東北であれだけ活躍した自衛隊や米軍の救援活動を否定するのですか?
あなたたちがもし被災した時、救助に来た自衛隊員や米軍人などに「軍人は日本には要らない、日本からとっとと出ていけ!」などとはっきりと救助を断ることは出来ますか?
それでも米軍や自衛隊を否定するならあなたたちは本当に日本人ですか?
沖縄の破産を導き、すべての県民に、より一層の苦難辛苦をもたらすことになり、また本当の平和運動をも放棄することになるのである。
沖縄県民は、よく『米軍基地が沖縄に75%も集中していて不公平だ』と言い、各地で基地撤去の抗議行動を起こしているが、
本当に基地が無くなったら、平和でのんびりとした沖縄が待ってるって思ってるのか?。
いいや、とんでもない話だね。
知ってるか? 沖縄はね、その不公平と引き換えに、「沖縄だけ」が以下のような多くの高率補助金を受けているんだ。
まず沖縄県は、自主財源が25%しかない全国一の弱体経済県だろ。つまり、国の補助金と借金で県経済はかろうじて生計を立ててるってわけ。
いいか、例えば道路保全に沖縄は国から95%の補助を受けられるだろ?、これが他府県は70%以下なんだよ。
他にも、学校建設整備では85%対50%、漁港整備は90%対66%、公営住宅建設75%対50%、水道施設整備75%対33%、空港整備95%対66%と続き、ほとんど全産業分野に及んでいるんだよ。
また沖縄は本土より、ガソリン税がリッターあたり7円安く、沖縄自動車道の通行料金は本土より約4割引。航空機燃料税は那覇-羽田間は他路線より半額だよね。
さらに、那覇文化てんぶす、沖縄こどもの国(こども未来館)、北谷ニライセンター、嘉手納水釜町営住宅、嘉手納町マルチメディアセンター、
沖縄市コザミュージックタウンなど、これらは基地関連の国庫予算で建設されているって知ってた?。
それに加え、「各自治体にも」「多額の軍関連の交付金」が支給されている。
県民の中には「自分は軍用地料などもらっていないし、自分には基地は何らメリットはない。」と考えている人も多く居るでしょうがね。
しかしだ、例えば、台風で道路が不通になったら、国から95%の補助金があるため、修理できるのです。もし、他府県並みの70%以下になったら、
財政難にあえぐ自治体は修理することにも困るはずだよ。
「基地関連収入」と「観光収入」の根本的な違いって何か分かるか?
基地経済を論じるときに重要な視点は、軍関係の中味とその本質だ。
県民総所得の中で基地関連収入と観光収入が同じように並べられているが、実は、観光収入は「売上額」なのに対して、基地関連収入は「利益額」にあたるわけさ。
観光収入の「利益額」は10%〜30%と試算してもその中味の違いは大きなものだよ。
しかも、「軍用地料」は不況に強いという特徴があってだね。軍用地料が「市場相場」ではなく「政治相場」で借料が決定されるんだ。
過去、軍用地料は、1991年には前年比で110%、1992年には前年比107%と上昇しているわけ。
沖縄での基地返還要求が強まると、軍用地料が必要以上に引き上げられる傾向にあるんだな。
そのため、復帰後は軍用地との再契約を拒否する「反対地主」が減少して、契約に応じる「軍用地主」の増加につながっているわけだ。
沖縄の道路舗装率や上下水道普及率は全国のトップレベルですわ。
基地が無ければ北部の自治体などに軍用地料が入らず、このような普及率や本土以上に立派な校舎など、絶対に無理なはずだよ。
また、あなたが軍用地料を貰っていなくても、そのお金が、沖縄の最大の民間資本として、例えば地域のレストランの開業資金などになって、
沖縄の雇用の維持や食材料店の売上に役立っているわけ。そして県民全てに、大きな恩恵を与えているのさ。
この経済波及効果が大きいがゆえに、人口を2倍にも増やす力となったわけだね。
もし、基地が縮小・撤去されたら、この高率補助金も他府県並みに減らされ、また軍用地料も減り、県民全体に大きな損失をもたらすことでしょうよ。
そして更に今回、「補助金3000億円ありがとう。でも米軍基地は県外で」ってか?・・・・恐ろしいわ。
自衛隊関連では、もし与那国に自衛隊が移駐し、島で急患が出れば相当な時間短縮で那覇まで輸送できる。
陸自の第15飛行隊の急患輸送は、県知事からの災害派遣要請により実施され、年間約250回出動し、365日24時間体制になっている。
「ドクターヘリ」があるからいいサー」って人がいるが、ドクターへりがどれだけの性能か分かってるの? 残念だがドクターヘリは与那国までは来れないよ。
航続距離がなく、夜間飛行設備も十分でなく、おまけに維持費がない。ドクターヘリは実質、本島周辺のみの活動だろ。
与那国自衛隊移駐は色んな面で+があると確信した、ほぼ全ての島民の願いである。
というわけで分かっただろ、米軍基地を完全に無くすのは非常に難しいわけだよ。
事件事故?、民間人も同じくらい起こしてるって。