2007年10月04日

補給艦を使った間接給油とは?

現在、自衛隊のインド洋での給油活動が問題になっています。

2001年に成立した「テロ対策特別措置法」は11月1日で期限切れになります。
この法律については以下で説明しました。

「テロ特措法」ってなあに?
http://atsukoba.seesaa.net/article/54298276.html

youjou_hokyu_400.jpg
(防衛省のパンフレットより http://www.mod.go.jp/j/news/terotoku/pamph_02.pdf

■「給油新法」とは?

政府・与党は当初、この「テロ特措法」を延長しようとしてきました。しかし、民主党の反対や安倍首相の突然の辞任などの影響もあり、「テロ特措法」の延長は事実上不可能になりました。
そこで「テロ特措法」に変わる「給油新法」の法案を国会に提出すると言われています。
しかし、この「給油新法」も成立するかどうかは危うくなっています。

■イラク作戦への転用疑惑とは?

もともと9.11の事件を受けて急ごしらえで作られたのが「テロ特措法」です。ですからアブガニスタンに対するテロ対策を支援するという建前になっているのです。

にもかかわらず、自衛隊が補給した燃料が、実はイラクへの作戦に使われていたらしいことがわかりました。これが「転用疑惑」です。

以下、図を使ってできるだけ簡単にご説明します。
詳しくお読みになりたい方は、以下をご覧ください。

給油した燃料はイラクへの作戦に使われていた!?
http://atsukoba.seesaa.net/article/56661063.html

ピースデポ「海自艦が給油した米艦はイラク作戦に使用した」
http://www.peacedepot.org/media/pcr/mediarelease3/oil.htm

■補給艦とは?

kyom03_400.jpg

この画像の中央に写っているのが自衛隊の補給艦「ときわ」です。アメリカの艦艇(軍艦)に燃料を補給しているところです。
http://www.mod.go.jp/j/terro/photo.htm より)

pecos_400_2.jpg

そしてこの画像の左側が、アメリカ海軍の補給艦「ペコス」です。アメリカの空母「ロナルド・レーガン」に燃料を補給しています。
http://www.navy.mil/view_single.asp?id=43251 より)

このように「補給艦」とは、他の艦艇(軍艦)に燃料や水などを補給する船のことを言います。

■「間接給油」とは?

今回、問題になっている「間接給油」について図で示します。
2003年2月25日に実際に行なわれた例です。

kansetsu_1.jpg

自衛隊の補給艦「ときわ」が、アメリカ海軍の補給艦「ペコス」に給油しました。
そして補給艦「ペコス」がその後、アメリカ海軍の空母「キティホーク」に給油したのです。

空母(航空母艦)は甲板が滑走路になっていて、そこから戦闘機が飛んでいってイラクなどで空爆をしています。
040227-N-1854W-004.jpg
http://www.kittyhawk.navy.mil/ より)

直接、空母に補給するとイラク戦争のような非人道的な攻撃に荷担しているのが明らかになるので、間に補給艦を入れることでわかりづらくしたとされています。

■政府が説明していた補給量は違っていた!

この問題が明らかになった当時、政府は、自衛隊の「ときわ」から米軍の補給艦「ペコス」に給油したのは約20万ガロンだった、「キティホーク」に間接給油したとしても20万ガロンは一日で使う量だからその日で使い切り、その後、イラクに向かったのだから問題はない、と説明していました。

ところが、ビースデポの調査で「ときわ」が給油したのは約20万ガロンではなく約80万ガロンだったことがわかりました。

kansetsu_2.jpg

さらに、キティホークは当時、対アフガンの作戦には参加しておらず、給油されてからすぐにペルシャ湾に入っていたことがわかりました。

■全体の55%、105回分が「間接給油」!

情報公開が充分でないという指摘を受けて、防衛省は不完全ながらも給油活動についての情報を公開しました。
それによると、上記のような補給艦への「間接給油」は105回にもわたり、給油流全体の55%にもなることがわかりました。
http://www.asahi.com/politics/update/0928/TKY200709280364.html

町村官房長官は、今後は補給艦への給油の中止も検討すると会見で話しました。
それは、補給艦を使った間接給油に対する「国会での追及をかわす狙いがある」とされています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007100302053589.html

野党は、国会でこの問題を徹底的に追及するようです。
給油活動を含めた自衛隊海外派遣(派兵)の是非を大いに議論してもらいたいですね。

【10月5日 追記】
昨日アップしたこの文章中、ペコスの画像と空母の名前、引用元のURLが違っていましたので訂正させていただきます。
失礼しました。ご指摘ありがとうございました。

【10月25日 追記】
その後、10月11日に米軍から「キティホークは、ペコスから67万5000ガロンの燃料補給を受けた」という発表があり、日本政府も追従しました。
「ときわ」からの給油量を間違えて発表していた件については、当時の海上幕僚監部 防衛課長が間違いに気が付いたのにもかかわらず報告していなかったとされています。
この人物は自民党 片山さつき衆院議員の公設秘書になっていたのですが、この件が明るみに出て辞職しました。
同じ10月11日には、イラク戦争に参加したイージス駆逐艦「ポール・ハミルトン」に直接給油していたことも明らかになりました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/62329553.html
posted by あつこば at 13:03| Comment(12) | TrackBack(0) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ですから、米軍が「間接給油」をする事を日本側が「事前に」知っていたという証拠は有るんですか?
知っていて補給をした事として記事を書かれているように感じられますが、どうなんでしょうか?
政府からの発表にしても間接補給を後で聞かされて、少しでも責任逃れをしようとしてああいった言い訳をした
という可能性はありませんか?(やって良い事ではないですがね)

で、「自衛隊海外派遣(派兵)」ですが、国際社会の一員である日本国として何か問題がありますか?
Posted by 我王 at 2007年10月04日 21:32
>そしてこの画像の左側が、アメリカ海軍の補給艦「ペコス」です。アメリカの空母「エセックス」に燃料を補給しています。

ごめんね重箱の隅をつついて。
エセックスは強襲揚陸艦ですよ。
写真の空母はニミッツ級原子力空母。

Posted by 左翼撲滅 at 2007年10月05日 00:05
左翼撲滅さん
ご指摘の通りです。画像と艦艇の名前、URLが他のと混ざっていました。
修正しました。

空母の名前は「ロナルド・レーガン」で引用元のURLは以下です。
http://www.navy.mil/view_single.asp?id=43251

「ペコス」が「エセックス」に給油している画像が以下でした。
http://www.navy.mil/view_single.asp?id=43463

たいへん重要なご指摘でした。ありがとうございました。
Posted by あつこば at 2007年10月05日 09:05
我王 さん

> 米軍が「間接給油」をする事を日本側が「事前に」知っていたという証拠は有るんですか?

イラクへの作戦に使われるということを日本側が事前に知っていたかというと、知っていたことを証明できる証拠はありません。
給油の際には「交換公文」というものを交わしているそうですから、建前上はアフガンへの作戦に使うことになっています。

以前からイラク戦争への転用疑惑はあり、防衛庁は「(距離が離れているから)あり得ない」としていたそうです。
しかし「ときわ」が「ペコス」に給油した場所は自衛隊の活動範囲の中でもかなりペルシャ湾寄りです。そして、補給艦に対して給油した量は、約6年間の活動のうちイラク戦争開始の前後である2002年度が5割強も占めています。

イラク戦争開始の前後に「この燃料はイラク戦争に使われるんじゃないか」という疑問をまったく持たなかったとしたら、そのほうが不自然に感じます。

「間接給油」の問題が最初に明らかになったのは、2003年5月6日にキティホークが横須賀に帰港した時のトーマス・パーカー艦長の発言です。艦長は日本に対する感謝の意味でポロッと喋ってしまったのだと思います。つまり彼らにとってはイラク戦争に日本が協力していることは常識だったのでしょう。

横須賀は日米が同居していますし、現場同士で会話をしている中で米兵から「ありがとう。自衛隊のおかげでイラクへの作戦を無事敢行できた。」という会話があってもおかしくはありません。

とはいえ、日本側が知っていたことを裏付けられる確固たる証拠はありません。
もし、小泉−ブッシュの事前の密約でもあったとしたら大問題になりますね。

防衛庁が「間接給油」を認めたのは2003年5月8日です。それ以降も補給艦への給油は続けられました。

町村官房長官は、今後は補給艦への給油の中止も検討すると会見で話しましたが、現在検討中の給油新法で補給艦への給油をしないことになるかどうかはわかりません。
Posted by あつこば at 2007年10月05日 13:18
>横須賀は日米が同居していますし、現場同士で会話をしている中で米兵から「ありがとう。自衛隊のおかげでイラクへの作戦を無事敢行できた。」という会話があってもおかしくはありません。
高官でなく現場の兵士だからこそ燃料の補給経路については詳しく知らないんじゃないの?
ましてや作戦内容に関してそんなに軽々しく(同盟国であっても)他国の兵に話す事の方がおかしいと思いますが
Posted by 我王 at 2007年10月05日 23:11
順番が前後しますが
>イラク戦争開始の前後に「この燃料はイラク戦争に使われるんじゃないか」という疑問をまったく持たなかったとしたら、そのほうが不自然に感じます。

「疑問を持ったから給油は中止」って訳にはいかんでしょう、国家間での取り決めならば
米側に聞いても「そんな事は無い」と言われりゃオシマイですしね
起こってもいない事に関しては相手側を信用するしかないでしょう
Posted by 我王 at 2007年10月05日 23:48
アメリカ側は補給された燃料のイラク戦への「転用」を明確に否定したそうですよ
公式にね
Posted by 我王 at 2007年10月07日 15:48
我王さん、情報ありがとうございます。

> アメリカ側は補給された燃料のイラク戦への「転用」を明確に否定したそうですよ
公式にね

それは、どの報道機関のいつの情報でしょうか?
Posted by あつこば at 2007年10月07日 17:35
読売新聞の記事を見つけました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071006i115.htm?from=main1

我王さんがお知りになった情報もこれでしょうか?

この内容だけだと、よくわからないですね。
今後の情報に注意してみます。
Posted by あつこば at 2007年10月07日 17:48
まあ、地元の地方新聞の朝刊1面記事が最初
その後検索かけて色々見ていった
Posted by 我王 at 2007年10月07日 19:55
ところで、これまでに「ぺコス」の補給用のタンク総量や、給油や補給した燃料の種類、給油後の行動なんかのデータは出てますか?
Posted by 我王 at 2007年10月08日 13:58
この件は、日本に泣きつかれた米国が
OIF参加部隊への給油はなかったことに
しようと口裏を合わせた、ってだけでしょ?

あつこばさんの説明は間違っていないと
思う。日本政府が感知しなかったからと
言ってしょうがなかったとはならんでしょう。

日本はOIF参加部隊に給油したんです。
NAVCENT(米中央海軍)は、そんなのいち
いち区別していなかった、というのが
実状ではないですか?
Posted by 左翼撲滅 at 2007年10月12日 00:36
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