2008年01月25日

「恒久法」ってなあに?

秋の国会に出てくるのではないかと言われている「恒久法」について書いてみます。

■「恒久法」とは何か?

簡単に書くと「恒久法」というのは「期間を限定しない法律」ということですね。
この場合では自衛隊を海外に派遣(派兵)するための恒久法のことを意味しています。http://www.toonippo.co.jp/news_hyakka/hyakka2007/0918_13.html

自衛隊が最初に海外に派遣(派兵)されたのは、1991年 湾岸戦争後のペルシャ湾です。

w1991_03023.gif

その後、1992年に「PKO協力法」という法律ができました。この法律では自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に参加する前提として5つの原則が決められています。
5つの原則とは、1.停戦合意、2.紛争当事者の同意、3.日本の中立、4.撤収可能、5.必要最小限の武器使用、です。

ところが、2001年9月11日にアメリカで「同時多発テロ事件」が起きたために「テロ特措法」が作られ自衛隊がインド洋に派遣(派兵)されました。
そして、さらに作られた「イラク特措法」で、現在でも自衛隊が派遣(派兵)され、米軍の物資を運ぶなどの戦争協力をしています。

img_jisseki.jpg

こうした「特措法(特別措置法)」は、期間が限定されています。1月11日に成立した「新テロ特措法」は1年で期限が切れます。ということは今年の秋の国会で延長を巡ってまた国会で議論をしなければなりません。今の「ねじれ国会」では参議院で野党が過半数を占めていますので自衛隊の海外活動は続けられなくなる可能性があります。

そこで自民党は、いちいち特措法を作らなくてもすむように「恒久法」を制定しようとしているんですね。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080111/plc0801112005010-n1.htm

■テロ対策の民主党案は恒久法案の布石

前に書きましたが、「新テロ特措法」に対する民主党の対案は18日から始まった国会で継続審議になっています。

継続審議にした狙いについては以下のように報道されています。
↓ここから引用
--------------
自民党国対幹部は「恒久法につながる内容で、与党と合意も可能だ。審議を通じ、民主党内の足並みの乱れも明らかにできる」と指摘している。
--------------
↑引用ここまで
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080114/stt0801142114018-n1.htm

福田首相も民主党小沢代表との党首討論で、民主党の対案について、
↓ここから引用
--------------
「大変意欲的だと思う」「これから国会でおおいに議論させていただきたい」と述べていました。
--------------
↑引用ここまで
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-01-15/2008011501_02_0.html

民主党の対案じたいはどうせ否決されるのでしょうけど、国会で議論することで恒久法を作るための布石になるんですね。

kankou4-2.jpg

■そもそも「恒久法」は許されるの?

「特措法」というのは、9.11やイラク戦争などの緊急事態があったために例外的に作られた法律のはずです。
日本には憲法九条がありますから、そもそも「日本を守るため」という名目で作られた自衛隊を海外に派遣(派兵)してはいけないのです。

「国際平和のために必要」ということで5原則を決めたPKO法を作り、「やむおえぬ措置」ということで特措法にしてきたのに、「恒久法」を作って、いつでも自衛隊を海外に派遣(派兵)してしまうというのは憲法違反もはなはだしい話ですね。
福田首相は恒久法ではなく「一般法」と読んでいますが、自衛隊の海外派遣(派兵)が普通のことだなどという発想は憲法第99条「憲法尊重・擁護の義務」にも反しているのではないでしょうか?

自民党は今年、「恒久法」の制定を狙っています。そしてその先にあるのは憲法九条の改定です。そのために、「外圧」や「国際貢献」を名目にして自衛隊を海外に派遣(派兵)し、「実態と憲法とが合っていない」状態を作り出したいのでしょう。
タグ:自衛隊
posted by あつこば at 16:29| Comment(2) | TrackBack(1) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あつこばさん、ちょっと違うよ。

日本が禁じられているのは、「国権の発動
たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行
使」であって、国際法的に言えば、PKO
のような平和維持活動とは全く別物。

「前項の目的のため」でも何でもない軍隊
=自衛隊が、どこで活動するかは国民が
好きに決めてよろしい。憲法では日本
国内に限定するなんて言ってはいない。

この線で攻めるのは、ちょっと無理ですよ。
Posted by 左翼撲滅 at 2008年01月26日 00:05
左翼撲滅 さん、お久しぶりですね。

私の書き方もわかりづらかったかと思います。
まず、「テロ特措法」「イラク特措法」「新テロ特措法(補給支援法)」は、PKOではありませんね。

憲法九条二項では「戦力は保持しない」とされています。
自衛隊に関しては「自衛のための必要最低限の実力の組織」という解釈によって存在しています。
ですから、仮にPKOが「平和維持活動」だから許容されると解釈しても、PKO5原則を逸脱してイラクやインド洋に海外に派遣(派兵)するようなことは憲法違反です。

「9.11」や「イラク戦争」による緊急的な「特別措置」で作る法律ではなく、いつでも海外に派遣(派兵)できる恒久法を作るというのは、なし崩し的な憲法違反の状態を恒久化することになるわけですね。
Posted by あつこば at 2008年01月27日 06:08
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