■いわゆる「旧郡部」での組織票
中国新聞で詳しい分析がされています。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100291.html
福田氏は、
↓ここから引用
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議員バッジを外し、「市民党」を前面に、若さもアピールした。女性部会や同級生グループ、移転容認派の市議らが活発に組織づくり。一方、四月の衆院山口2区補選をにらむ自民、公明両党が水面下で支援し、組織選で旧郡部を中心に市内全域に短期間で支持を広げた。
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↑引用ここまで
岩国市は2006年3月20日に8つの市町村が合併しました。いわゆる「旧郡部」では、岩国基地からは離れているため、一部を除けば基地の騒音被害はあまりありません。
↓ここから引用
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福田氏は一昨年合併した山間部でも票を集めたが、市の中心部との格差感に加え、騒音があまりないため移駐問題にも温度差がある。
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↑引用ここまで(東京新聞 2月13日)
合併した時の市長選挙では井原氏が圧勝しました。その時は住民投票が行なわれた翌月だったということもあり、井原氏の側に勢いがありました。
■公明党の支援と何種類ものビラ
そして前回は「自主投票」にしていた公明党県本部が今回は井原氏の対立候補である福田氏を支援しました。
↓ここから引用
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ファミリーレストランや美容室では、声高に井原氏を批判する女性グループが活躍したとの証言もある。
--中略--------
選挙戦では、井原市政のままでは財政破たんすると強調するビラが何種類も作られ、大量にまかれた。結果的にはこれが効いた。
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↑引用ここまで(東京新聞 2月13日)
( http://kuropanda2006.jugem.jp/?eid=196 より拝借しました。)
「ささやき作戦(?)」を具体的に指摘しているブログもありました。
http://30884187.at.webry.info/200801/article_7.html
■自民党 水面下の組織戦
前回、井原氏が圧勝した市長選挙では、当時の安倍官房長官や麻生外務大臣が対立候補の応援に駆けつけたのにもかかわらず負けたので、自民党から応援に行ったのがかえって反発を招いたのでは、とも言われました。
そうした反省から、もともと「小泉チルドレン」だった福田氏は自民党色を極力消しました。
石破防衛大臣も岩国入りを断られました。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100297.html
↓ここから引用
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石破氏は、米軍再編計画に盛り込まれた岩国基地への艦載機移転の重要性を訴えたいと現地入りを打診したが、福田陣営は「来ると逆効果」とやんわり断っていた。
--中略--------
福田氏の議員辞職に伴い、四月二十七日に実施される衆院山口2区補選は、福田政権発足後初めての国政選挙となる可能性が高い。このため自民党は補選勝利への“布石”として福田氏を水面下で支えた。「支援団体を動かす」と、福祉関係団体や看護連盟などに電話作戦を展開。企業には従業員を期日前投票に行かせるよう求めるなど組織戦を徹底させた。
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↑引用ここまで
期日前投票の数は前回の約2倍でしたから、自民党・公明党の水面下での組織戦はかなり効いたようです。
投票率が、前回の市長選挙が65.09%から76.26%に上がったのには、こうした理由もあるのでしょう。
■井原氏側の敗因
とはいえ、井原氏が前回の市長選挙で獲得した得票数は5万4144票なのに対して、今回は4万5299票ですから、単に組織票で福田氏への投票率が上がって破れただけではなく、前回の選挙から票を取りこぼしているのは事実です。
井原氏は1999年以来、3度にわたる市長選挙で勝ってきましたが、今回は同様にはいかなかったようです。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100297.html
↓ここから引用
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井原氏は「乱暴な補助金カットというアメとムチは認められない」と訴えたが、多くの市議が議会のリコールや解散につながることを恐れ福田氏を支援。頼みとした地元労組の動きも鈍く、補選への出馬を予定している民主党の平岡秀夫衆院議員陣営は「福田票もほしい」と自主投票を決め込んだ。
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↑引用ここまで
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802100291.html
↓ここから引用
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過去三回の市長選と同じく「草の根運動」を展開し、民主、共産、社民の各党支持者からも支援を受けたが、組織力に勝る相手の勢いを止められなかった。
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↑引用ここまで
著名人が何人も井原氏の応援に駆けつけたり、ネットでの井原氏の支持が広がったりはしましたが、そうした声は、いわゆる「旧郡部」の人々の投票行動を動かすところまでは届かなかったのかもしれません。
投票日の直前、「名護市に再編交付金支給」という報道がされたのも影響があったと思います。
若者の心をつかめなかったのではないか、という分析もあります。
http://www.news.janjan.jp/government/0802/0802110603/1.php
■「艦載機移転は争点にならなかった」
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_08021106.htm
↓ここから引用
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岩国市麻里布町の事務所に姿を見せた井原勝介さんは、市の財政危機を強調した福田さんとの戦いを振り返り「艦載機移駐という最大の争点が隠されてしまった」と肩を落とした。
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↑引用ここまで
福田氏は、選挙期間中も空母艦載機の移転に関しては「容認」とは言ってきませんでした。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200802110103.html
↓ここから引用
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福田陣営が掲げたのは「岩国再生」の旗印だった。市政が混乱を極め、財政も破たん寸前に陥っている。米軍再編も重要だが、最大のテーマは日々の生活の立て直しだ―。街頭演説では、こうした訴えに聞き入る市民から拍手が起きていた。若さを前面に押し出し、対立から協調への路線転換をアピールする手法も、支持の輪を広げる力になったようだ。
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↑引用ここまで
選挙期間中も「国の言いなりにはならないし、オール市民の意見を国にもの申す」と繰り返していたそうです。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200802110103.html
そして、選挙の結果が僅差でしたし、ヘタをするとリコールされる可能性もあるので、福田氏は艦載機の移転に関してさらに慎重になっています。
http://www.asahi.com/politics/update/0210/SEB200802100009.html
↓ここから引用
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福田氏は当選確定後、「相手陣営の意見にも耳を傾け、市民の心を一つにしていかなければならない」と語った。
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↑引用ここまで
↓ここから引用
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安全が確保されない場合、移駐に反対する可能性があるかどうかを問われると、「ある。容認派と呼ばれているが、私は容認すると言ったことはない。日米安保の重要性から米軍再編は必要だが、防音問題が担保されなければ協力できない」と強調した。
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↑引用ここまで(東京新聞 2月13日)
国は、これで「岩国は容認に変わった」という印象を強めたいという思惑もあって、凍結していた新市庁舎建設の補助金を出すと言い始めました。
それによって空母艦載機の移転を容認する流れも起こりつつありますが、岩国市民の大部分がそれを歓迎しているわけではありません。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200802110103.html
↓ここから引用
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選挙期間中に本紙や他のメディアが実施した有権者への意識調査では、空母艦載機の移転について「反対」と答えた人が過半数を占めた。
--中略--------
岩国市内では、基地周辺の住民が騒音を理由に米軍機の飛行差し止めを求める集団訴訟を起こす動きも出ている。
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↑引用ここまで
そして、山口県に対して埋め立て承認の取り消し求める裁判も始まりました。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamaguchi/news/20080207-OYT8T00774.htm
岩国での選挙や空母艦載機の移転に関しては、以下などに書いています。
http://atsukoba.seesaa.net/article/82081213.html
http://atsukoba.seesaa.net/article/75487832.html
http://atsukoba.seesaa.net/article/83005405.html
【2月19日 追記】
TBS系ラジオ『下村健一の眼のツケドコロ』のサイトでも、この選挙についての分析がされていました。なかなか重要な指摘がされています。
http://tbs954.cocolog-nifty.com/eye/2008/02/post_257e.html
私自身も「岩国の人たちは基地問題だけが争点になることに疲れていたんじゃないかな?」という感覚が沸いていたものの、情報を調べてまとめているうちに基地問題に引きずられていました。





岩国市長選の件ですが、井原さんは、今回負けて逆に良かったと私は思います。
というのは、補助金がどうこうではなく、「艦載機移転を止める手立てがない」からです。
井原さんが市長になったところで、住民運動等が活発になっても、国も米軍も、いくらでも「合法的に」強行することができるのです。
井原さんが市長であっても、艦載機が移転されてしまったら、市民の「諦め」ムードがむしろ高まってしまう。これが最も懸念すべきことだったと思います。
福田さんが市長になったわけですが、沖縄のような事件が起これば、「基地容認」の市長は槍玉に上がるのは必定です。
そこまでいかなくても、『公約134億円』のうち、目先の35億円の補助金は出ますが、防衛費も年々削減されていますから、残りの99億円が「出ない」可能性は十分あります。そうなれば完全に公約違反です。
しかも、「望んでいないが、財政のために基地を受け入れる」ということで福田氏へ投票した市民は、完全に敵に回すことになります。第一、次の衆院選では、福田氏の自民党が負ける可能性がかなりあるのです。
これからの4年は、福田市長監視の4年とし、次の市長選でワンサイドゲームを狙うぐらいの強かさを持った方がいいように思います。
揺るぎのない固い思いで入れた人が多いです。
お金よりも将来の事を心配して投票した人が多いでしょう。
あと、お金の問題で「しょうがない」と基地を容認する事は、自分としてはどうしても納得いかない。
そう思って一票を投じました。
私は、岩国市長選挙はそもそも艦載機移転だけが争点ではなかったと思い始めています。
詳しくは、【追記】でも紹介した、
http://tbs954.cocolog-nifty.com/eye/2008/02/post_257e.html
をお読みいただければと思います。
今回の選挙は井原前市長が自ら辞任することで仕掛けた選挙です。井原氏自身は艦載機移転を争点にすることで勝てると信じていたのでしょう。そしてマスコミをはじめ多くの人は艦載機移転が争点だと思いこんでいました。
しかし、現実の投票行動は艦載機移転の問題だけではなく、別の動機で誰に入れるのかを決めたのだと思います。
「しょうがないとあきらめた」「お金に屈した」という単純な理由だけではない気がします。
もちろん、僅差だったわけですから水面下の工作や組織票などの影響が決め手となったことも事実です。ですが、投票した方すべてが諦めたり騙されたわけではなく、さまざまな理由での投票行動が影響した結果だと思います。
沖縄でも辺野古(へのこ)での基地建設容認派の候補者が選挙では勝っています。ですが、世論調査では基地建設に反対している人のほうが多いのです
大局的にいちばん大きな問題が基地問題だとしても、多くの人の投票行動は基地問題だけに左右されるわけではありません。(だからといって多くの人が基地を「容認」していると決めつけるのも危険です。)
選挙は難しいですね。
理由としては、前述どおり「補助金134億円が満額出るとは限らない」上に、沖縄のような事件が岩国で起これば、確実に住民は一気に反自民・反基地になり、沖縄と同じ状態になるということです。
これが、もし、福田市長が圧倒的勝利だったのであれば、そうは言い切れませんが、今回は「僅差」であり、しかも住民投票では「基地反対」が圧倒的多数だったわけですから、「本音は基地反対。しかし、今回は妥協した。」というのが福田さん当選の原因として機能していますから『面従腹背』の状態で福田市政は動くわけです。
逆に、井原さんが当選してしまったら、おそらく国は「特措法」を作ってでも岩国に基地を持ってくるでしょう。そうなれば「選挙なんて・・・」になってしまいかねない。
市民がこうなってしまったら、それこそ東国原知事レベルのインパクトのある人が市長候補にでもならない限り、逆転は厳しくなります。
基地への不安はあるでしょうが、みなさんが思っている以上に、アメリカは日本を気遣っているのが実態ですから、懸念がないとは言いませんが、「慣れ」るまでは、大きな事件は起こりにくいと思います。
従って、ここは「4年間、時間をくれた」とポジティブになって、4年後、ワンサイドゲームで返り咲くぐらいの気持ちで臨んだ方がいいかなと、私は思います。
住民投票と今回の市長選挙の結果からみれば、この可能性は十分すぎるほどありますから。
選挙結果をどう考えるかについては主観の問題ですので、私からは特に申し上げません。
細かい指摘ですが、事実関係だけは正確にしておきたいと思います。
> 沖縄のような事件が岩国で起これば、
岩国では現在でも小さな事件は起きているそうです。
大きな事件としては、昨年10月、岩国基地に所属している米海兵隊員4名が広島市内で未成年の女性に暴行する事件を起こしています。
岩国は広島市に近いので、岩国基地の米兵は広島に飲みに行くことが多いそうです。
> 国は「特措法」を作ってでも
すでに「米軍再編特措法」は作られて、それを元に自治体の受け入れ度合いを国が採点して交付金をバラまくことになっています。
それに続く、さらに自治体が言うことを聞かない場合の「特措法」というのがあり得るのかどうかはわかりませんが。
> 岩国に基地を持ってくるでしょう
これは単純な表現上のミスだと思いますが、岩国には現在でも基地があり、騒音や犯罪の被害があるということは強調しておきたいと思います。
日米両政府の計画は、神奈川県 厚木基地の空母艦載機を岩国基地に移駐させるというものです。米軍は岩国基地の近くに空母艦載機の着艦訓練をする施設を作れと要求しています。
何度もコメント申し上げて、大変申しわけありません。
>岩国では現在でも小さな事件は起きているそうです。
>大きな事件としては、昨年10月、岩国基地に所属している米海兵隊員4名が広島市内で未成年の女性に暴行する事件を起こしています。
>岩国は広島市に近いので、岩国基地の米兵は広島に飲みに行くことが多いそうです。
今現在、あるいは過去に事件があったなかったというのが問題なのではなく、「艦載機移転容認の福田市長の政権下において」というところにポイントがあるとお考えください。
井原さんは艦載機移転に「反対」なのですから、米軍兵士の事件が起ころうが、井原さんの『失点』にはならない。
しかし、福田さんは「賛成」ですから、「リスクを承知で賛成している」のですから、そのリスクが現実になれば、当然、市民の側からは責任を問われることになるのであって、井原さんとは立場が異なる、というご理解でいいと思います。
>すでに「米軍再編特措法」は作られて、それを元に自治体の受け入れ度合いを国が採点して交付金をバラまくことになっています。
それに続く、さらに自治体が言うことを聞かない場合の「特措法」というのがあり得るのかどうかはわかりませんが。
沖縄で大田元知事が抵抗したことがありましたが、そのときに「特措法」を作ろうとしましたよね。それと同じような、土地収用に関する特措法を新たにつくる、という意味です。
憲法では、特定の地方公共団体にのみ適用する特別法には、その住民の同意を要することになっていますが、逆に言えば、「全国で適用できる形」にすれば、その必要はなく、国会だけで成立させることが可能です。おそらく、そちらでやると思います。
まぁ、「参考までに」ということで。(笑)