額賀防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官が会談し、沖縄の海兵隊をグアムに移転する費用のうち59%にあたる60億9000万ドルを日本が負担する事が合意された。
(4月24日 毎日新聞のWebサイトより http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060424k0000e010063000c.html)
米軍再編にそれほど興味を持っていない人がこのニュースに接した時、どんな印象を持っただろうか。
「そうか。沖縄にはアメリカの基地がたくさんあってかわいそうなんだよねー。そうは言っても自分のうちの近所にアメリカの基地が来ても困るしなあ。結局、日本はお金を出して解決するしかないんだ。しょうがないのかなあ。」
僕の勝手な想像だが、上記のように思う人が多いのではないだろうか。
そこには大きな思い違いがあると思う。多くのニュースでは「沖縄の負担軽減」という言葉が出てくる。しかし、それは米軍再編に関しての日本政府の言い方であって、そこに惑わされてはいけない。
■本当に沖縄の「負担軽減」なのか?
たしかに沖縄の負担は軽減する必要がある。でも今回の海兵隊のグアム移転は本当に「負担軽減」なんだろうか?
沖縄の負担を軽減するために最もやらなければならない事は、住宅密集地にあり危険な普天間基地を沖縄以外に移す事だろう。
しかし、米軍再編の日米協議の中では沖縄以外に移すという案はほとんど議論もされなかったという。('05年12月17日 朝日新聞のWebサイトより)
それでは沖縄の人達が納得しない。日本政府が沖縄の負担軽減をアメリカに求めた結果、出てきた案が海兵隊の削減だ。
つまりアメリカにとって沖縄の基地は断固として必要で、沖縄での基地反対の声を少しでも抑えるために少しは兵隊を減らしましょうという事だ。
そもそも沖縄にいる米海兵隊は日本を守るためにいるわけではない。沖縄で訓練をしてイラクのファルージャなどに出かけていき、人々を殺しているのが海兵隊だ。「荒くれ者」が多いと言われる海兵隊員が削減されるのは、米兵による犯罪が絶えない沖縄にとって多少なりとも負担軽減なのかなという気にもさせられる。
しかし、今回移転するとされているのは第三海兵遠征軍を統括する司令部であって、沖縄で犯罪を犯す下っ端の海兵隊員は沖縄に居続けるのであまり効果は無いという意見もある。
また、移転するとされている人数は兵隊が約8000人とその家族が約9000人といわれているが、実は現在でも沖縄の海兵隊員はイラクに派遣されているので、実質的に移転する人数は2000人から3000人ではないかという指摘もある。
(4月23日 しんぶん赤旗のWebサイトより http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-04-23/2006042304_03_0.html)
ここからは単に想像の範囲でしかないが、仮に一度沖縄の海兵隊が「削減」されたとしても数年後に「増員」されない保証はどこにもない。米軍基地が無くならない限り、いつのまにかどんどん増えていたという事だって起こりうるだろう。
金は出したけど結局移転が棚上げになる可能性だってある。普天間基地の沖縄県内での移設が反対運動などによって進まない場合は、「交換条件」である海兵隊の移転も無くなる事になる。
(2月3日 沖縄タイムスのWebサイトより http://www.okinawatimes.co.jp/day/200602031700_01.html)
本当に「負担軽減」になるかどうかわからないのにもかかわらず、アメリカの領土であるグアムの基地のために日本が金を出すのだ。そして、財政負担はそれだけでは終わらない。
上記にあげた毎日新聞の記事では、グアム移転以外の負担も含めて日本側の関連経費は「2兆円以上になりそうだ」と書かれている。
さらに軍事ジャーナリスト、神浦元彰さんのWebサイトhttp://www.kamiura.com/index.htmlの本日(4月25日)の文章http://www.kamiura.com/new.htmlには、これを機会に日本はさらに財政負担させられるのではないかとある。
一体、今後、日本国民は米軍に対していくら出させられるのだろう。
今後は、移転先とされるグアムの事や、米軍再編はそもそも誰の都合で行われているか、といった事を調べて考えてみたい。