2006年04月25日

巨額の費用負担、本当に沖縄の「負担軽減」につながるのか?

■米軍再編の費用負担で日米の防衛首脳が合意

額賀防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官が会談し、沖縄の海兵隊をグアムに移転する費用のうち59%にあたる60億9000万ドルを日本が負担する事が合意された。
(4月24日 毎日新聞のWebサイトより http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060424k0000e010063000c.html

米軍再編にそれほど興味を持っていない人がこのニュースに接した時、どんな印象を持っただろうか。
「そうか。沖縄にはアメリカの基地がたくさんあってかわいそうなんだよねー。そうは言っても自分のうちの近所にアメリカの基地が来ても困るしなあ。結局、日本はお金を出して解決するしかないんだ。しょうがないのかなあ。」
僕の勝手な想像だが、上記のように思う人が多いのではないだろうか。

そこには大きな思い違いがあると思う。多くのニュースでは「沖縄の負担軽減」という言葉が出てくる。しかし、それは米軍再編に関しての日本政府の言い方であって、そこに惑わされてはいけない。

■本当に沖縄の「負担軽減」なのか?

たしかに沖縄の負担は軽減する必要がある。でも今回の海兵隊のグアム移転は本当に「負担軽減」なんだろうか?

沖縄の負担を軽減するために最もやらなければならない事は、住宅密集地にあり危険な普天間基地を沖縄以外に移す事だろう。
しかし、米軍再編の日米協議の中では沖縄以外に移すという案はほとんど議論もされなかったという。('05年12月17日 朝日新聞のWebサイトより)

それでは沖縄の人達が納得しない。日本政府が沖縄の負担軽減をアメリカに求めた結果、出てきた案が海兵隊の削減だ。
つまりアメリカにとって沖縄の基地は断固として必要で、沖縄での基地反対の声を少しでも抑えるために少しは兵隊を減らしましょうという事だ。

そもそも沖縄にいる米海兵隊は日本を守るためにいるわけではない。沖縄で訓練をしてイラクのファルージャなどに出かけていき、人々を殺しているのが海兵隊だ。「荒くれ者」が多いと言われる海兵隊員が削減されるのは、米兵による犯罪が絶えない沖縄にとって多少なりとも負担軽減なのかなという気にもさせられる。

しかし、今回移転するとされているのは第三海兵遠征軍を統括する司令部であって、沖縄で犯罪を犯す下っ端の海兵隊員は沖縄に居続けるのであまり効果は無いという意見もある。

また、移転するとされている人数は兵隊が約8000人とその家族が約9000人といわれているが、実は現在でも沖縄の海兵隊員はイラクに派遣されているので、実質的に移転する人数は2000人から3000人ではないかという指摘もある。
(4月23日 しんぶん赤旗のWebサイトより http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-04-23/2006042304_03_0.html

ここからは単に想像の範囲でしかないが、仮に一度沖縄の海兵隊が「削減」されたとしても数年後に「増員」されない保証はどこにもない。米軍基地が無くならない限り、いつのまにかどんどん増えていたという事だって起こりうるだろう。

金は出したけど結局移転が棚上げになる可能性だってある。普天間基地の沖縄県内での移設が反対運動などによって進まない場合は、「交換条件」である海兵隊の移転も無くなる事になる。
(2月3日 沖縄タイムスのWebサイトより http://www.okinawatimes.co.jp/day/200602031700_01.html

本当に「負担軽減」になるかどうかわからないのにもかかわらず、アメリカの領土であるグアムの基地のために日本が金を出すのだ。そして、財政負担はそれだけでは終わらない。

上記にあげた毎日新聞の記事では、グアム移転以外の負担も含めて日本側の関連経費は「2兆円以上になりそうだ」と書かれている。

さらに軍事ジャーナリスト、神浦元彰さんのWebサイトhttp://www.kamiura.com/index.htmlの本日(4月25日)の文章http://www.kamiura.com/new.htmlには、これを機会に日本はさらに財政負担させられるのではないかとある。

一体、今後、日本国民は米軍に対していくら出させられるのだろう。


今後は、移転先とされるグアムの事や、米軍再編はそもそも誰の都合で行われているか、といった事を調べて考えてみたい。


posted by あつこば at 16:07| Comment(3) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月26日

米軍再編の日本負担、トータルでは3兆円以上?

■日本側の負担金額、いきなり値下げの謎

米海兵隊が沖縄からグアムに移転する費用について、24日の報道にもとづいて昨日「59%にあたる60億9000万ドル」と書いたが、きょうの読売新聞のWebサイトでは日本側の負担は57.6%にあたる56億7000万ドル(6294億円)になる、と報道されていた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060426i201.htm?from=main2

上記の記事を読むと、額賀防衛長官とラムズフェルド米国防長官が会談した際、すでにこの数字も出ていたのだが、日本の負担割合が少しでも多いほうが米議会に説明しやすいという理由で高めの割合での発表になったらしい。

日本側にとっては、59%ならば6割を切っていてなんとなく「値頃感」があるし、さらに一度発表した金額から少し下げる事で「成果」のような印象を与えられるという読みもあったのだろう。

オプションとして、防衛庁や国防族議員などに好意的な記事を書いている読売新聞などに対してこうした情報をもらし、他社に先がけた報道をさせる事で、好意的なマスメディアとの友好関係を深められる、というメリットも想像できる。

■トータルでは3兆円以上?

昨日、グアム移転以外の負担も含めて日本側の米軍再編関連経費は「2兆円以上になりそうだ」と書いだが、「3兆円を越す」という試算があるという記事を、ある人に教えてもらった。

3月12日の日経新聞に掲載されていた記事だ。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060312AT3S1100P11032006.html

59%(あるいは57.6%)という合意がなされる前の記事だが、政府の試算として書かれていて、新聞に掲載されていた記事は上記のWebサイトの記事よりも詳しいので参考になる。

内訳はこうだ。普天間基地を沖縄県内のキャンプシュワブ沿岸に移設するのに1兆円超、このほか、米空母艦載機部隊を厚木基地から岩国基地に移設・普天間基地の空中給油機を鹿屋に移設・嘉手納基地のF15戦闘機の訓練を全国各地の自衛隊基地に移設、などの費用として1兆5000億円かかるというのだ。

これに今回のグアム移転費負担6294億円を加えると、3兆円を超える。

読売新聞の社説http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060424ig90.htmをはじめ、ここ数日の報道では「2兆円」という報道が目立つ。
だが、発表する側の「できるだけ低く報道させたい」という意図が入ってはいないだろうか。「3兆円」のほうが信憑性がある気がする。

しかも、アメリカはなにかあるたびにどんどん財政負担を押しつけてきている。「3兆円」ですむとは限らない。

posted by あつこば at 10:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

米軍再編の費用負担「大まかで控えめな試算」で約3兆円

■ローレス米国防副次官が「260億ドル」

午前中にブログに文章を書いて午後は別の事をやろうと思っていたのに、昼メシを食って帰ってきたら、ニュースが入っていた。

ロイターの報道http://today.reuters.co.jp/news/articlenews.aspx?type=topNews&storyid=2006-04-26T094509Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-211225-1.xmlによると、ローレス米国防副次官が記者会見をして「日本側の費用負担は260.9億ドル」と語ったらしい。

他の報道では「260億ドル(約2兆9800億円)」という記事がほとんど。
河北新報の記事(という事は共同通信かな?)
http://www.kahoku.co.jp/news/2006/04/2006042601000477.htmには、ローレス米国防副次官は「大まかで控えめな試算」と指摘したとされ「経費はさらに膨らむ可能性も」あると書かれている。

どういうレートで計算するかによっても微妙に違うと思うが、日経新聞では
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060426AT2M2600W26042006.html「約3兆円」という表現になっている。

読売新聞の報道http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060426i104.htm?from=main1ではグアム移転を除いた日本側の負担として2兆2200億円と書かれているが、グアム移転を加えた金額については円に換算した金額が書かれていない。これはちょっとずるい気がする。
また、この記事では「費用は1兆5000億円程度にとどまる」とする見方もある事を紹介している。

■「2012年までに在日米軍の再編を完了」

上記の日経新聞の記事では、この記者会見の中でローレス米国防副次官は、普天間基地の移設を含む達成目標について「日本側は12年までにできると自信を持っている。技術的に可能かどうか分からないが、目標は12年だ」と述べたと書かれている。

25日の読売新聞の報道http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060425i101.htmでは、キャンプシュワブ沿岸の新基地建設に関して「環境影響評価に3年、建設工事に5年程度の計8年程度を要する見通し」と書かれている。今から8年かかったら2014年だ。

SACO合意から10年、閣議決定から7年、辺野古沖での新基地建設はまったく進まなかった。
これだけ金がかかる事までわかってしまって、地元自治体からの反発も高まっているのに、米軍再編は2012年までにできるのだろうか。日本政府の「自信」は根拠のない自信ではないかという気がする。
追記
posted by あつこば at 13:09| Comment(1) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月27日

米軍再編は誰のため?

■米軍再編は誰のため?

きのうの書き込みはちょっとマニアックになりすぎたかなと早くも反省してます。

最初に米軍再編の費用負担について書き始めた時は、わかりやすく書こうと思ってたんですけどね……。
http://atsukoba.seesaa.net/article/17025016.html

という事で、文体もちょっと変えて、一日に書く文章も短くしようと思ったりしています。
きょうは米軍再編は誰のために行われているのかを考えてみる事にしました。

とは言っても考えるまでもなく、米軍再編は「アメリカのため」ですね。
けっして日本を守るためでも沖縄の負担を軽減するためでもないでしょう。
ニュースで「沖縄の負担軽減」という言葉が前面に出てくるたびに本質をそらされている感じがします。政治家の人達は本気で「沖縄の負担軽減」をするつもりがあるとはとても思えません。

もともと米軍再編ってのは、アメリカが自分の国の都合のために世界的規模で勝手に進めているものですね。で、米軍が駐留している他の国に比べると在日米軍の再編は遅れているそうです。

それでアメリカ側から圧力がかかっているんですね。

久江雅彦という共同通信の記者が書いた『米軍再編 日米「秘密交渉」で何があったか』(講談社現代新書)という本に、在日米軍の再編が遅れた理由が詳しく書かれています。
簡単に書くと日本の政治家達が在日米軍の再編問題を先送りにしてきたという事らしいです。

ところで、きょうの東京新聞になかなか痛快な文章が出てました。(ネットで見ただけですが)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060427/mng_____tokuho__000.shtml

きょうは、こんなところにしておきます。
posted by あつこば at 10:30| Comment(0) | TrackBack(2) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月29日

グアム移転案のウラオモテ

昨日ある友人から、このブログはビジュアル的にもっとなんとかしたほうがいい、という助言をいただきました。
まあ、確かにそうなんですけどね。
版権を無視してパクった画像を掲載するのもなんですし、かといって画面を作ってるヒマも無くて、まあ、画像が無いのも軽くていいのかな、というのは言い訳ですが、とりあえず……。

■グアム移転案のウラオモテ

25日に書いた文章の中で、http://atsukoba.seesaa.net/article/17025016.html
沖縄の海兵隊の一部移転は「日本政府が沖縄の負担軽減をアメリカに求めた結果」という書き方をしたのですが、日本政府が求めたからそうなったのか、アメリカが自分の都合で移転するのか、実はどうもよくわかりません。

米軍の中にも、沖縄から移転したほうがいいという意見と移転しないほうがいいという意見と両方あるでしょうし、もちろん沖縄での基地反対の声を少しでもやわらげるという意図もあるでしょう。

今日の朝、放送されたNHKの『週刊ニュース』では比較的詳しく説明をしていました。

以下、ワシントン支局の油井秀樹という人の報告内容です。

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アメリカ国防総省内には当初、沖縄の海兵隊をグアムに移せば
朝鮮半島の有事に備える戦力が低下しかねないとの懸念がありました。

しかし、世界規模で軍の再編を進める中、海軍と空軍はグアムを新たな拠点と位置づけ、機能の強化を進めている事から、海兵隊を輸送する能力も高まり、対応は可能だと判断しました。

急速に軍事力を高める中国が沖縄を攻撃できるミサイルを開発しているとして海兵隊を沖縄とグアムに分散する利点を唱える意見があった事も移転の受入を促す事につながりました。

さらにテロとの戦いを重視するアメリカにとって、グアムはイスラム教徒の多いアジア地域に展開する拠点になるという見方も出ています。

(中略)

海兵隊はグアム移転後、独自の高速輸送船を配備して機動力を高めるとしています。グアム周辺では新たな訓練施設も整備して、沖縄では制限されている訓練も実施する方針です。
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なるほど、たしかにいろんな観点から検討された結果というワケですね。

忘れてはならないのは、海兵隊が沖縄からまったくいなくなるわけではない、という事です。
また、「軍事のプロにとってみれば、司令部と前線部隊の分離は極めて異様に映る」という指摘もあります。
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/tamura/20051201n18c1000_01.html

朝日新聞の記事によるとhttp://www.asahi.com/politics/update/0427/017.html
移転先施設の工事は「2012年までの完成を目指す」とあります。

日本のお金を使って工事は完成したけど「普天間基地の移設が進まないから海兵隊の移転もやーめた」なんて事になって単にグアムの建設費だけ取られた、なんて事にならなければいいですが……。
だからといって普天間の移設を沖縄で進めよって話じゃないですけど。

グアムの米軍基地に関しては、4月3日の報道ステーションで現地取材のレポートを放送していました。
なかなか丁寧な取材でしたが「地元は歓迎ムード一色」というナレーションはちょっとなあ……と思いました。

グアムはアメリカが植民地にした島で、先住民の人達は米軍基地強化に反対しています。
http://www.commirai.org/journal/0065/0065-3.htm

■5月1日に「2プラス2」

「5月2日にやるのでは?」と報道されていた安全保障協議委員会(2プラス2)ですが、1日に行うというニュースが入ってきました。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060429AT3K2900929042006.html

26日に書いた文章で
http://atsukoba.seesaa.net/article/17052431.html
グアム移転費の日本負担が59%が57.6%になった、という報道を紹介しましたが、その後、各社の報道は「59%」のままです。なんでだろう?
あの読売新聞の報道はリークによる記事で正式発表じゃないからって事かな?
それとも、他社に抜かれたのが悔しいから無かった事にしているのでしょうか?
posted by あつこば at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月30日

「中間報告」「最終報告」などコトバの問題点

明日、5月1日に日米の安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれます。
麻生外務大臣と額賀防衛庁長官は、今日の午前中にワシントンに行くらしいです。
http://www.topics.or.jp/Gnews/news.php?id=CN2006043001000038&gid=G02

アメリカでライス国務長官、ラムズフェルド国防長官と会談して、米軍再編に関して合意するでしょう。

そもそも米軍再編というのはどこから始まったのかという話は、ややっこしいので後日書く事にして、日本でこれだけ注目されるようになったのは昨年10月に2プラス2が行われて、いわゆる「中間報告」と呼ばれている合意文書が出た後からですね。

沖縄はもちろん神奈川や岩国などの自治体から「なんの相談もなしに勝手に決められた」と、ものすごい反発が出ました。それが今の混乱につながっているわけですね。

■「中間報告」「最終報告」というコトバの問題点

いわゆる「中間報告」が出た約1ヶ月後の昨年11月23日、琉球新報にこんな記事が掲載されました(概要)。

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「中間報告」の表現どこから出たのか 在沖米総領事

トーマス・ライク在沖米総領事は「中間報告という表現が一体どこから出てきたのか分からない。二国間で決めた合意だ」と述べ、日本側の呼称に強い疑問を示し、基地の移設先などの核心部分の大幅修正は困難との認識を示した。

来年3月の最終報告については、「日米合意をいかに実行するかについて、具体的で詳細な措置が記される」と述べ、日米合意の実現手法や時期などを具体化する内容になるとの認識を示した。
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この記事をはじめとして、どうも「中間報告」という言葉はアヤシイ、という説が出始めました。

つまり、ホントは日米両政府の間で決めちゃったんだけど、これまで地元に相談しなかったから反発を恐れて「これはあくまで仮に決めただけで、これから地元の皆さんとも相談して最終報告にしますよー」と言いたいために「中間報告」という言葉を使ったんじゃないか、という疑惑です。

たしかに、いわゆる「中間報告」と呼ばれている合意文書の中にはどこを見ても「中間報告」という言葉は無いんですね。

で、この件に関しては11月30日の神奈川新聞に検証記事が載ってました。(「ワシントン共同」って書いてあるので共同通信の記事ですね。)

この記事によると、11月8日の共同通信などとのインタビューでローレス国防副次官は「(10月末の文書は)中間報告ではない」と繰り返したらしいです。
また、1996年のSACO合意の時には「中間報告」「最終報告」という言葉を使っていたので、今回もその言葉が「独り歩きした」という指摘もある、と書かれています。

この記事では「日本政府は(中略)今後は中間、最終報告との表現は避ける方針だ」と書かれていましたが、12月6日の国会で麻生外務大臣は「国内や米国との間で調整の過程にあるという意味で中間報告と言わざるを得ない」と答えています。

結局、「言葉のあや」で誤魔化したいという下心のある日本政府と、変更はありうると信じたいという地元自治体のワラをもすがりたい気持とが重なって、日本では「中間報告」という言葉が使われ続けているワケですね。

新聞社によっては「中間報告」「最終報告」とカギ括弧付きで書いているところもあります。
今年4月8日の朝日新聞2面には「実施計画合意」(AIP、日本側は「最終合意」と呼称)という書き方をしていました。

まあ、「わかりやすさ」から考えてもおそらく各紙は「最終報告」と書くんでしょうね。

「中間報告」「最終報告」という言葉が断固としてダメだとまでは言い張りませんが、マスメディアはもう少し気を使う必要があると思います。

■「抑止力の維持」というコトバの問題点

最近、日本の政治家やマスメディアの報道は必ずと言っていいほど、沖縄の「負担軽減」と「抑止力の維持」という言い方をします。

これも問題で、11月23日の琉球新報によると(概要)、

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アメリカ大使館のケビン・メア安全保障部長は「抑止力は“維持”でなく“向上”だ」と強調した。
再編の目的の一つとして日本政府は従来、抑止力の「維持」と説明し、「強化」との見方を否定していたが、中間報告では「安全保障の(能力)強化」とうたっている。メア氏の見解は、日本側の説明の矛盾をあらためて示した。
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とあります。

もー、イヤになってきますね。

■「在日米軍再編」というコトバの問題点

さらに言うと「在日米軍再編」という言葉も誤解を招きかねない表現です。
そもそもアメリカが勝手に世界的な規模で軍の改革と再配置をしていて、「在日米軍再編」はその一環です。

沖縄の負担軽減のために始められたワケではないですし、日本国内の米軍基地だけに限った計画ではないのです。

このへんの話になるとだんだん難しくなって、オマケに英語がわかんないので書くのも大変ですが……、
講談社現代新書の『米軍再編』(久江雅彦)によると(概要)、

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2003年11月25日、ブッシュは大統領声明を発表し、活発に防衛力を改革(Transformation)する一方、グローバルな軍事態勢を再編(Global Posture Review)する事が課題だと述べている。

ちなみに、日本の報道で、在日米軍の配置の見直し(再編)をトランスフォーメーションと称する向きがあるが、これは必ずしも正しくない。
トランスフォーメーションは、軍事技術の進展を踏まえた兵器体系や運用の強化に加え、国防総省の組織や人事の効率化まで含めた、もっと幅広い意味での軍の「変革」を意味している。
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と書かれています。

つまり、こっちの基地をあっちに移してとか、そういう事だけじゃあないんですね。

日本で「中間報告」と呼ばれしている、昨年10月29日に出された2プラス2の合意文書。
その正式名称は英語で「U.S.-Japan Alliance:Transformation and Realignment for the Future」となっています。
日本語訳は「日米同盟 未来のための変革と再編」です。
「変革」=「Transformation」「再編」=「Realignment」ですよね。

ジャーナリストの松尾高志さんが『法と民主主義』4月号に書いている文章によると、アメリカが世界的な規模で行っている米軍再編の狙いは「同盟国・友好国の役割分担を拡大させること」も織り込まれている、とあります。

11月15日 朝日新聞の記事の概要と解説が、軍事アナリスト 神浦元彰さんのWebサイトに掲載されています。http://www.kamiura.com/new11_2k5.html

これによると、いわゆる「中間報告」についてある防衛庁幹部は、これで両国の軍事面の一体化が進み、日米同盟の能力強化が図られ、「これは日米安保条約の改定に匹敵する」と指摘した、とされています。


明日行われる2プラス2を前にしていたので、きょうは長く書きすぎました。
これからさまざまな報道がされると思いますが、注意深く見ていきたいと思います。
ご指摘等がありましたら、ぜひ、お知らせください。


posted by あつこば at 08:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月01日

「2プラス2」ってなあに?

あすのテレビや新聞は米軍再編をめぐる「2プラス2」の話題で賑わうでしょう。
という事で、きょうは「2プラス2」について書きます。

「2プラス2」ってなあに?

米軍再編についてそんなに関心が無い人は「2プラス2」と言われてもなんの事なのかよくわからないと思います。

「2プラス2」、そりゃあ「4」だという事は小学生でも知ってますが、では「4」とは何かというと、
日本の外務大臣と防衛庁長官、アメリカの国務長官と国防長官、日米2つの国から2人ずつ出てきて合わせて4人で話し合うから2プラス2なんですね。

この「2プラス2」が上記の4人の時だけの独特の呼び方なのか、軍事関係(防衛関係)以外でも2人ずつで会った時はそう呼ぶのか、実は僕もよくわからないんです。
まあ、とにかく今回の会談は、報道では「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」と表記されています。

で、ネットでちょっと調べてみたところ、毎日新聞社のページに解説がありました。(2002年に書かれた解説です。)
http://www.mainichi.co.jp/hanbai/nie/kininarukotoba01.html#04

ふむふむ。これを読むと「2プラス1.5」なんて言うのもあるみたいですね。

米軍再編に関する日米間の話し合いは、2002年12月16日の「2プラス2」から始まったとされています。
その後、昨年の2月19日に「2プラス2」が行われ「共通の戦略目標」を確認して、共同声明を出しました。
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-20050224-74.html

で、その次に行われた10月29日の「2プラス2」で、いわゆる「中間報告」という問題のある呼び方がされている合意文書「日米同盟 未来のための変革と再編」が出たわけですね。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/henkaku_saihen.html

03.jpg

この時の記者会見で、大野防衛庁長官は「沖縄問題への対応は、かなりの国庫支出を必要とするだろう」として、

「これらの懸案に対しては、自分の名前は「オーノ」だが「オー・イエス」という立場で対処していきたい」などとギャグを飛ばしています。

ところが大野長官は「対処する」どころかすぐに額賀長官に変わってしまい、新しく変わった長官が地元の反発に対してなだめすかしつつもなかなか進まないでいました。

昨年10月の合意文書では米軍再編に関して「地元との調整を完了することを確約」し、「具体的な実施日程を含めた計画を2006年3月までに作成する」と書いてあります。
「地元との調整」はぜんぜん「完了」しないまま、3月の予定がダラダラと延び続けて、いよいよ今日の「2プラス2」に至りました。


P.S.
10月29日の記者会見はネットで探しても見つかりませんでした。
『平和運動』という雑誌で見つけたのでが、他でも見つけた方がいたら教えてください。



posted by あつこば at 11:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月02日

いわゆる「最終報告」は、実は「始まり」

きょうの朝刊一面はどこも米軍再編の記事です。
テレビはきのうの夜のニュース番組には間に合わなかったようで、きょうの夜にはやるでしょう。

読んだり見たりするのに時間がかかって、ここに書いているヒマがありません。
まあ、皆さん自分で読むでしょうから別に書かなくてもいいや(笑)。

ネットで読む方はGoogleのニュース検索などで「米軍」と打てばたくさん出てきます。
http://news.google.com/news?ie=UTF-8&oe=utf8&hl=ja&q=%E7%B1%B3%E8%BB%8D&btnG=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%A4%9C%E7%B4%A2

僕も読んでいる途中ですが、気になったのは二点です。

■日本側の負担総額には触れなかった

日経新聞などの記事に出ていますが、今回はグアム移転費について触れているだけで、全体でいくら負担するのかには触れられていません。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060502AT3S0100P01052006.html

合意文書に書かれていないという事が、どことなくアヤシイ気がします。

アメリカ側は実は3兆円どころか、どんどん金額をつり上げようとしているのではないでしょうか?
明確に書くと金額を上げづらいので、わざと書かなかったとか……、
あるいは、日本側が「国会で責められるから書かないでちょーだい!」と頼んだのでしょうか?

いずれにしても、この先も注意しておかないと気がついたらとんでもない事なっていたという事になりかねませんね。

■「ガイドラインよりも、より強力な新しい枠組みが必要」だってさ

今回の合意文書には、日米新ガイドラインに変わる新たな「日米新々ガイドライン」の事が盛り込まれるのでは?、という見方がありましたが、合意文書には盛り込まれませんでした。

これについては、防衛庁などの裏事情に詳しい読売新聞のサイトに掲載されていました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060501i117.htm

と思ったら、すでに消えていました! 今朝は読めたのに……。
ちなみに読売新聞の朝刊には二面に載ってます。

この記事には、防衛庁と外務省との意見の違いが書かれていますが、アメリカ側には「指針(ガイドライン)よりも、より強力な新しい枠組みが必要だ」という意見があったと書かれています。

実質的には日米安保条約の改定になっている今回の米軍再編ですが、この先、どうなるんでしょう?

「最終報告」などと書かれると、もう完全に決まってしまって終わりのような印象を抱きかねません。

でも、実は「終わり」というよりも、これから先、もっとすごい事の「始まり」なんじゃないかなという気がします。
posted by あつこば at 11:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月03日

憲法「改正」はアメリカの要求

きょうは憲法記念日です。

マスメディアでもいろいろ特集が組まれていると思いますが、いつも気になるのは「憲法改正」という言葉です。
「憲法改悪」と呼べとまではいいませんが、「公正中立」を標榜するのならばせめて「憲法改訂」ぐらいの表現にすればいいのにと思います。

■憲法「改正」はアメリカの要求

有名なところでは、2000年10月11日に出された「アーミテージ・レポート」ですね。
探してみたら以下のページにありました。
http://www.sys-tems.co.jp/nexus/attntion/arm_0010.htm

『日本による集団的自衛の禁止は米日間同盟協力にとって束縛となっている。この禁止を取り払えば、もっと密接で、もっと有効な安保同盟となるであろう。』
と書かれています。

で、そのアーミテージは国務副長官の時代(2004年7月)に、自民党の中川秀直国会対策委員長(当時)に対して、憲法9条は「日米同盟関係の妨げの一つになっている」と発言したんですね。

もっとも、さすがに内政干渉で言いすぎだと思ったのか、その直後、民主党の岡田克也代表(当時)と会談し、憲法9条は「日米関係の阻害要因とならない」と修正しています。

この件に関しては、こちらにありました。
http://agata.ciao.jp/blog/archives/000074.html

もともと上記のアーミテージの発言は、中川秀直国会対策委員長(当時)がアメリカ側にそういう「圧力」をかけて欲しくて引き出したのでは、という気もしますが、いずれにしても、アメリカの政治家達に「憲法9条は邪魔だ」と思っている人が少なくない事は間違いないでしょう。


アメリカの国防総省が4年に一度出している「QDR(4年毎の国防政策見直し)」や、今回の米軍再編の一連の流れを見ていると、アメリカは同盟国に対してさらに負担をさせようとしているのがわかります。

そのためにも「憲法9条」を変えて、集団的自衛権を行使できるようにしたいわけですね。


P.S.
明日から6日まで出かけますので、次の更新は7日になると思います。
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2006年05月07日

ローレス「3兆円発言」をめぐるドタバタとホントの内訳

3日間更新していなかった間に、沖縄県の稲嶺知事がキャンプ・シュワブ内に暫定的にヘリポートを設置する案を表明するなど、いろいろな動きがありました。

米軍再編に関する各地での動きは、このブログではまだほとんど書いていませんが、あせらず少しずつ書くという事にさせていたたいて、きょうもお金の話にこだわりたいと思います。

■ローレス「3兆円」発言をめぐるドタバタ

アメリカのローレス国防副次官の発言に関しては4月26日にも書きました、
http://atsukoba.seesaa.net/article/17061081.html
その後、この発言が日本国内で波紋を呼びました。

で、ローレス国防副次官はこの発言について「釈明」したそうです。
http://www.asahi.com/politics/update/0503/007.html

この記事によると、「(米側で)沖縄の海兵隊のグアム移転費のことばかり言われるので、日本側の負担はもっと大きいと言いたかった」と釈明したらしいです。

確かにテレビで流れた「3兆円」発言の映像を見ると、アメリカの国内向けに喋っているという印象を受けます。

この記事には「訪米中の久間章生自民党総務会長ら与党議員団に伝えた」と書かれていますが、それについては中日新聞の記事に書かれています。
http://www.chunichi.co.jp/00/kok/20060504/mng_____kok_____000.shtml

つまり、「3兆円」発言に対して「これはたまらん」と思った久間章生自民党総務会長をはじめとする与党議員団がローレスに詰め寄って「釈明」させた、という事らしいです。

5月5日の『NEWS23』ではローレス国防副次官のインタビューを放送しました。
それによると
--------------------------------------------------
日本政府が「一部の見積もりはできている」と言っていたので、
日本政府が出した限られた情報を元にして
我々が計算したものだと思います。
--------------------------------------------------
というテロップがインタビューの画面に出ていました。
(英語がわからないので、これを頼りにするしかないのです。)

TBSのニュースサイトでも観る事ができました。
http://news.tbs.co.jp/20060505/headline/tbs_headline3282711.html

ここでのテロップは、
--------------------------------------------------
(3兆円という数字は)あくまで私が試算した数字で責任は私にあります
また、日本政府が出す最終的な見積もり額とは違い可能性も認識しています
--------------------------------------------------
と出ていました。
で、TBSのサイトでの解説は、

--------------------------------------------------
日本との関係に溝が入らないよう、事態の収拾を図りたいという意図も読み取れます。
(中略)
ローレス氏は3兆円という額について、日本政府から提出された数字を元に、自らが計算したものだと、全く根拠のない数字ではないこともにじませましたが、自らの非をあえて認めることで、日本側に配慮する姿勢を見せました。
--------------------------------------------------

とまあ、そういうわけで、結局、ローレスは「3兆円」だと思っているはずですが、日本側に「配慮」して、いちおう「釈明」したというところでしょうね。

■最終的な経費を見積もるのは日本

5月2日のNHK昼のニュースで、シーファー駐日大使は、
--------------------------------------------------
膨大な金額になるだろうが
最終的な経費を見積もるのは日本だ
--------------------------------------------------
と語ってます。

で、その日本は阿部官房長官、麻生外務大臣、谷垣財務大臣、山崎前副総裁などから「3兆円」説を抑え込もうという発言が続いています。

■額賀長官「2、3兆円もかからない」

きょう放送されたNHKの『日曜討論』で(……というか、実はその番組は全部観たワケじゃなくて昼のニュースで放送していたのですが)額賀防衛庁長官が以下の発言をしました。

--------------------------------------------------
これから積算をしていく事になっていきますので、まだはっきりした数字はわかりません。
ただ、そんなにですね、べらぼうに、何兆円も3兆円も2兆円もかかるという事では無いと思いますね。
--------------------------------------------------

うーむ。この発言は覚えておいたほうがいいなー。
……と書いているうちに日経新聞のサイトでも報道されました。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20060507STXKA004507052006.html

--------------------------------------------------
関係者によると、額賀氏が「2、3兆円もかからない」としたのは、在沖縄米海兵隊グアム移転で日本が負担する60億9000万ドル(約7100億円)や、基地負担を抱える自治体への地域振興経費を除いているという。
--------------------------------------------------

放送後に関係者があわててフォローしたのでしょうか?

「2、3兆円もかからない」という事は、裏を返すと「2兆円未満はかかる」という事になりますね。
仮に1.5兆円かかるとして7100億円をプラスすると2兆2100億円ですね。

■3兆円の内訳

ところで、ローレス「3兆円」発言のドタバタが始まる前から、「日本政府の試算で3兆円」という報道が出ています。
4月26日にこのブログにも書きましたが、3月12日の日経新聞に内訳も含めて書かれているんですね。
http://atsukoba.seesaa.net/article/17052431.html

別の方向からの試算もあります。
軍事アナリスト 神浦元彰さんのWebサイトの4月27日の記述です。
http://www.kamiura.com/new.html

ここでは非常に恐るべき事が示されています。
つまり、今回の合意に基づいてこれから返還されるであろう沖縄の基地、その土壌汚染がすさまじいらしくて、土壌を改良するために1兆円を超える費用がかかると推測されているらしいのです。

さらに大問題が書かれています。

かつて沖縄が返還された際、土地の原状回復補償費はアメリカ側が払うとされていたのですが、実は裏で日本政府が払うという「密約」が日米政府の間で行われていた事が明らかになっています。
しかし、日本政府は今でもそれを認めていません。

今回の合意でも土壌を改良する費用負担の話は、実はされているのだけども、かつての「密約」を認めるわけにいかないので日本政府は発表できないのではないか、という推測がされているのです。

この説が正しいかどうかはわかりません。
いずれにしても、日本政府がさまざまな試算をしているのは間違いないでしょうし、それをなかなか公表しないのは問題ですね。

そして、仮に現在、日本政府が試算していたとしても、今後アメリカから要求されて結果的に「3兆円」以上のお金を払う事にならないという保証はまったく無いという気がします。
posted by あつこば at 16:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月08日

「日本国内の経費はグアム移転経費の2倍」

日経新聞にローレス米国防副次官の発言が載りました。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060507AT3S0700G07052006.html

確認したらきのうのサンデープロジェクトで放送されてましたね。

■「日本国内の経費はグアム移転経費の2倍」

「日本側の担当者は『残りの経費は海兵隊のグアム移転経費の2倍だ』と話していた」との事ですが、そうするとグアム移転費7100億円+(7100億円×2=1兆4200億円)=2兆1300億円です。

3兆円には足りませんね。
そうすると、きのう紹介しましたが、軍事アナリスト 神浦元彰さんの「返還された土地の土壌汚染を回復する費用に1兆円」という説に説得力が出てきます。


きょうはホントは沖縄の暫定ヘリポート案について書こうと思っていたのですが、時間も無いのでこれだけにします。
posted by あつこば at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月12日

沖縄県知事と防衛庁長官が「政府案を基本として対応することに合意」する確認書

やれやれ。
結局、新品のノートパソコンを買うハメになってしまいました。
この顛末もブログに書こうかと思っていますが、
とにかく古いデータをなんとか復旧させようとして専門の会社に頼んだりと……たいへんな事になっています。

■「政府案を基本として対応することに合意」する確認書

稲嶺沖縄県知事と額賀防衛庁長官が「政府案を基本として対応することに合意」する確認書を交わしました。

「合意書」では無く「確認書」というところが微妙な表現ですね。

「額賀、稲嶺氏の発言要旨 共同記者会見」
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/article.php?storyid=309374020

これによると稲嶺沖縄県知事は
------------------------------------------------------------------------
(キャンプ・シュワブ沿岸部移設案への同意とは)まったく違う。

この場所を基本として話をするということだ。今後誠意を持って継続的に協議する。(シュワブ陸上部に暫定ヘリポートを建設する沖縄県の対案をめぐる)基本的な考え方は変わりない。これから国と継続的に協議し、県の考え方を織り込めるように努力していきたい。
------------------------------------------------------------------------
と言っていますが、
マスメディアの論調は「政府案を事実上容認」というような表現になっています。

「確認書」の全文はこちらにありました。
【米軍再編に関する基本確認書】全文を含む産経新聞の記事
http://www.sankei.co.jp/news/060511/sei043.htm

稲嶺知事は「普天間代替施設」を「軍民共用化」して「使用期限を15年」とするという条件にしていたはずです。

そういう意味では、今回の「対応することに合意した事の確認書」は、とんでもないと思のですが、どうとんでもないのかを書いている余裕が今はありません。

来週もいろいろ動きがあると思いますので、沖縄の事や、そもそも米軍再編はどういう背景で始まったのかなど、少しずつ書いていこうと思います。
posted by あつこば at 13:17| Comment(0) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月13日

そもそも米軍再編は、なんで始まったの?

壊れたノートパソコンのデータが復旧しました。
新しく買ったパソコンにデータを移す作業が、また面倒くさいです。

それはともかく、きょうは基本的な事を考えてみたいと思います。

そもそも米軍再編は、なんで始まったの?

アメリカが日本に3兆円負担しろと言ったとか、全国各地の基地があるところで「反対」「反対」とえらいさわぎになってるとか、国会でもめていたりとか(まあ国会は共謀罪のほうが激しくもめているみたいですが)、一体こんな事になってしまった米軍再編ってのは、どうして始まったんでしょうか?


本などを読んでみて整理してみました。かなり大雑把だと思いますが……

「冷戦」が終わって大きな「敵」がいなくなった

その反面、地域紛争などが増えた

アメリカの財政赤字が増えて軍事費を削減する必要が出て
クリントン政権の時に予算が削られた

軍事革命(RMA)を公約に掲げたブッシュが当選した

ラムズフェルドが中心になってIT技術を取り込んだTransformation(改革)が始まった

ちょうどその時期に9.11が起きて「新たな脅威」を理由にできた

(リストラされそうになった軍部にとっては、
新たな「脅威」があったほうが都合がいい)

というのが米軍のトランスフォーメーションの背景なのだと思います。

で、そのTransformation(改革)と同時に
Global Posture Review(米軍の再配置)が行われています。

日本で「米軍再編」と言うと「あっちの基地をこっちに移して……」
という話だけのように聞こえますが、
「再編」は、実は大きな軍改革の中のほんの一部の現象なんですね。


で、そのGlobal Posture Review(米軍の再配置)ですが、

2004年6月23日にダグラス・J・ファイス国防次官という人が
議会で「米軍再配置の五原則」のうちのひとつ目として、

「我々は同盟国の役割を拡大し、新しいパートナーシップを築きたい」
と発言しています。

アメリカは徴兵制もやめ、財政状態も厳しいですから、
軍事面・費用面の両方で同盟国にできるだけ負担を押しつけたい
んですね。

という事で、反米意識があまり無くて政治的な安定度も高く
オマケに「思いやり予算」やインフラの整備のされ具合など、
気持よく駐留できる日本の米軍が強化される事になりました。

今回の在日米軍再編で、グアムへの移転費用7100億円を始め、
全体で3兆円とも言われている費用を日本に払わせようとしているのも
その現れです。

そして、自衛隊の役割分担を増やし、
自衛隊ができる事はできるだけ自衛隊にやらせよう、
さらに海外での活動も自衛隊にもっとやらせよう
というのが今回の合意文書を読むとわかりますね。

その反面、冷戦後、大きな「敵」がいなくなったという事もあり、
ドイツでも韓国でも米軍の数は減っています。


と、大雑把に書いてみましたが、いかがでしょう?

「それは違う!」と思う方がいたら、ぜひ、ご意見をくださいね。


P.S.
ちなみにこの文章は、Mixiというコミュニティスペースhttp://mixi.jp/に書いた文章を修正したものです。

posted by あつこば at 18:52| Comment(5) | TrackBack(2) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月15日

「反対してるところには金をやらねーぞ!」


時間があまり無いので短めに書きます。

米軍再編 名護・岩国に別枠振興策 特措法全容
http://www.sankei.co.jp/news/060515/sei009.htm

米軍再編で自治体に新交付金 政府、進展に応じ配分検討
http://www.asahi.com/politics/update/0514/002.html

「進展に応じ配分検討」という事は、

「再編に協力した地方には金をやるけど、
反対してるところには金をやらねーぞ!」
という事ですね。

原発と同じような方法だそうです。

ずるいですね〜。

posted by あつこば at 10:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月16日

【沖縄】負担軽減にはならない

きのう、市民団体から
「日米軍事再編計画は
沖縄の負担軽減にはならない」
というアピールが出されました。
http://disagree.okinawaforum.org/515appeal/


沖縄テレビ放送(OTV)のニュースで紹介されています。
「日米合意は沖縄の負担軽減にならない」
http://www.otv.co.jp/
「ニュース」の項目で、15日の「夕刊」です。


このブログを始めた頃、
「巨額の費用負担、本当に沖縄の「負担軽減」につながるのか?」
http://atsukoba.seesaa.net/article/17025016.html
という文章を書きましたが、やはり沖縄の人も「負担軽減」にはならないと考えているようです。

もちろん、沖縄でも政財界には「負担軽減になる」と言っている人もいます。

沖縄の問題は、むずかしいです。

posted by あつこば at 12:49| Comment(1) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月17日

われわれは「差別している側」だ

国連人権委員会から特別報告者として任命されたドゥドゥ・ディエンさんという人が、沖縄に来て現状を調査したそうです。

琉球新報 5月17日
[「基地集中は差別」 国連人権委特別報告者 政府に是正再勧告へ]
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-13696-storytopic-1.html

沖縄タイムス 5月17日
[沖縄に対する差別/ディエン国連特別報告者が講演]
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200605171300_05.html

沖縄タイムス 5月15日夕刊
[差別の視点で基地視察/国連特別報告者ディエンさん]
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200605151700_05.html

上記の『琉球新報』の記事によると、
(1)日本による植民地主義・同化政策など
  歴史的な背景

(2)沖縄戦
(3)米軍基地の異常な集中
と3つの問題が挙げられています。

日米安保のもとで、沖縄に米軍基地の大部分を押しつけているわけですが、沖縄に対する差別はそれだけではなかったんですね。

そして、このニュースもヤマト(日本)では、ほとんど報道されないでしょう。
(実際に全部のメディアを確かめたワケではないです。掲載しているメディアがあったら教えてください。)

■われわれは「差別している側」だ

ここでの「われわれ」というのは、ヤマト(日本)に住んでいる人の事です。
(沖縄に住んでいる人でこの文章を読んでいる人もいるかもしれませんが……。)

沖縄を差別しているのは誰か。

物事を決めているのは日本政府です。
しかし、沖縄が差別されている事に無関心でいる事もまた、差別している事になります。

今回の米軍再編で、全国各地の米軍基地や自衛隊の基地が強化されようとしています。
「本土の沖縄化」という言い方もされます。

しかし、沖縄はまだまだ差別されています。
日本政府やマスコミが「負担軽減」などと言っていますが、きのうも書いたように負担軽減にはなっていません。

この機会に、われわれヤマト(日本)に住んでいる人間達が沖縄を差別している事に、もっと自覚的になるべきでしょう。

基地がまったく無い地域に住んでいて、こうした問題にまったく関心が無かった人にとっても、日本が「3兆円」も負担させられるというお金の問題には関心を持つ人もいると思います。

沖縄の問題にも、もっと関心を持ちたいものですね。

実は私自身も、沖縄の問題は「知っているつもり」になっていて、関心から外れていました。

今となってはとても恥ずかしいのですが、2004年の8月に沖縄の大学に米軍ヘリが落ちたというニュースを聞いた時も、その瞬間、つい「関係ない」と思ってしまいました。

その後、その事件についての沖縄とヤマト(日本)での報道の差や、事件後の米軍や政府の対応を知るうちに、たいへんな事だと思うと同時に、自分の中にある差別意識に気がつきました。

差別している側の人間は、自分が差別する側にいるという事に無自覚な事が多い。

自分は差別している側なんだ、という事に自覚的でありたいです。

posted by あつこば at 12:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

米軍基地内で日本人が撃たれた!

琉球新報の記事です。

基地内でBB弾射撃? 日本人従業員、肩にけが キャンプ・シュワブ
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-13721-storytopic-1.html
 
posted by あつこば at 15:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月19日

差別してる側が「差別してない」と反論

おとつい、国連人権委員会の特別報告者が「騒音、環境破壊など基地は沖縄に対する差別だ」と発言した事を紹介しました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/17927575.html

その、ドゥドゥ・ディエンさんの発言に対して、なんと、こんな反論をした人がいます。

■差別してる側が「差別してない」と反論

沖縄タイムス
[基地集中「差別でない」/外相]
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200605181700_02.html

m_photo.jpg
オフィシャルサイトの画像です。

この人って、「次期総理の候補」とされてる人ですよね。
外務大臣の立場でこの発言ですから、困った人ですね〜。


麻生大臣が言うように、沖縄に基地が集中しているのは「地政学的な理由」である事は、一面、事実ではあると思います。

そして、それはアメリカ側の「事実上の要請」だと、国会答弁したそうです。
米軍が沖縄にいすわっているのは、
アメリカの都合
なのですね。

アメリカでは、米兵を募集するパンフレットに、沖縄のきれいな海の写真が使われているそうです。
つまり、「あなたもこんなにきれいなリゾートで働きませんか?」というワケです。

それにつられて海兵隊に入隊した若い兵士達は、自然にあふれるジャングルのような沖縄の北部訓練場や、中東の街に似せて建物を並べた「都市型訓練施設」で、殺人マシンとしての訓練を受け、イラクに送られます。

沖縄がそんなに「地政学的」に大事だと言うのなら、
麻生大臣をはじめとする外務省は沖縄に引っ越しして、
アジアの国々との外交にもっと力を入れるべきでしょうね。


「差別してない」というのであれば、麻生大臣の自宅と外務省を普天間基地の横にしましょう。

「沖縄の負担軽減」などという口実を付けて、負担強化を押しつけるやり方は、まさに差別なんじゃないかと思います。


■「戦争ごっこ」で日本人を狙ったの?


きのう、「米軍基地内で日本人が撃たれた!」と書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/17977212.html

「日本人が撃たれた!」という表現は、ちょっと扇動的でしたね。

撃たれたのは「BB弾とみられるプラスチック製の弾」だそうで、普通の銃ではないんですね。

「BB弾」というのをよく知らないんですが、要するに「戦争ごっこ」で使う弾なんでしょうか?

それとも実際に米軍の演習でも使っているのでしょうか?

この事件の可能性としては、
●基地の中に住んでいる米兵の子供が遊んでいて、ふざけ半分に撃った。
●若い米兵がうっぷん晴らしかなにかで、演習に使っている銃を使って狙い撃ちした。
●誰かがたまたまデタラメに撃ったら、日本人に当たっちゃった。
……などと言う事を想像しています。

「たまたま当たっちゃった」という言い訳をしてくるかもしれませんが、
日本人に対する差別が背景にあるのではないか、という気がします。

撃たれたのは、自動販売機に飲料水を補充する業者さんだったそうです。
米軍相手にご商売をされている方は、撃たれないように気を付けてくださいね。

ラベル:麻生
posted by あつこば at 10:07| Comment(2) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月20日

【沖縄】で、何が問題なの?

沖縄の問題について書き始めると、とてもフクザツなんですが、今回は沖縄に対する差別とか歴史とかはあえて思いっきりすっ飛ばして、沖縄の事にはほとんど関心が無い人に向けて書きます。

■何人減るのかわからない!


まず、日本が7100億円を負担すると言われている海兵隊グアム移転の話です。

「沖縄の負担軽減」のためにグアムに移転するという話になっています。

そもそもそこが違っていて、軍事アナリスト 神浦元彰さんの5月16日付の文章によると
http://www.kamiura.com/new.html

-----------------------------------
あくまでグアム強化は東南アジアなどイスラム勢力へ米軍の睨みをきかすためである。
(中略)
沖縄の米軍基地は東アジア戦域であったが、今まではその一部が東南アジア戦域と混在していた。それを切り離すために米海兵隊は司令部をグアムに移転させるのである。
-----------------------------------

と書かれています。

やっぱり
「負担軽減」というよりも
アメリカの軍事戦略上の都合
みたいです。

世論調査などでも、「負担軽減にはならない」という事が多いようです。http://atsukoba.seesaa.net/article/17883097.html

まあ、それはさておき、海兵隊が移転するという事で日米政府が合意したのは事実です。
それを「負担軽減だ」と言っている人もいますね。

しかし、沖縄で犯罪を犯す下っ端の海兵隊員は移転しませんし、そもそも米軍基地の中にいる米兵がホントに減るのかどうかわかりません。

沖縄タイムス
[グアム移転 人数の「怪」/削減後、家族マイナスに]
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200605171300_02.html

しんぶん赤旗
[グアム移転 削減 2500人にすぎず 在沖海兵隊 1万人残留]
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-05-17/2006051701_03_0.html

要するに
米軍基地の中に何人いるのかなんて、
よくわかんない
んですね。

仮に一時的に「削減」したとしても、米軍基地が無くなるわけじゃないので、知らない間に人数が増えて、結局はぜんぜん「負担軽減」にならなかったという可能性は大アリですね。

まだ問題があります。

■金だけ取られるかもしれない!

先日出た日米合意によると、海兵隊の一部がが沖縄からグアムに移転するのは
-----------------------------------
(1)普天間飛行場代替施設の完成に向けた具体的な進展、
(2)グアムにおける所要の施設及びインフラ整備のための日本の資金的貢献
に揃かっている。
-----------------------------------
とされています。

「普天間飛行場代替施設」は名護市の辺野古に作る予定でしたが、環境の問題で国際的な批判を受けたり、地元の人達などの強い反対で、何年も進みませんでした。

という事は、グアムに海兵隊のための施設を作って日本がそのためにお金を出したけど、結局、「普天間飛行場代替施設」の建設がなかなか進まないから
「海兵隊の移転は、やーめた」って事になってしまう可能性があると思います。


今回の米軍再編で、おかしなところは他にもたくさんあります。

普天間基地の「代替施設」というけれど、実際には「替わり」というよりも、もっと凄い最新鋭の基地を作ろうとしているという事、

さらに、その基地を作ろうとしている名護市の東海岸(辺野古・大浦湾)では、基地を造る事によって環境に深刻な被害を与えそうな事、

沖縄の基地を一部「返還」すると言っているけど、上記と同様、そのタイミングがいつなのかという問題と、そもそもとっくのむかしに返還されているはずなんじゃないか、という問題など、書いていくとキリがないので、今回はこのへんにします。
posted by あつこば at 11:42| Comment(2) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

【横須賀】で、何が問題なの?

今回の米軍再編の中で、沖縄で起こっている事の中では何が問題なのかという話は前回書きました。
かなり大雑把で不十分だったとは思いますが、とりあえず他のところに進む事にして、沖縄の次に米軍基地の数が多い神奈川県では何が問題なのかについて書いてみます。

まずは横須賀です。

■首都圏に原子力空母が居座る!

これはヤバイ、かなりヤバイですよ。

原発(=原子力発電所)は、事故が起きるとチェルノブイリなどのようにたいへんな事になりかねないものですが、その原発と同じような原子炉を積んだ船が原子力艦船です。

海の上に浮かんでジェット戦闘機などの滑走路になるのが空母(=航空母艦)です。
その中で原子炉を主な動力源にしているのが原子力空母ですね。

艦船は、年から年中、海の上にいるわけじゃなくてメンテナンスなどのために、一定期間、港に停泊している必要があります。その港が「母港」になるわけですね。

世界中で、アメリカの空母の母港になっているのは、アメリカ以外では日本の横須賀だけです。

しかも、空母が横須賀港に来た当初は、反対されたので「一時的にいるだけで母港にするわけではない」というような言い訳をしたのですが、現在でも居座って「事実上の母港」にしているんですね。

で、現在、横須賀を「事実上の母港」にしているのはキティホークという空母で、これは原子力空母ではないのですが、アメリカはこれを「原子力空母に替える」と言い始めました。

George_Washington.jpg

これが横須賀に来ると言われている原子力空母「ジョージ・ワシントン」です。

原発でさえ危険だと言われているのに、空母は地面に建てる原発と違って、海の上を全速力で航海したり、戦争に出かけていったり、その上をジェット戦闘機が降りたり飛んだりします。

港に入ってくる時や、母港でのメンテナンス中に事故が起きるという事も十分に考えておかなきゃあ危険です。

横須賀に原子力空母が来て、
チェルノブイリ級の事故が起こったら…。
チェルノブイリで汚染された面積は本州の約60%になると言われています。

首都機能は壊滅しますね。


米軍再編にはぜんぜん関心が無いという人にとっても、これは自分の身に降りかかってくるので、大きな問題でしょう。


米軍は「原子力空母は事故を起こした事が無い」と言っています。

しかし、そもそも事故を起こしていたとしても「軍事機密」を理由に米軍が発表していない可能性があります。

実際、1999年に原子力空母「ステニス」が座礁して原子炉が緊急停止する「事故」が起きているそうです。

しかし、この件について米軍は、
「アクシデント(事故)ではなくイベント(出来事)だ」と説明したそうです。
(4月30日の東京新聞「原子炉緊急停止は“出来事”か」)


ところで、原子力空母が恐ろしいのは、日本に住んでいる人達だけではありません。

イラク戦争で使われたように、アメリカが敵(と見なした)国の近くの海まで原子力空母が行き、空母から戦闘機が飛んでいって爆撃をして、人を殺したりや建物を壊したりするわけです。

世界の人たちから見ても、原子力空母は恐ろしいものなのですね。


横須賀に原子力空母が来る、という話だけで疲れた(?)ので、米軍再編の中でも非常に重要な座間基地の事は、後日、書く事にします。

posted by あつこば at 17:24| Comment(4) | TrackBack(1) | 米軍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする