それに対して、北朝鮮の報道官は「人工衛星の実験通信衛星「光明星2号」を運搬ロケット「銀河2号」で打ち上げるための準備を本格的に進めている」と発表したそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090224-OYT1T00473.htm
人工衛星とミサイルは打ち上げ方としては似たようなものだそうです。私は人工衛星であれ「テポドン2」であれ、どちらにしても撃つべきではないと思っています。
ですが、「テポドン2(これはアメリカが勝手に付けた名前だそうです)」の危機をいたずらに煽るのも問題です。マスコミなどで煽られると、詳しく知らない人は「明日にでも北朝鮮からミサイルが飛んでくる!」と思ってしまうかもしれません。
「テポドン2」が日本に落とされる可能性は、とても低いです。
軍事アナリスト、江畑謙介さんの『日本の防衛戦略』(P66)によると、
↓ここから引用
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テポドン2は米国の基地を狙うものであり、日本に向けて発射されるミサイルではない
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↑引用ここまで
とのことです。(■注1参照)
つまり、「テポドン2」はアメリカを狙うためのものなので、日本は近すぎるのですね。
では、北朝鮮が「テポドン2」よりも射程距離が短いミサイルを日本に撃ち込む可能性があるかどうかですが、これもないでしょう。
軍事アナリスト、小川和久さんの『日本の戦争力』(聞き手は坂本 衛さん)によると以下のように書かれています。(P236)
↓ここから引用
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万が一にも日本にミサイルを撃ち込めば、金正日体制の崩壊どころではありません。それは、北朝鮮という国家の消滅を意味します。【中略】彼らは日米同盟に本気で反撃されたら一巻の終わりだと知っているのです。
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↑引用ここまで
つまり、仮に日本にミサイルが撃ち込まれたら、アメリカがそれを口実に北朝鮮を攻撃するので、そうすると北朝鮮は「一巻の終わり」になってしまうというわけです。
北朝鮮の指導者は、なんとかして自分たちの体制を維持しようとしています。ですから、北朝鮮側が自分たちの体制を潰されるようなリスクを犯してまで日本にミサイルを撃ち込むなどということはあり得ないわけですね。
「テポドン2、もしくは人工衛星」の話に戻ります。
前述の理由により、日本にミサイルが撃ち込まれる可能性はないですが、日本列島を飛び越して日本海に落とす実験をしようとした場合、あるいは人工衛星の打ち上げをしようとした場合に、失敗して部品か何かが日本に落ちてくる可能性についてです。この可能性は低いですがゼロではないでしょう。
■注1:前述の江畑謙介さんの本にも「故障で日本の上に落下してくる可能性があるが」と括弧でくくった小さい文字で書いてあります。
仮に部品などが落ちてきても、ミサイルが撃ち込まれるわけではありませんので被害は少ないでしょう。ですが、空から何かが落ちてくるのは危険ですから撃つべきではありません。
北朝鮮は撃つのをやめるべきです。そしてマスコミも危険性を必要以上に煽るのはやめたほうがいいですね。
【3月27日 追記】
追加で以下の文章を書きました。
http://atsukoba.seesaa.net/article/116305729.html